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リンカン? ローズベルト? 大変わりする歴史教科書

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日本最大級の前方後円墳は? 江戸幕府の直轄領は? 南北戦争時の米国の大統領は――。文部科学省が公表した小中学校の新学習指導要領案で聖徳太子の表記が話題となっているが、歴史の教科書は既に大きく変わっている。何がどう違うのか。30年前と現在の教科書を比べてみた。

大和朝廷は朝廷ではない 研究進み新説定着

教科書の歴史を調べるのに最適な施設が、東京都江東区にある。教科書研究センター付属の教科書図書館だ。5万冊を超える検定教科書を中心に、戦前や海外の教科書、指導書、副読本など約13万6千冊を所蔵している。最新の教科書だけなら全国各地にある教科書センターでも閲覧できる。

現在、中学校で使う歴史の教科書は、8社が発行している。東京書籍、教育出版、清水書院、帝国書院、日本文教出版、自由社、育鵬社、学び舎だ。

それぞれ読んでみて、40代の記者が中学時代に習ったものと違う項目を洗い出し、実際に30年前の教科書と比べていった。

まず目に留まったのは冒頭にも触れた「日本最大級の前方後円墳」だ。30年前の教科書にはどれも「仁徳天皇陵」とある。記者の記憶も同じだ。

だが最新の教科書を見ると、多くが「大仙古墳」または「大山古墳」となっている。東京書籍によると、宮内庁は「仁徳天皇陵」としているものの、被葬者についての学術的な検証がされていないため、古墳名の表記にしているという。

「大和朝廷」の表記も大半の教科書から消えた。8社中6社の教科書で「ヤマト王権」「大和政権」と書かれ、「大和朝廷」が残るのは2社のみ。帝国書院の教科書にはこんな注釈が載っていた。

「『大和朝廷』と呼ばれることもありますが、整った組織はまだなかったので、『朝廷』ではなく『王権』と表現しています。また、国号の『倭』やのちの地域名の『大和』と区別するため『ヤマト』と表記しています」

帝国書院の教科書担当者は「30年もたてば歴史研究は進みます。『富本銭』など新たに発見があったものはもちろん、専門家の間で新しい見方が定着してきたものは取り入れるようにしています」と解説する。

鎌倉幕府の成立年は?

歴史の知識の世代間格差が話題になるとき、必ずといっていいほど登場するのが鎌倉幕府がいつ成立したのか、という問題だ。

ミドル世代にとっては「いい国作ろう鎌倉幕府」が反射的に出てくる。もちろん、1192年に成立したという意味だ。しかし世代によっては「いいはこ作ろう鎌倉幕府」で1185年と覚えている人もいるらしい。

最新の教科書を見てみると、東京書籍では「1185年のほかにも1183年に頼朝が東日本の支配権を朝廷に認められた時期や、1192年に頼朝が征夷大将軍に任命された時期などを考える説があります」と説明する。日本文教出版にも同様の記述があった。

1192年は頼朝が征夷大将軍に任命された年にすぎず、鎌倉幕府は段階的に成立した、というのが正解なのだ。

ちなみに教科書によって表記が違う場合、受験など広域の試験ではどう答えたらいいのか。「教科書に書いてあるならすべて正解です」(帝国書院)。8社中1社しか残っていない旧説であっても、教科書に載っているなら正解というわけだ。

「鎖国」の表記も慎重な扱いに

新旧の教科書を見比べたとき、最も大きく変わったと感じたのが江戸時代だ。例えば幕府の直轄領のことを以前は「天領」と書いていたが、今は「幕府領」とするか「幕領」となっている。8社のうち唯一「天領」の表記がある自由社も、「天領(幕領ともいう)」とするなど、天領単独の表記は姿を消した。天領だと天皇の領地になってしまう、という論理だ。

「鎖国」という言葉も慎重に使われるようになってきた。帝国書院は「」をつけて表記する。実際に国を閉ざしたわけではなく、長崎など窓口を限定して外国と交流する貿易統制を行っていたからだ。

鎖国は今回の学習指導要領案でも「幕府の対外政策」と書き換える方向で公表されたが、「表記が変わると教えづらい」との意見が教員などから寄せられたため、文科省は「鎖国」の表記を残す方向で検討しているという。

帝国書院の担当者は「教科書の編集では、学習上の配慮も必要」と話す。「大和朝廷」を使わない理由を欄外に記すなどの配慮に加えて、これまで広く使われ教員の間に浸透している言葉については「」を付けるなどして言葉を残しているという。

姿消す「悪役」 歴史の多面性重視

江戸時代では、人物の描き方も30年前と大きく変わっていた。特に目に付いたのが徳川綱吉と田沼意次だ。

5代将軍綱吉といえば「生類憐(あわ)れみの令」で知られ、ミドル世代にとってはマイナスイメージしか浮かばないかもしれない。しかし育鵬社では「生類憐れみの令は、江戸の人々を苦しめましたが、捨て子の禁止や動物愛護など、生命や自然を尊重するという道徳の定着をもたらすという意義もありました」と記述。プラス面にも触れている。

賄賂の印象が強い田沼意次も、同様に経済面などプラス面をより強く打ち出す記述が増えている。帝国書院の担当者は「人物や物事を多面的にとらえるというのが近年の教科書の流れ」と指摘する。一面的な悪役は、ほとんど姿を消しているのだ。

「マガリャンイス」「コロン」って誰?

教科書の変化でもう一つ驚いたのが、外国人の表記だ。30年前はすべての教科書で「リンカーン」「ルーズベルト」だったのが、「リンカン」「ローズベルト」と書く教科書が出てきたのだ。

いずれも中学用ではまだ少数派だが、高校用だと逆転する。日本史Aや世界史Aでは、山川出版社など全社が「ローズヴェルト」と書いているのだ。

現地読みに近づけた結果という。リンカンもローズヴェルトも高校では既に定着しているようだ。以前、「ルーズヴェルト・ゲーム」という小説やドラマがあったが、今の高校生にはピンとこなかったかもしれない。

外国人の表記ではさらなる驚きがあった。高校の世界史Aでは「マゼラン」が「マガリャンイス」と書いてあったのだ。さすがに「マゼラン(マガリャンイス)」と併記ではあったが、東京書籍、帝国書院の2社に載っていた。さらには帝国書院には「コロンブス(コロン)」とある。これもいずれは主流になっていくのだろうか……。

お堅いイメージがある教科書だが、意外にも記述には幅があり、それぞれの執筆者の個性が色濃く現れていた。30年前に比べて図版や写真が圧倒的に増え、ただ眺めているだけでも面白い。モノクロからカラー、文字中心から画像重視、さらには多面的な解説。昭和と平成の違いは、多感な中学生にどんな影響を与えるのだろうか。

(生活情報部 河尻定)

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