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1日2食、鉄人の流儀 久石譲さん

食の履歴書

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NIKKEI STYLE

妥協は絶対に許さない。他人にも厳しいが、自分にはもっと厳しい。常に全力投球。そんなストイックで孤独な音楽活動を支えてきたのが普段、意識していなかった妻の家庭料理。「1日2食」と決めてから43年。「小さな病気一つしない」と健康の原動力になっている。

深夜まで仕事場にこもる夜型人間

音楽の鉄人の朝は遅い。

「深夜まで仕事場にこもってひたすら作曲に取り組む夜型人間」だから、家族と一緒に朝食を取ることはほとんどない。妻が作り置いてくれた朝・昼兼用の手料理を電子レンジで温め直し、自宅のキッチンで独りで黙々と食べる。

食卓にのぼるのは繊維質や海産物が多いメニュー。ワカメやホウレンソウがたっぷり入った味噌汁に七分づき米のご飯、そして焼いたシャケやサバの味噌煮が添えられる。

ゴボウやニンジン、シイタケなどを酢飯に混ぜたちらしずしも大好物。「余計な塩分や油分をなるべく減らした健康食材ばかり。特にこだわりはないので食卓に出されるまま何も考えることなく料理を食べてきた」と振り返る。

1歳下の妻とは国立音大で出会った。生まれ育った環境の違いから価値観が衝突することも多かったが、売れない時代を支えてくれた恩人だ。卒業と同時に結婚。それ以来、「1日2食」というリズムはまったく変えていない。

「食事のことを考えている余裕はない」

「音楽というのはそんなに生易しいものじゃない。正直、食事のことなんて考えている余裕はほとんどないよ」

「しっかり食べれば1日2回で十分。3回も食べていたら過食になってしまう」

84年の「風の谷のナウシカ」から「となりのトトロ」「魔女の宅急便」などアニメ映画の音楽をずっと任せてくれた宮崎駿監督とも一度も食事をしたことがないそうだ。

自分を究極まで追い込み、絞り出したメロディーを鍛え、全身全霊で1つの作品に磨き上げる。そんな求道者のような音楽活動が続けられるのは「毎日、健康食を食べてきたおかげ」と実感している。

長野県北部で生まれ育った。少年時代を過ごした中野市はリンゴやエノキダケなどの有名な産地。「シャボン玉」「あの町この町」を作曲した中山晋平や「故郷」「朧月夜」を作詞した高野辰之らの出身地としても知られている。

実は筆者も少年期を中野市で送った信州人である。だが故郷の話に触れると即座に不愉快そうな表情を浮かべ、こちらをジロリとにらんだ。

「僕の音楽を信州と結びつけたがる記者が多くてね」

母の料理もやたらに味が濃くて好きではなかったという。野沢菜やたくあん、煮詰めた濃い味噌汁、焼き魚とご飯……。子供心にあまりおいしいとは思えなかったらしい。

小学校時代に見た膨大な映画、音楽活動の原点

だがこの時期に映画やジャズ、バイオリンなど音楽と出合う。高校教師の父に連れられて映画館によく出かけた。

「小学校時代はまさに映画の黄金期。公開される映画はほとんど見ていた。東映のチャンバラ劇も日活のアクション映画も大好きだった」

このころ見た膨大な映画の蓄積が今の音楽活動の原点になっている。4歳から習い始めたバイオリンで楽器に目覚め、ピアノ、吹奏楽、ギターを学び、高校時代には月2回、作曲家を目指して東京の先生のもとへ和声学や対位法などのレッスンに通い続けた。

体力的にはかなりきつかったが、信越線の横川駅で買った駅弁の釜めしの味が何とも懐かしい。列車の旅の中間点でちょうど腹がすく時刻。ウズラの卵、鶏肉、シイタケ、タケノコ、紅ショウガ……。益子焼の容器にしょうゆで味付けした炊き込みご飯に舌鼓を打った。「青春の味。懐かしいから今でも時々、食べている」と顔をほころばす。

2016年に長野市芸術館の芸術監督を引き受けたのは「自分の音楽経験をそろそろ故郷に還元してもいいかな」と感じたから。国内外で活躍している演奏者約40人を集めて「ナガノ・チェンバー・オーケストラ」を立ち上げた。目下、7月15.17日予定の演奏会の準備に余念がない。

2月の演奏会では本番直前に転倒して左手を骨折するアクシデントに見舞われた。「結構痛かった」が、2時間も指揮棒を振り続け「気がついたら左手がパンパンに腫れ上がっていた」と豪快に笑う。

頑固でコワモテ。理屈屋で負けず嫌いのへそ曲がり。だが決して冷たくはない。この記事を読んだら本人は怒るかもしれないが、音楽の鉄人にはやはり典型的な信州人の血が流れている気がする。

焼き鳥で仲間と乾杯

30年近く通っているのが東京・西麻布の交差点に近い焼鳥屋「鳥とも」(電話03・3409・9808)。22席のこぢんまりとした店だが「気取らない雰囲気が気に入っている」。

ねぎま・ぼんちり・つくね・ぎんなん・手羽先・かわ・砂肝の7本の「焼き鳥コース」(1750円税抜き)、錦サラダ(1050円)、煮込み(700円)が必ず頼む定番メニュー。

キュルキュルした食感のかわや焦げ目が香ばしいぼんちりなどが美味。紀州備長炭を使い「1981年の開店以来、メニューはほぼ変えていない」と店長。

カウンターの一番奥が久石さんの指定席で仕事仲間や友人らと愉快に酒杯を傾け、最後は鳥スープめん(500円)で締める。店内にはビルの所有者だった写真家、故・秋山庄太郎さん直筆の看板も飾られている。

最後の晩餐

もちろん洋食も嫌いじゃないけど、日本人だからやはり最後は和食がいいかな。頭に浮かぶのは、いつも食べ慣れている女房の手料理。豆腐と薄味の味噌汁に温かい白米か炊き込みご飯、そこにお新香や焼き魚、煮魚が付いているような普通の朝食が落ち着きます。

(編集委員 小林明)

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