検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

NIKKEI Primeについて

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

/

「夫婦の家事分担は永遠の課題」人気女性漫画家対談

詳しくはこちら

NIKKEI STYLE

日経DUAL

『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を上梓した水谷さるころさんと『キレる私をやめたい』(竹書房)が話題の田房永子さん。カラオケボックスで話し始めたら、歌そっちのけでおしゃべりが止まらなかったというお二人。そんなお二人が夫婦間の「家事分担」問題について対談した模様をお送りします。

引っ越しを機に、「台所を俺用にしていい?」

田房永子さん(以下、田房) さるころさんの『結婚さえできればいいと思っていたけど』って、まるで「逃げ恥」(テレビ番組「逃げるは恥だが役に立つ」)みたいだなと思いましたよ。家事分担のルールが実にはっきりしていて、「すごいなあ」と思いながら読みました。

水谷さるころさん(以下、水谷) "家事のテリトリー問題"に関しては夫婦でめちゃくちゃ話し合いますよ。

田房 うちも分担はしているけど、理論的に言語化とかしてなくて、何というかモア~ッとしてる。言葉にしようとしたらたぶんすごい喧嘩になっちゃう。

水谷 いや、言語化している最中は喧嘩ですよ。だから子どもがいる時をなるべく避けるようにしています。どうしても子どもの前で話す必要がある場合は「お母さんとお父さんは話し合いをしているのであって、喧嘩をしているわけじゃないからね」と断って。でも、相当喧々(けんけん)しています。

田房 さるころさん家の夫婦が「もめるポイント」って何ですか?

水谷 一緒に暮らし始めてから5年目に入って、問題のポイントが移り変わってきた感じですね。今ではキッチンは完全に夫のテリトリーになっています。一緒に暮らすことになって私が「ごはんにこだわりがない。料理はあまりやりたくない」って話をしたら「じゃあ俺がやるよ」ってなって彼がやることになったんですけど、当時はまだ彼は簡単なことしかできなくて道具も私のだし台所の管理もレイアウトも私がしてました。

引っ越しを機に「俺用にしていい?」と言われたので「いいよ。任せる」となって、今に至ります。そうなると、夫がどんどん"細かい奥さん化"していくんですよ! 使った包丁をたらいに入れっぱなしにしていたら、「こういうのはやめて」と怒られたり(笑)。

田房 私も学生の時に付き合ってた彼氏にそれで怒られたことある~。だけどその人は自分では何もやらなくて、「普通そんなことしないだろ! うちのお母さんはしない!」とか得意げに言ってて、なんか逆にすごいなコイツって思いました。

家事ハラは性差ではなく役割の問題

水谷 かつて自分が離婚した元夫に対して「イラッ」として口うるさくしていたことが、今では逆転している。「すぐに洗おう」と思いながら保留して他のことをしていただけなのに、先に向こうが片付け始めて怒られる、みたいな。やってもらおうと思ってないのに怒られると、「なんだよ」みたいな気持ちになるっていう。世間でよく言われる「妻に細かく言われてふてくされる夫」そのものですね……。

田房 「たらいに包丁を入れっぱなしにしないで」って言うようになったのは、彼のスキルが上がったから?

水谷 いや、彼がキッチンに立つ頻度が上がったからですね。自分で最後まで片付けていれば、怒られることもないし、彼が中途半端な状態をたまに見てもそんな気にならない。

でも、キッチンが夫のテリトリーになってからは明らかにその言い方やテンションが変わりましたね。言葉の端々に「自分が想定している順番やルールを阻害されている」苛立ちが感じられるようになりました。それで、「ああ、こういう問題に性差は全く関係なくて、単に役割分担の問題なのだ」と実感したんです。

以前は自分の場所とは思ってなかったのか、ガスレンジや流しの掃除は私の仕事だったんですよ。やり方を知らなかったのはあると思うんですけど、その頃の夫は今ほど、細かいことを言わなかった。やはり、自分の領域になったら、掃除もするようになって、こだわりや愛着が増えたのだと思います。それと同時にこちらが「そうですか、はいはいはい……(うるさいなー)」というようなことが起きるようになりました。「お互いもう少し言い方とか態度を優しくしようよ」とこの間、話し合いをしたばかりです。

夫に養ってもらっているという思い込み

田房 お金の問題はどうですか? うちの場合、結婚した当初、「妻になった私は、全額養ってもらって当然」と思ってました。その代わり「家事は私が全部やらなきゃ」と思ってた。むしろ、「家事を全部やらなきゃいけない」から、「その代わり生活費を出す義務はない」みたいな考え。夫と話し合ったりしたことはなくて、今思うと私一人で勝手に思い込んでたなーと思います。でも私、家事が全然好きじゃないし、得意じゃないんです。だから毎日つらい。そういう本来の自分を無視して、家事労働は私が全部やって当たり前と自分に課してるもんだから、いつもイライラしてキレてました。

田房 子どもが産まれてから分担するのが当たり前になったけど、私も仕事があるから、「どうしてこれも全部やらなきゃいけないの」っていう不満を私が口にするようになりました。そうすると、今度は夫のほうから「お金はこっちが全部払っているのに」という不満が出てきた。そこで初めて私も生活費を負担するということになったんです。

光熱費とかを払うようになったら、見える景色がガラッと変わって、ビックリしました。それまでは、夫がちょっと部屋を掃除し始めたりすると、すごく居心地が悪かったんです。「本来、私がやるべき作業をやってもらっている」という感じで、申し訳なくて仕方が無かった。これはもう妄想なんだけど、夫から「お前がやらないから俺がやってやってるんだ!」ってメッセージが送られているような気もしていました。お金を払ったら、夫はそんなメッセージを発信してなかったんだ……って分かって、リラックスしていられるようになりました。

そもそも夫は掃除や家事が苦痛じゃなくて自然にやる人なんです。「俺は家事が苦痛じゃないよ」と言われていたのに、「女の私がやらなきゃ!」って思いすぎてやらせないようにしていたし、夫の話を全然聞いてなかったんです。

「養ってもらうほうが怖い」

田房 私は自分の稼ぎの中から生活費を負担することに恐怖があったけど、「家事能力はお金で解決できるんだ」と強烈に思いました。

家事が好きじゃない私にとっては、ものすごく「ラク」になりました。子どもの頃から、「男の人は家族のために一生仕事を続けなければいけない」っていう前提みたいなのが世の中にあるって感じてて、男って大変だなあ、と思ってたけど、「この『ラク』が前提にある男っていいよな!」と思いました。自分が、夫にキレたり自己嫌悪したり妄想に頭をやられたりしながら、5~6年かかってやっと作り上げた環境を、男って結婚時にGETできるんだな、いいよな、みたいな。

水谷 たまに髪結いの亭主になりたいとか、「稼ぎのいい奥さんに養われたい」という男性もいますけどね。というか、私はそういうタイプの男性じゃないと相性が悪いっていうのもあるとは思うんですけど。働いてはいるけど、「ガンガンお金を稼ぐぜ!」みたいな上昇志向の人とは付き合ってこなかったのかも。

刷り込みに関して言えば、一度目の結婚では私は家計も負担していたのに、「結婚したんだから、私は家事も完璧にできなきゃダメ」と思っていましたね。田房さんは「生活費を自分で出すのが怖い」って言っていましたけど、私の本心は養ってもらうほうが怖いんですよ。

田房 なるほど。私も今は養ってもらうのが怖い、っていうの分かります。自由がなくなるっていうか、また自分が「これだけ出していただいてるんだから、私がここまでやらなければ」とか思って自分を勝手に追い詰めたり、夫の挙動に勝手に悪意を感じたり、あの生活に戻るかもと思うと恐怖です。やっぱり未だに母や祖母や世間から刷り込まれた「家事は女がやるもの」っていう呪いがかかっているのかも。

水谷 私は男の人どころか、なぜか親に養われているということもずっと怖かったんですよ。親は欲しいモノがあるなら何でも買ってくれるし、何も困るようなことはなかったんですけど、なぜか高校生の頃からアルバイトをして「好きな物は自分で稼いだお金で買いたい」って思ってました。早く仕事して自立したいと思っていて、20歳の時にフリーランスで働き始め、仕事場が必要で家を出たんですけど、こつこつ貯めたお金で自分の仕事道具もそろえたし、引っ越し資金も出しました。

自分のことを自分でできないことが昔からなぜか怖くて。世間ではお財布を一つにして互いの稼ぎを共有する夫婦が多いようですが、私は相手に自分がいくら稼いでいるかをアバウトにしか言わないし、相手の稼ぎのことも聞きません。

田房 私も言わない派です。向こうのもなるべく知りたくないなって思う。年度末とか保育園の書類提出とかの時にだいたい分かっちゃいますけど……。

何かしてほしいとき、お互いの期待を話し合う

水谷 結婚生活というのは互いの事情をオープンにして把握し合うというのが一般的だと思うのですが、私はやはりあくまでも「個」でいたい。元々そういう考えの人間なのに、最初の結婚では結婚したとたん"普通"に囚われすぎて失敗してしまったんですよね。私自身がけっこうお節介というか、人にあーだこーだ言ってしまうタイプなんですよ。勝手に先回りして不安になったり。最初の結婚の時は「結婚したんだから」ってことにこだわりすぎて、元夫の問題をまるで自分の問題みたいに考えたりしてました。「私たち『運命共同体』でしょ、お願いだから失敗しないでよね!」みたいな感じで。

そのうえで養ってもらう気なんてさらさらないのに、母親が家事をしっかりやっていたのを「あれが正しい」「女は家事はできて当たり前」と思い込んでました。ただ「親の結婚生活の踏襲」だけでなくて、「結婚にメリットが見いだせない」男性と結婚するにあたり、「家事で釣った」と思っていたのもあります。「家事はやるから結婚してよ」みたいな。で、実際やってみたら「愛があればなんでもできるというのは思い上がりだった」ってなっちゃった。

水谷 「結婚したんだから、相手の問題も自分の問題」と思いすぎたのも、「結婚したんだから家事はしないと恥ずかしい」と思い込んでたのも、今思えば「なんでそう思ってたんだろう」って感じなんですけど。離婚後、3年間一人で反省したうえで、「もう失敗しないぞ」という気持ちで36歳で再婚する時は「事実婚」にしました。今度こそ相手に対して何かをしてほしいと思ったときに、「何でしてくれないの?」と思わなくてすむように、お互いの期待値の設定を常に話し合いで決めるようになったんです。

田房 すごい! さるころさんは、いつも論理的に夫婦それぞれの望みを、互いに言葉で刷り合わせて一致させているんだね。うちは言葉にできなくて、「どっちが何をやる」っていう境界線みたいなものがいつもモア~ッとしてます。

水谷 夫は「女性って言語化せずに相手に『察してほしい』と要求して勝手にキレるよね!」って考えだったんですけど。いざ一緒に暮らしてみたら「夫自身がそういうところ、すごいあるじゃん!」ってなって。こちらとしては突然不機嫌になられたり、何にキレているのか分からないという状況が一番怖いんですよ。「今、何に怒ってるのか、言語化してみようか」という話をして……最初のうちはわが家も毎回カウンセリングみたいでしたね。言語化すると「つきものが落ちる」んですよ。問題が具体的になって解決策が出せる。後は解決に向けてお互い頑張る、みたいな。

田房 うちは「言葉にしないバージョン」でやってきて、今はかなり平和に家事分担ができていると思うけど、そこまではとにかく私がキレたり、家出をしたり、大変でした。一度、家事分担を逆転させることを試みた時は夫婦仲が悪化しました。

水谷 逆転?

田房 夕飯づくりは私の役割だったんですが、とにかく私、料理を作るのが好きじゃないんですよ。自分の中でも言葉になっていなかったけど、料理を通じて「子どもの健康・栄養」を常に考えなければいけないっていうことにかなり負担を感じてた。一日のうちの3分の1の「子どもの栄養」をこれから20年近く毎日一人でやらなきゃいけないんだ、っていうのがすごく重かったんです。さらに「子どもが食べられるもの」と「夫と自分の食べたいもの」の両立を毎日するのもつらい。気楽に料理ができないタチだから。

そんなある日、夫が遅く帰ってきて、テレビをつけてサッカーの試合を見始めたんです。別にいつもの光景なんだけど、その時は頭と心がパンパンだったから、「もう無理」みたいな気持ちになって、そしたら翌日、テレビで鬼怒川が決壊しているってニュースが流れた。洪水でお家が流されたり、屋根の上に避難してる人たちをリアルタイムで見ていたら、それが影響したのか分からないけど、私の中でも何かが"決壊"しちゃったんです。突然夫に、「夕飯を作る役を変わってほしい! 一週間休ませてほしい!」とお願いしてました。

本心では別に休みたいわけじゃなかったんです。ただ言葉にならない「こんなにつらいんだ」という気持ちを分かってほしかったのかも。

その頃、子どもが餃子とシュウマイしか食べてくれない時期で、ただ焼いたり温めるだけの食事を与えている罪悪感とか、冷凍食品を使いたくないっていう"呪い"みたいなものがあって……。

水谷 分かります……。子どもに食べさせるものは「ちゃんとしなきゃ」っていう呪い。私は「こうあらねば」みたいなのが、全部最初の離婚のときにふっとんじゃったんで、その辺わりとゆるくやれてるんですけど。

田房 でも、そういう話が夫とはできない。「冷凍食品使えばいいじゃん。何でそこまで気にするの?」って言われちゃうんです。その時も、「だったら俺がやればいいんだろ」みたいになって「そうじゃないんだけど……」と思いつつも引くに引けず、数カ月くらい、すっごい険悪になりました。だからきちんと言語化して話し合える、さるころさんってすごい。

男も女も、話せば必ず分かり合える

水谷 私、「男の人は別の生き物」とか全然思えなくて「話せば分かる」と思っているんです。それは私が二卵性双生児、男女の双子だったことも大きいかもしれないです。うちの夫も年子の妹さんがいて、男女混合の4人きょうだいということもあって男女の性差よりも「お互い、同じ人間じゃん!」みたいな気持ちのほうが強いのかもしれないです。

なので私は「何で男が女を養わなきゃいけないの? 女が家事をするからといって男だけが大黒柱みたいな責任を負わされたくなーい!」って言われれば「そうだよねー。わかるわかるオッケー! 一緒にがんばろ」って思うし、そういうタイプの男性を選んでるんだと思います。

(ライター 砂塚美穂)

[日経DUAL 2017年2月22日付記事を再構成]

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
登録したキーワードに該当する記事が紙面ビューアー上で赤い線に囲まれて表示されている画面例
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で無料体験するログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で無料体験するログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン

権限不足のため、フォローできません

ニュースレターを登録すると続きが読めます(無料)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

ご登録ありがとうございました。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

登録できませんでした。

エラーが発生し、登録できませんでした。

登録できませんでした。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

登録済みです。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

_

_

_