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「夫婦の家事分担は永遠の課題」人気女性漫画家対談

日経DUAL

2017/4/20

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 『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を上梓した水谷さるころさんと『キレる私をやめたい』(竹書房)が話題の田房永子さん。カラオケボックスで話し始めたら、歌そっちのけでおしゃべりが止まらなかったというお二人。そんなお二人が夫婦間の「家事分担」問題について対談した模様をお送りします。

■引っ越しを機に、「台所を俺用にしていい?」

水谷さるころさん

田房永子さん(以下、田房) さるころさんの『結婚さえできればいいと思っていたけど』って、まるで「逃げ恥」(テレビ番組「逃げるは恥だが役に立つ」)みたいだなと思いましたよ。家事分担のルールが実にはっきりしていて、「すごいなあ」と思いながら読みました。

水谷さるころさん(以下、水谷) “家事のテリトリー問題”に関しては夫婦でめちゃくちゃ話し合いますよ。

田房 うちも分担はしているけど、理論的に言語化とかしてなくて、何というかモア~ッとしてる。言葉にしようとしたらたぶんすごい喧嘩になっちゃう。

水谷 いや、言語化している最中は喧嘩ですよ。だから子どもがいる時をなるべく避けるようにしています。どうしても子どもの前で話す必要がある場合は「お母さんとお父さんは話し合いをしているのであって、喧嘩をしているわけじゃないからね」と断って。でも、相当喧々(けんけん)しています。

田房 さるころさん家の夫婦が「もめるポイント」って何ですか?

水谷 一緒に暮らし始めてから5年目に入って、問題のポイントが移り変わってきた感じですね。今ではキッチンは完全に夫のテリトリーになっています。一緒に暮らすことになって私が「ごはんにこだわりがない。料理はあまりやりたくない」って話をしたら「じゃあ俺がやるよ」ってなって彼がやることになったんですけど、当時はまだ彼は簡単なことしかできなくて道具も私のだし台所の管理もレイアウトも私がしてました。

 引っ越しを機に「俺用にしていい?」と言われたので「いいよ。任せる」となって、今に至ります。そうなると、夫がどんどん“細かい奥さん化”していくんですよ! 使った包丁をたらいに入れっぱなしにしていたら、「こういうのはやめて」と怒られたり(笑)。

田房 私も学生の時に付き合ってた彼氏にそれで怒られたことある~。だけどその人は自分では何もやらなくて、「普通そんなことしないだろ! うちのお母さんはしない!」とか得意げに言ってて、なんか逆にすごいなコイツって思いました。

■家事ハラは性差ではなく役割の問題

田房さんの自画像(『キレる私をやめたい』田房永子著より)

水谷 かつて自分が離婚した元夫に対して「イラッ」として口うるさくしていたことが、今では逆転している。「すぐに洗おう」と思いながら保留して他のことをしていただけなのに、先に向こうが片付け始めて怒られる、みたいな。やってもらおうと思ってないのに怒られると、「なんだよ」みたいな気持ちになるっていう。世間でよく言われる「妻に細かく言われてふてくされる夫」そのものですね……。

田房 「たらいに包丁を入れっぱなしにしないで」って言うようになったのは、彼のスキルが上がったから?

水谷 いや、彼がキッチンに立つ頻度が上がったからですね。自分で最後まで片付けていれば、怒られることもないし、彼が中途半端な状態をたまに見てもそんな気にならない。

 でも、キッチンが夫のテリトリーになってからは明らかにその言い方やテンションが変わりましたね。言葉の端々に「自分が想定している順番やルールを阻害されている」苛立ちが感じられるようになりました。それで、「ああ、こういう問題に性差は全く関係なくて、単に役割分担の問題なのだ」と実感したんです。

 以前は自分の場所とは思ってなかったのか、ガスレンジや流しの掃除は私の仕事だったんですよ。やり方を知らなかったのはあると思うんですけど、その頃の夫は今ほど、細かいことを言わなかった。やはり、自分の領域になったら、掃除もするようになって、こだわりや愛着が増えたのだと思います。それと同時にこちらが「そうですか、はいはいはい……(うるさいなー)」というようなことが起きるようになりました。「お互いもう少し言い方とか態度を優しくしようよ」とこの間、話し合いをしたばかりです。

左から『結婚さえできればいいと思っていたけど』(水谷さるころ著/幻冬舎)、『キレる私をやめたい』(田房永子著/竹書房)

■夫に養ってもらっているという思い込み

田房 お金の問題はどうですか? うちの場合、結婚した当初、「妻になった私は、全額養ってもらって当然」と思ってました。その代わり「家事は私が全部やらなきゃ」と思ってた。むしろ、「家事を全部やらなきゃいけない」から、「その代わり生活費を出す義務はない」みたいな考え。夫と話し合ったりしたことはなくて、今思うと私一人で勝手に思い込んでたなーと思います。でも私、家事が全然好きじゃないし、得意じゃないんです。だから毎日つらい。そういう本来の自分を無視して、家事労働は私が全部やって当たり前と自分に課してるもんだから、いつもイライラしてキレてました。

『キレる私をやめたい』田房永子著より

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