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低コストのアクティブ投信、買ってもいい?

日経マネー

2017/4/14

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 株式投資ほどのリスクは取れないが、分散投資でリスクを下げつつ少しでも資産を殖やしたい。こんなニーズに応えた商品として、投資信託が人気を博している。ただ、一口に投信といっても中身は多種多様。自分に合った商品を見つけるには、どうすればいいのか。投信初心者の疑問をプロが分かりやすく解説する。

◇     ◇     ◇

Qさん(以下、Q):最近、保有中にかかるコストが低いアクティブ型投資信託が増えていますね。

吉井さん(以下、吉):ピクテ投信投資顧問の「iTrust」、大和住銀投信投資顧問の「ひとくふう」、明治安田アセットマネジメントの「ノーロード明治安田」などの投信シリーズですね。一般的にコスト(信託報酬)が高いといわれるアクティブ型投信に、より手頃に投資できるのはいいことです。

Q:吉井さんなら投資しますか。

吉:ただ低コストだというだけで投資することはありません。投信の実力や特徴を考慮した上で、見合った価値があれば投資します。

Q:実力といっても、新設の投信は運用実績が短いですよね?

吉:その投信が投資しているマザーファンド(複数の投信から集めた資金を株式や債券などに投資して運用する親ファンド)に注目するのです。同じマザーに投資する別の投信が既にあれば、その投信の実績を参考にできます。例えば「iTrust日本株式」は、「ピクテ日本ナンバーワン・ファンド(毎月決算実績分配型)」と同じマザーに投資するので、そちらの実績を日本株のインデックス型投信などと比較することで実力を測れます。

Q:「ピクテ日本~」の設定来の実績は、インデックス型をやや下回っているようですね。

吉:あくまでも過去の成績なので将来も同じ実力とは限りませんが、傾向をつかむ参考にはなります。もちろん、「iTrust日本株式」は「ピクテ日本~」より信託報酬が年率で0.6ポイントほど安いので、その分はプラスの評価をする必要があります。いずれにしても、良い時と悪い時でムラがある投信との傾向は見て取れますね。

Q:マザーの実績が良好なのは?

吉:「ノーロード明治安田J-REITアクティブ」には期待しています。「明治安田J-REIT戦略ファンド(毎月分配型)」と同じマザーに投資していますが、同マザーは設定来、安定的に東証REIT(不動産投信)指数を上回っていますね。また信託報酬が0.297%と、インデックス型の最安値に迫る水準であることも驚きです。あと、シリーズものではありませんが、「ラッセル・インベストメント外国株式ファンド」にも注目しています。信託報酬の水準は他より見劣りしますが、マザーは「ラッセル・インベストメント外国株式ファンド(DC向け)」と同じで、相対的に良好な成績の同投信よりもさらに低い信託報酬です。

Q:他に特徴がある投信は?

吉:「ノーロード明治安田社債アクティブ〈特化型〉」は面白そうですね。円建て社債に投資する投信で、国債より利回りが高く、金利変動に対する感応度もインデックス型より抑えられています。「ひとくふう世界国債ファンド(為替ヘッジあり)」も、期待収益の高い銘柄に投資するという方針が興味深いです。債券投信は期待利回りが低い分、コストが与える影響が大きいので、インデックス型並みのコストで精度の高いアクティブ運用ができるなら投資する価値があると思います。いずれも同じような運用をする実績の長い投信はないので、運用状況を見ながら判断することは忘れないでください。

吉井崇裕

 イデア・ファンド・コンサルティング社長。ファンド・アナリストとして、国内約4000本の投資信託を常時分析する。モーニングスター、三菱アセットブレインズにてファンド・アナリスト、朝日ライフアセットマネジメントにて販売および運用関連業務に従事。現在はFP法人GAIAのセレクトファンドの選定に携わる。

[日経マネー2017年5月号の記事を再構成]

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