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辛旨「シラチャー」が日本上陸 米国発のエスニック

日経トレンディネット

2017/3/21

「菜館Asia シラチャーソース(165g)」(380円)。ディップソースやドレッシング、炒めものなどさまざまなメニューに使えるという
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 エスビー食品は2017年2月、一風変わった調味料を発売した。米国で人気のエスニック調味料「シラチャーソース」だ。

 シラチャーソースはもともとタイのシラチャ地方でシーフード料理などに使われていたソース。それが米国でハンバーガーやホットドッグなど幅広い料理に使われるようになり、今では多くのスーパーに並ぶ定番調味料になっている。

 主な原料は唐辛子、酢、ガーリック、砂糖、塩で、タバスコほど辛みは強くなく、うまみが強いため、いろいろな料理に幅広く使えるのが強みだ。米国では熱烈なファンも多く、シラチャーソースの料理本や、パッケージデザインのグッズが売られているほどだという。

■エスニック料理ブームがついに家庭にも?

 2009年にブレークした「桃屋の辛そうで辛くない少し辛いラー油」と2011年に流行した「塩麹」は、どちらも今では家庭用調味料として定着している。シラチャーソースにはこれらに続くヒット調味料となる要因がある。

 まずエスニック料理人気の高まりによって、家庭用エスニック調味料の市場も拡大していることが大きい。これまでにも外食で人気のエスニック料理を家庭でも普及させようという動きはあったが、家族にエスニック料理の風味が苦手な人がいたり、辛くて子供が食べられないといった理由でなかなかうまくいかなかったのだ。

 しかし、エスビー食品の2015年のデータによると、同社の李錦記ナンプラーソースは2011年比で約3倍、スイートチリソースは約2倍売れたという。同社の調査ではナンプラーなどに代表されるエスニック調味料が苦手な人が減っているというデータもあるそうだ。「日本人にも辛みや酸味が受け入れられてきている傾向があり、そのような味わいを特徴としたメニューや調味料も浸透していく可能性が十分にある」(エスビー食品開発生産グループ商品部商品企画ユニットの山本泰氏)

エスビー食品の「李錦記 魚醤(ナンプラー)ソース」は2011年比で約3倍、スイートチリソースは約2倍売れたという

  シラチャーソースを小皿に取ってみると、まずどろりと濃厚な質感に驚く。質感としてはとんかつソース、色味は暗めの豆板醤という印象だ。なめてみると、辛みは思ったより強い。だが辛いだけでなく、うまみも感じられる。

小皿に取ってみると、とんかつソースのようなどろりとした質感。色味は暗めの豆板醤という感じ。なめてみると辛いだけでなく、うまみも感じられる

 早速、同社の商品サイトにあったレシピ「シラチャ―麺」を試してみた。湯にシラチャーソースと鶏ガラスープの素を溶かしただけの即席スープなのだが、シラチャーソースのうまみが強く感じられ、爽やかな辛さがそうめんと好相性。簡単だし、冷たくしても温めてもおいしいので、このために常備してもいいと思うほど。ちなみにシラチャーソースを使って米国で多く食べられているメニューは日本人には少し味が濃いため、同社のシラチャーソースで提案しているレシピは、日本人向けに少しだけアレンジしているとのこと。

湯300mlにシラチャーソースと鶏がらスープ(顆粒)各小さじ2を溶かし、そうめんを入れた「シラチャーメン」は誰にでも好まれそうな味

 「コンビニで人気が高まっているサラダチキンとも相性がいい」(山本氏)とのことで試してみたら、確かに淡白なサラダチキンに複雑な辛みが加わり、うまみも引き出されていておいしかった。空揚げにかけたり、焼き餃子のタレにも使ってみたが、パンチの効いた味に変身した。納豆に混ぜる食べ方もおすすめとのこと。ほかにも使い方はいろいろありそうで、非常に汎用性が高いと感じた。

コンビニで人気のサラダチキンとは相性が非常に良かった
餃子や鶏の空揚げにかけるとパンチの効いた味わいに

 「タイフェスに2日間で40万人もの人が集まり、外食でもエスニック料理を食べる機会が増えている今、家庭でもエスニック料理を食べたいと思っている人は多いはず。パクチー人気も高まっていて、エスニック料理のすそ野を広げる時期に来ている。シラチャーの主原料である唐辛子・ガーリックなどのスパイスを取り扱う当社だからこそできる味作りと、日本市場に沿った使い方、メニュー提案で、新しい調味料として定着させたい」(山本氏)

 “タイ発祥のエスニックソースなのに米国発”というユニークさも売りにしたいところだろう。

■米国発調味料にヒットの兆し

 シラチャーソースのほかにも、米国発のユニークな調味料でヒットしそうなものがある。それが、米国のスーパーには必ずといっていいほど売られている煮つぶしリンゴペースト「アップルソース」だ。白砂糖に代わる甘味料として使用する人も日本で増えているという。

 日本でアップルソースを販売するブラウンシュガーファースト(東京都渋谷区)は2013年9月から自社ブランドの「有機アップルソース」を発売(原料・製造は米国)。発売当初はアップルソースに対する認知度が低く、取り扱い店は大手百貨店を中心とした数店という状況だった。しかし2016年の1年で300店舗以上にまで急増。2016年12月の売り上げは、前年度同月比の7倍を記録。同商品の認知度が上がった手応えを感じているという。

1瓶に有機りんごが6個分入った「有機アップルソース(瓶タイプ/680g)」(980円)。有機JAS・USDAオーガニック認証取得。香料・酸化防止剤などの添加物不使用

 販売店が増えて売り上げが急増するきっかけとなったのは、2015年冬に既存のカップタイプ(114g)に加え、瓶タイプ(680g)を発売したこと。糖質オフブームが盛り上がり、精製された白砂糖ではなく蜂蜜や甘酒などの「ネイチャースイートソース」を甘味料として使う人が増え、アップルソースも注目され始めた。そのタイミングで、量が多くて料理にも使い勝手が良い瓶タイプが一気に広まったそうだ。

 「朝食のヨーグルトやグラノーラに加えるのにも便利になり、ファミリー層のニーズにマッチした。また発売から地道に試食販売を続けたことで、着実にリピーターがついたことも大きかった。単に甘みをつけられるだけではなく、食物繊維(ペクチン)やリンゴポリフェノールが含まれているという付加価値があり、リンゴ特有のさわやかな風味やとろみがつけられることが、調理用に人気が高まっている理由では」(同社広報担当・松浦裕香里氏)

 アップルソースを調理に使用して実感したのは肉料理との相性が非常に良いこと。しょうゆとショウガを混ぜ、豚肉を漬け込んで焼いたショウガ焼きを試してみたが、肉が柔らかくなり、フルーティーな甘みもつく。ハムステーキにそのままかけても、フライパンに残った汁と合わせてしょうゆをプラスしソースとしても、簡単に肉によく合うソースができる。バーベキュー好きな米国で重宝されている理由が分かる気がした。

 スーパーの棚にはさまざまな調味ソースがあふれているが、汎用性の高いものは意外に少ない。買ってみても、せいぜい数回使っただけで忘れてしまい、冷蔵庫の場所ふさぎになっているものも少なくない。その点、この2つは汎用性が高く、毎日でも使い道がありそう。それが米国でも定番となっている理由なのだろう。

有機アップルソース、しょうゆ、ショウガを混ぜ、豚肉を漬け込んで焼いたショウガ焼きはおすすめ
有機アップルソースと味噌をミックスすると、フルーティーな酢味噌風のディップになる

(ライター 桑原恵美子)

[日経トレンディネット 2017年3月8日付の記事を再構成]

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