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小沢コージのちょっといいクルマ

ロールスのようなライン ボルボ、新しい高級の作り方

2017/3/21

ディズリー フロントグリルからリアエンドまで一貫してつながるサイドのプレスラインです。実際に立って見るとよく分かりますが、高級なヨットの側面みたいなラインでボートシェイプといいます。しかもこのラインはこのフロントノーズの部分まで完璧につながってるのです。

小沢 ホントだ。まさにディテールに神は宿るの典型ですね。

■ドイツ、そしてバウハウスから学んだ

小沢 ところであなたとあなたの上司のデザイントップのトーマス・インゲンラート氏は、どちらもドイツのアウディデザインにいたことがありますね。そこで学んだこととは何でしょう。

ディズリー アウディで良かったのはとてもたくさんのプロジェクトに関われたことですね。フルサイズカーも手がけましたし、4つの違ったタイプのデザインをして、マイナーチェンジにも関わって経験値が上がりました。

小沢 そこで高級車の作り方を学んだということですね。

ディズリー そうです。もっともアウディTTが出たころにはすでにバウハウスで学んでいましたが。

小沢 バウハウス? それってドイツの伝説的なアートと建築の学校ですよね。まだあったんですか?

ディズリー 私が在籍していたのは1994~95年ごろでしょうか。当時はアウディTTのデザインが好きだったんです。プロポーションもカーブもシートメタルも素晴らしくて、あれこそドイツ式のデザインでした。その後、「A4カブリオレ」を手がけましたが、バウハウス在籍時代に学んだのは、どんな小さなことでもちゃんとブランドにコネクトしているかどうかというこだわりです。小さなピースの一つ一つがすべてボルボブランドに合っているかどうか。実はそういうことを考えてないクルマは多いんですよ。私はそれをバウハウスでワシリー・カンディンスキーというアーティストに学びました。

小沢 なるほど。ディテールはすべてつながる。それが今のボルボデザインにも生かされているわけだ。しかし、これだけすべてのプロダクトデザインが国際化している今、スウェーデンらしさって難しくないですか。しかもあなたは英国人ですよね?

ディズリー それは逆に利点でもあって外国人のほうがかえってその国の文化であり、他とどこが違うのかが分かる部分もあるものです。それとロイヤル・カレッジ・オブ・アートで学ぶのです。ブランドの背景にはなにがあるのか。ボルボがボルボたらしめているものかは何かを考えることとその重要性を。

小沢 うーん、デザインってやっぱり深い。たかがカタチですが、単なる表面的な造形美ではないってことですね。

ジョナサン・ディズリー氏:アウディデザイン、フォードモーターを経て2001年ボルボ・カーズ入社。16年にわたりインテリアおよびエクステリア部門で実務を経験。現在、ボルボ・カー・グループ上海デザインスタジオ所長兼デザイン部長バイスプレジデント。もちろん最新「90シリーズ」のデザインもリード。数々の名デザイナーを輩出した英国ロイヤル・カレッジ・オブ・アートの修士号保有。1970年生まれ。英国籍、二児の父。

小沢コージ
自動車からスクーターから時計まで斬るバラエティー自動車ジャーナリスト。日経トレンディネット「ビューティフルカー」のほか、『ベストカー』『時計Begin』『MonoMax』『夕刊フジ』『週刊プレイボーイ』などに寄稿。著書に『クルマ界のすごい12人』(新潮新書)『車の運転が怖い人のためのドライブ上達読本』(宝島社)など。愛車はロールスロイス・コーニッシュクーペ、シティ・カブリオレなど。

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