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東京大学合格者数で女子校トップを走り続ける私立桜蔭中学・高校(東京・文京)。4人に1人が東大に進学、しかも生徒の7割近くが理系に進み、難関大の医学部の進学実績も伸びている。女性の医師や研究者、官僚に加え、起業家などの経営者も輩出。「東大に一番近い女子校」の強さの秘密とは何か。東京・水道橋の丘に立つ桜蔭を訪ねた。

授業前、4つの黒板に問題解く

「普段はこの教室に4つの黒板が置かれています。ここに生徒たちがドンドン書き込んでいきます」。ひな祭りの3月3日。桜蔭中学・高校の教務主任、小林裕子先生が案内してくれたのはガランとして誰もいない高校3年生の教室だ。2月下旬に東大などの大学入試が終わり、3月10日の合格発表を待っている状況。期末試験の真っ最中のため、午後にはほかの学年の生徒の姿もまばらだ。通常の期間であれば、同校に無関係な男性は決して入室することが許されない空間だが、この教室こそが桜蔭の強さの源泉なのだ。

桜蔭の教室には、通常の学校にある大きな黒板のほか、廊下側のサイド黒板と2つの移動式黒板が置かれる。4つの黒板に囲まれて授業をするわけだが、なんと数学などの教科では、授業がスタートする前の休み時間に、生徒たちが黒板に問題の解答を書き込んでおく。「前の授業の時にAさんは1問目、Bさんは2問目というように振り当て、それぞれ解いて授業前に黒板に書くように指示します」(小林先生)という。数学のほか、英作文や理科の科目でも、チャイムが鳴る前に黒板は、生徒たちが書き込んだ解答で埋めつくされるという。

桜蔭生はコツコツまじめ

桜蔭出身で東大理学部物理学科3年生の女子学生は、「数人の生徒が自分の担当の問題について、自らの解答を、黒板にツラツラ書き、それを先生が添削してくださいます。4つの黒板が数式でびっしり埋まっており、はたから見たらなかなかすごい光景だったと思いますね」と明かす。たまたま問題の当たった生徒が不運というわけではない。全員が予習し、問題は解いておく。これによりスピーディーで効果的な授業を展開できるわけだ。

筑波大付属駒場中学・高校(東京・世田谷)名物の「巨大黒板」や、灘中学・高校(神戸市)の教室の前と後ろの黒板に、それぞれの生徒がスラスラと難問を解く姿を筆者は取材したが、4つの黒板にしかも授業前に問題を解いておく学校など聞いたことがない。しかし、「宿題はたくさん出ますし、予習は当たり前です。本校はコツコツまじめな生徒が多いですから、うまく学習のリズムに乗れるよう指導しています」と、桜蔭中学・高校校長で、学校法人桜蔭学園理事長の佐々木和枝氏はこう話す。

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