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Money&Investment

デビットカード、現金代わりに 海外利用もOK

2017/3/19

 ある夜の筧家のダイニングテーブル。食事を終えた幸子と良男がコーヒーを飲んでいると、勉強が一段落した息子の満が自分の部屋から出てきました。満はもうすぐ高校1年生。今年の夏休みに行かせてもらう予定の海外短期留学について相談があるようです。

筧幸子(かけい・さちこ、48=上) 良男の妻。ファイナンシャルプランナー資格を持ち、家計について相談業務を手掛ける。 筧良男(かけい・よしお、52=中) 機械メーカー勤務。家計や資産運用は基本的に妻任せ。最近、親の相続が気になり始めた。 筧満(かけい・みつる、15) 息子。投資を勉強しながらジュニアNISAで運用中。尊敬するのは米国の著名投資家。

  このあいだ1週間の海外留学に行かせてくれるって言ったでしょ? まだ先の話だけど、向こうでも使えるようにカードを作ってほしいんだ。

 良男 カード? でもクレジットカードはお前の年齢じゃあ作れないぞ。

  買い物をすると代金が預金口座からその場で引き落とされるデビットカードというのがあるんだ。僕たちでも作れると友達が言ってた。

■信用力審査なく

 幸子 確かにデビットは預貯金口座に残高があればいいわけだからクレジットカードと違って信用力の審査がないわ。一定の収入がないシニアや未成年も対象よ。15歳から対象としている金融機関が多いわね。

 良男 ああ、デビットか。私も一応持ってるよ。現金を持ち歩かなくていいしATMを探す面倒もないからな。でも使えるのは国内だけだった気がする。

 幸子 それは昔からある「Jデビット」のことね。金融機関のキャッシュカードがそのままデビットカードとして使えるサービスよ。最近増えているのがVisaやJCBといった国際ブランドと提携して発行する「ブランドデビットカード」。満が言っているのはこっちね?

  うん。そうなんだ。

 幸子 Jデビットが使えるのは国内の数十万のお店だけど、ブランドデビットはVisaやJCBなどが使える国内外の数千万店が対象なの。店頭で「Visaデビットで」などといえば、クレジットカードと同じように利用できるわ。

 良男 そんなのがあるのは知らなかったな。

 幸子 ここ数年、メガバンクや地方銀行、カード会社などが相次いで発行しているわ。昨年秋にVisaと提携して発行が始まった「SMBCデビット」は、予想を上回る申し込みだそうよ。便利なので現金の代わりに使いたいという人が目立つらしいわ。

 良男 海外で外国の通貨でお金を払ったとき日本の預貯金口座からどう引き落とされるのかイメージがわかないな。

 幸子 通常は海外で使うと、代金が円に換算されて口座から引き落とされるの。でもソニー銀行の「ソニーバンク・ウォレット」は外貨預金があればそのまま引き落とし口座として使えるわ。ドルやユーロ、豪ドルなど10種類の外貨に対応しているの。もし円高になって円に戻すと損をするときも、そのまま海外で使えるから便利ね。

  留学から帰ってからも、ブランドデビットがあると助かるよ。スマホで好きな音楽をダウンロードしたりインターネットでものを買ったりするのも、24時間いつでもできるからさ。

■ポイント還元も

 良男 どんどんお金を使うようになりそうで抵抗があるな。

 幸子 そうとも言えないわ。デビットは預貯金口座の残高以上は使えない。口座に月のお小遣いとして決めた金額だけ入れておけば、それ以上は使えないってこと。

  ちょっと残念。

 幸子 主婦でも家計管理のためにデビットを使っている人は結構いるの。だってクレジットカードは引き落としが翌月なので買い物のあとにいくら残るか分かりづらいわ。デビットは使うたびに預金残高がわかるので使いすぎないというわけ。

  ブランドデビットカードはポイントなどがたまるの?

 幸子 キャッシュバックやポイントの仕組みはあるけど、クレジットカードより還元率が低いことが多いわ。クレジットは利用額の0.5~1%くらいが多く、デビットは0.2~0.5%くらいが目立つわね。ただソニーバンク・ウォレットは、住宅ローンでソニー銀行を使うなどの一定条件で最大2%の還元率になるわ。

 良男 還元率が低いことが多いのは残念だな。

 幸子 人によっては、高額の買い物ではクレジットカードを使ってポイントをため、普段の買い物はデビットで家計管理をするという具合に使い分けている人もいるわ。

 良男 なるほど。

  友達の一人は対話アプリのLINEが出している「LINE Payカード」を持ってるよ。これもデビットカード?

 幸子 デビットカードのように預貯金口座と連動しているわけではなくて、カードに事前入金した範囲で使う仕組みね。こうしたタイプをプリペイドカードというの。LINE PayはJCBと提携して国内外のJCB加盟店で使える。LINEアプリなどから入手できるの。ポイントは利用額の2%と一般的なクレジットカードやデビットより高いのが特徴よ。

  同じようなタイプのプリペイドもあるの?

 幸子 国内外のマスターカード加盟店で使えるKDDIの「auウォレットプリペイドカード」も似た仕組みね。ポイント還元率は0.5%だけど、一部の大手小売りチェーンなど使う店によっては還元率が高くなる例があるわ。

■役割ごとに使い分けを
 ファイナンシャルプランナー 横山光昭さん
 預貯金口座の残高以上は使えないブランドデビットカードと同様に「LINE Payカード」などプリペイドカードもチャージした金額以上は利用できないので支出管理に便利です。「先月は使いすぎたので今回は○万円だけチャージしておこう」という具合に、そのときどきでより細かな管理も簡単にできます。私自身は仕事の経費などはブランドデビット、個人的なお小遣いはLINEのプリペイドカードを使っています。複数のカードを使って、カードごとに役割を持たせると管理がしやすくなります。
 カードを使い分けるだけでなく、支出した内容を後から「消費」「浪費」「投資」などに分けて振り返ることもお薦めです。自分が本当に有効にお金を使っているかを改めて考えることにつながります。(聞き手は編集委員 田村正之)

[日本経済新聞夕刊2017年3月15日付]

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