プレ金には弾丸ツアー 夕刻発、アジアなら2.5泊満喫
月末の金曜日に早帰りを促し消費を喚起する「プレミアムフライデー(プレ金)」は、週末の海外旅行の幅を広げた。今までは半休を取らないと間に合わなかった夕方便に乗れるため、アジアならその日の夕食時に到着できるところもある。日曜までの「2.5日」を現地でゆっくりと過ごせる。東京、大阪、名古屋、福岡のエリアごとに、それぞれ中心部から3時退勤で利用できる夕方便を厳選。より長く滞在できるプランを探った。
LCCを活用、旅費を安く
まずは東京エリア。東京駅午後3時33分発の成田エクスプレスに乗れば4時31分に成田空港駅に到着。京成上野駅3時40分発の京成スカイライナーなら成田空港駅には4時23分に着く。成田空港では国際線チェックインの締め切りを1時間前、羽田空港では40分前に設定している航空会社が多いため、成田発の飛行機なら5時35分以降、羽田発なら5時以降の出発便が選択肢に入る。
滞在時間を長く取れるのは、やはり近場の台北(約53時間)、香港(51時間)だ。いずれも成田発の金曜夕方便で現地に向かい、日曜の深夜便で月曜早朝に成田に戻る2泊4日のプラン。金曜は現地で遅めの夕食を取れるうえ、土日を使って目いっぱい観光できる。特に台北は、ANAグループの格安航空会社(LCC)、バニラエアの便が理想的な時間帯に設定されており、狙い目。3月31日(金曜)~4月3日(月曜)の往復料金は3万4330円と、大手航空会社に比べてかなり割安感があった(2月上旬時点)。
タイ(バンコク)やシンガポールといった東南アジアへの旅行も無理なくできる。従来の羽田発の深夜便では機内泊になり移動だけ疲れてしまったが、夕方便ならホテルに泊まれる。
旅費を安く済ませたいなら、ここでもLCCを使うのが得策で、行き先はバンコクが有力候補になる。タイ・エアアジアXは金曜の成田発午後8時55分で、帰りは月曜の成田着午前8時と遅めだが、往復料金は5万8018円(3月31日~4月3日)。同じ期間のANAのバンコク便より約1万円安かった。この便なら5時退勤でも間に合うが、3時に会社を出られるなら、東京駅などから出ている片道1000円以下の格安バスを使える。
マイル使えば米西海岸も
もっとダイナミックな週末弾丸旅行をするなら、実は思い切ってオーストラリアや米国まで行くこともできる。いずれも現地で30時間前後は過ごせる。
オーストラリアへはジェットスター航空で成田からケアンズに飛び、土曜早朝に到着。グレートバリアリーフでの滞在を満喫し、復路は日曜の昼に出て夕方に成田に着くスケジュールだ。ハワイや米国西海岸に週末を使って行くには、マイルの活用が必須。航空券を購入する場合、基本的に割引運賃の適用条件として最低滞在日数(米国行きは2泊)が設定されているが、マイルの場合は制約がない。1泊3日の超強行スケジュールだが、成田午後7時45分発のJAL便でホノルルに飛び、現地に31時間滞在できる。
続いて大阪、名古屋、福岡からの金曜夕方発プランを検討した。いずれも昼便および夜便の設定が中心で、夕方に出発する便は近場のアジアに限られてしまうが、名古屋以外は夕方のちょうどいい時間帯にLCCが出発する。東京発に比べると距離が短いぶん、現地到着が早いのもメリットだ。
関西国際空港発のLCCを活用するならソウルや釡山、台北、バンコクが候補。福岡空港からはソウル、釡山、香港のいずれへもLCCで行ける。ただし福岡空港のチェックインの締め切りは40分前なので、午後4時10分発の釡山行きエアプサンに乗るには、3時30分までに空港カウンターに着く必要がある。
快適に週末弾丸旅行をするには、空港宅配便で事前にキャリーバッグを出発空港に送っておくことが肝要。特に出発までの時間が限られるプランは、身軽な状態で移動したいところだ。
(「日経トレンディ」4月号から再構成。文=航空・旅行アナリスト 鳥海高太朗)
[日本経済新聞夕刊2017年3月18日付]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。