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世界でもトップクラスの教授陣を誇るビジネススクールの米スタンフォード大学経営大学院。この連載では、その教授たちが今何を考え、どんな教育を実践しているのか、インタビューシリーズでお届けする。今回はジョナサン・レバーブ准教授の4回目だ。

コロンビア大学経営大学院のシーナ・アイエンガー教授は、人間は選択肢の数が多すぎると選べないということをスーパーマーケットで実証し、一躍有名になった。日本でもNHKEテレ「コロンビア白熱教室」で放送されたため、ご存じの方もいるだろう。しかし、元共同研究者のレバーブ准教授はこの結論だけがひとり歩きしていることに異論を唱える。その理由は何なのだろうか。(聞き手は作家・コンサルタントの佐藤智恵氏)

スタンフォード大学経営大学院 ジョナサン・レバーブ准教授 Courtesy of Stanford GSB

スタンフォード大学経営大学院 ジョナサン・レバーブ准教授 Courtesy of Stanford GSB 

ジャムの種類は少ない方が売れる?

佐藤:著書「選択の科学」で有名なコロンビア大学のシーナ・アイエンガー教授は、「選択肢が多ければ多いほど、顧客の購買意欲は低下する」という研究結果を発表しています。

アイエンガー教授らは、アメリカのスーパーマーケットにジャムの試食ブースをつくり、24種類のジャムと6種類のジャムを数時間ごとに入れ替えて提供し、買い物客の反応を調べるという実験を行いました。その結果、24種類のジャムを並べたときには、買い物客の3%しか購入しませんでしたが、6種類のジャムを並べたときには、買い物客の30%近くが購入しました。

この結果を受け、アメリカでは店頭に並べる品物の種類をあえて少なくする店も出てきています。レバーブ准教授は、アイエンガー教授の共同研究者でもありますが、この「ジャムの法則」が売り手側に大きな影響を与えていることについてはどう見ていますか。

レバーブ:ジャムの実験の結果から、「選択肢が多ければ多いほど、顧客の購買意欲は低下するのだから、選択肢は少ない方がよい」と結論づけてしまうのは早急だと思いますよ。選択肢が少ない場合でも購買意欲を失う人はいますし、選択肢が多いからこそ購買意欲がわくという人もいます。購入を決断するまでの過程には、目の前にある選択肢の数だけではなく、途中でどれだけ休憩をとったか、その人本人がどれだけ自分で選びたいかといった他の要素も深く関わっているのです。

洋服が大好きな人ならば、デパートに5時間ぐらいいて、何着と試着しても全く苦にならないでしょうが、洋服を選ぶのが苦手な私にとっては苦痛でしかたがない。お店に5分もいたら、「もうたくさん」と思ってしまい、決断するのを放棄してしまいます。

佐藤さんと私が同じラーメン店で食事をしたとします。そこで20種類もメニューがあったら、アメリカ人の私はびっくりしますが、日本人の佐藤さんにとっては、なんとも思わないでしょう。

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