アート&レビュー

エンタウオッチング

神木隆之介 『3月のライオン』で見せた、プロの覚悟

日経エンタテインメント!

2017/3/20

 『3月のライオン』の実写映画化で、主人公で17歳のプロ棋士・桐山零役を演じるのは、神木隆之介だ。「そっくり」と言われるビジュアルもさることながら、幼少の頃からプロの俳優としてキャリアを積み、16年、声の主演を務めた『君の名は。』が国内外で大ヒットを記録。23歳にして演技派かつトップランナーというプロフィールが「零と重なり合う」と、そのキャスティングは大友啓史監督たっての希望でもあった。

1993年5月19日生まれ 16年は主人公の声を務めた『君の名は。』が大ヒット。『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』が8月4日公開予定(写真/鈴木芳果)

 『るろうに剣心』シリーズ(12~14年)に続いて大友監督とタッグを組んだ神木は、どのように原作を読み、作品に取り組んだのか。

 「原作と出合ったのは、20歳ぐらいのとき。人に貸してもらったのが最初でした。将棋はよく分からなくても、登場人物たちがどんな思いで指しているのか、何を抱えているのかは分かる。すごく人間味がある物語で、川本家の三姉妹の心の温かさや、時々出てくる心のこもった料理があって時間がゆっくりと流れていく。とても魅力的に感じました。 

 その頃から、周りの友達に『お前がダッフルコートを着たら、(零役は)合うかもね』と言われていて、メガネをかけて写真を撮ったこともあったんです。それがかなったというか、本当に零を演じることができるようになってびっくりしました(笑)。でも、演じるとなると、不安もありました。 

 撮影前に、郷田(真隆)先生と羽生(善治)先生の王将戦を見に行かせていただいたのですが、その時のお2人の姿が、魂の、命のぶつかり合い、削り合いだったんです。いい意味でピリッとした緊張感があり、誰も入ることができない領域が感じ取れた。それを映画に生かせたらいいなと思いました」

■原作から「感じたままに」

 『るろうに剣心』では、一見穏やかだが瞬く間に人を殺めていく凄腕の剣士・瀬田宗次郎役へのなり切りぶりが原作ファンからの絶賛を集めた。今回の零役は、幼いときに家族を失くし、父の親友であるプロ棋士の家に弟子入り。そこで才能を発揮するも、姉弟から疎まれ、1人家を出る──かなり複雑な背景を持ち、様々な葛藤を抱え揺れ動きながら、将棋盤で懸命な人間ドラマを見せる、という難役。その役作りには、「かなり悩んだ」と言う。

アート&レビュー