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『3月のライオン』監督の挑戦 マンガを大胆に再構築

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『3月のライオン』は、若きプロ棋士・桐山零(神木隆之介)が東京の下町で暮らす3姉妹と出会い、居場所を求め、将棋の対局を通じて成長する<闘い>の物語。原作は、アニメ・実写映画ともに人気となった名作『ハチミツとクローバー』の羽海野チカによるマンガ。登場人物に対する深い洞察や優しさと切なさの入り交じった描写、そして様々な問題に立ち向かう零の姿は数多くの読者に愛され、マンガ大賞や手塚治虫文化賞マンガ大賞など数々の賞を総なめにしている。

この2010年代を代表する傑作マンガの実写化に挑んだのが、大友啓史監督だ。実写化にあたり、まず3つのことを考えたと言う。

「最初からイメージしていたのは、物語の冒頭で、家族を事故で亡くした8歳の零が、『君は将棋、好きか?』というプロ棋士・幸田の問いかけに対し、生きていくために嘘をつく(好きだと言う)。その彼が、本当に将棋を好きになるまでの過程を描くということ。

一方で、原作の魅力である<豊かさ>──軸はプロ棋士の成長物語でも将棋の話だけではダメで、川本家3姉妹との交流や食の魅力、四季折々の行事、養子として引き取られた幸田家での家族問題などが静かに絡み合い、向田邦子ドラマのように進んでいく。そうした大切なものが抜け落ちないよう、しかし総集編にならないよう気をつけながら成立させようと意識した。

後に師となる島田や、不良棋士のようでも病気の妻への思いを抱える後藤ら、タイプの違う棋士たちと闘って認め合う、プロの勝負の話も描きたかった」

これまで、『るろうに剣心』では原作を再現してなお凌駕(りょうが)するバトルを映像化。『秘密』では脳科学を題材に近未来の世界、『ミュージアム』ではサイコパスとの壮絶な闘いなど、非現実的な物語をリアル以上に描き切り、観客を驚かせてきた。

今回は一転、現実の場所を舞台にした人間ドラマだ。アプローチとしては、「NHK時代に手がけた『ちゅらさん』のような多様性を持った"チャンプルードラマ"を目指した」が、実は「相当にハードルが高かった」と明かす。

まずは舞台。物語の根幹となるのは、孤独な高校生プロ棋士・零が川本家の長女・あかりに拾われ、次女・ひなたや三女・ももに囲まれ心を開いていく物語だが、「若い女性だけで暮らす家に、酔い潰れた見知らぬ男性を連れて帰ることなど現実にはありえない」。そんな一種のファンタジーを地に足のついた表現にするため、3姉妹の家はセットでなく、人が長く生活してきた戸建てを探し、オールロケで撮影した。

「目の演技」を撮る

次の鬼門が、将棋の対局だ。これまでの大友作品に多く見られるアクションやガジェットで表現できた闘いではなく、将棋盤を挟んだ「人間力の勝負」を映像で表現するために編み出したのが、「目」の演技を拾う手法だ。「対局では、自分が不利でも表情に出さない。しかしそれをアップで撮ると、瞳の奥底に感情が宿っていることが分かる。だから、現場ではひたすら小さいモニターに対峙し、役者の目をチェックし続けた」のだとか。

特に前編の、緊張感と緊迫感の完成度は高い。そうしたシーンの空気を彩り、感情を揺り動かすのがSE(効果音)だ。パチンと置かれる駒の音、東京湾の橋の上、将棋会館周辺の風、下町の生活音まで、零になったかのように体感できる。

取材中、「名作ほど実写化は難しい」という言葉が何度も出た。

「原作の完成度が高ければ高いほど、撮りたい欲求が刺激されるシーンは多い。しかし、映画でそのまま再現することは不可能で、その方法を自分たちで<発明>しなければと。だから、『映画を作りたいのか、マンガを再現したいのか』と問い続け、ストーリーと基本的な人物設定以外は基本的に僕らの意志を貫き通した。しかるべきタイミングで原作の魅力から卒業し、グルッと回って、原作と同じところにたどり着けた気がします」

これまで、マンガ原作の実写化は原作の世界観の再現を第一に求められてきた。しかし本作では、17歳の主人公の成長から軸をぶらさず、そのため原作で前面に出ることの少なかった幸田家のエピソードを強めるなど、必然性から膨大なエピソードを大胆に再構築。主人公・桐山零役の神木隆之介はじめ、キャスティングも見事はまった。こうして、原作と同じ魂と匂いを持った、新たな大友監督版『3月のライオン』を描き上げた。

(ライター 波多野絵理、日経エンタテインメント! 平島綾子)

[日経エンタテインメント! 2017年4月号の記事を再構成]

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