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『3月のライオン』監督の挑戦 マンガを大胆に再構築

日経エンタテインメント!

2017/3/18

 『3月のライオン』は、若きプロ棋士・桐山零(神木隆之介)が東京の下町で暮らす3姉妹と出会い、居場所を求め、将棋の対局を通じて成長する<闘い>の物語。原作は、アニメ・実写映画ともに人気となった名作『ハチミツとクローバー』の羽海野チカによるマンガ。登場人物に対する深い洞察や優しさと切なさの入り交じった描写、そして様々な問題に立ち向かう零の姿は数多くの読者に愛され、マンガ大賞や手塚治虫文化賞マンガ大賞など数々の賞を総なめにしている。

前編は3月18日(土)公開、後編は4月22日(土)公開 (C)2017映画「3月のライオン」製作委員会

 この2010年代を代表する傑作マンガの実写化に挑んだのが、大友啓史監督だ。実写化にあたり、まず3つのことを考えたと言う。

おおとも・けいし NHK在籍中『ハゲタカ』『龍馬伝』などで注目され2011年に独立(写真/中川真理子)

 「最初からイメージしていたのは、物語の冒頭で、家族を事故で亡くした8歳の零が、『君は将棋、好きか?』というプロ棋士・幸田の問いかけに対し、生きていくために嘘をつく(好きだと言う)。その彼が、本当に将棋を好きになるまでの過程を描くということ。

 一方で、原作の魅力である<豊かさ>──軸はプロ棋士の成長物語でも将棋の話だけではダメで、川本家3姉妹との交流や食の魅力、四季折々の行事、養子として引き取られた幸田家での家族問題などが静かに絡み合い、向田邦子ドラマのように進んでいく。そうした大切なものが抜け落ちないよう、しかし総集編にならないよう気をつけながら成立させようと意識した。

 後に師となる島田や、不良棋士のようでも病気の妻への思いを抱える後藤ら、タイプの違う棋士たちと闘って認め合う、プロの勝負の話も描きたかった」

有村架純は棋士を諦めさせられ、父と零に複雑な感情を抱く激情型の零の義理の姉役
豊川悦司が演じるのは、零の父の友人で零を引き取ったプロの棋士

 これまで、『るろうに剣心』では原作を再現してなお凌駕(りょうが)するバトルを映像化。『秘密』では脳科学を題材に近未来の世界、『ミュージアム』ではサイコパスとの壮絶な闘いなど、非現実的な物語をリアル以上に描き切り、観客を驚かせてきた。

 今回は一転、現実の場所を舞台にした人間ドラマだ。アプローチとしては、「NHK時代に手がけた『ちゅらさん』のような多様性を持った“チャンプルードラマ”を目指した」が、実は「相当にハードルが高かった」と明かす。

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