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PS VRは映画に最高 プラネタリウムでも癒やされる

日経トレンディネット

2017/3/17

日経トレンディネット

 「VR元年」とも呼ばれた2016年、10月13日にソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)の「PlayStation VR」(以下PS VR 4万4980円~)が発売された。

 ソニー好きの筆者は発売日にPS VRを購入した。だが、日々VRゲームを楽しんでいるのかというと、そうでもない。かといって、発売から半年も経たずに、部屋の片隅でホコリをかぶるような存在になってしまったわけではなく、楽しく活用している。

 では、ゲーム以外でPS VRをどう活用しているのか。今回はPS VRの活用法をいくつか紹介していこう。

■リアルな世界を体感できる

 まずは、PS VRがどんな製品なのかを簡単に説明しよう。

 PS VRは、ディスプレーを備えたVRヘッドセットを頭に被ることで、迫力のある3D空間をリアルに近い感覚で体感できるシステムだ。

 映し出される3D空間の映像はリアルタイムに変化する。例えば右を向けば右側の、左を向けば左側の映像が映し出されるし、上を向けば上部の映像も見ることができる。

 さらに、360度あらゆる方向からの音を再現する立体音響(3Dオーディオ)にも対応。臨場感あるサウンドが、映像世界への没入感をさらに増してくれる。

ソニーのバーチャルリアリティシステム「PlayStation VR」。価格は、PS VR本体のみが4万4980円、PS VR+PlayStation Camera同梱版が4万9980円

■導入には約8万円が必要

 PS VRを楽しむためには、ゲーム機の「PlayStation 4」(以下PS4)とPS4の周辺機器である「PlayStation Camera」(以下PS Camera)が必要となる。

 PS VRとPS Cameraがセットになったモデルが4万9980円、PS4の最安モデルが2万9000円となるため、PS4を持っていないユーザーがゼロからスタートする場合には約8万円の投資が必要となる。

 8万円という価格は安いとは言えない。しかし、パソコンでVRを楽しめる「Oculus Rift」や「HTC Vive」の場合は本体だけで約10万円。さらに、それらが遊べるスペックを兼ね備えたパソコン代まで含めると20万円前後の出費は確実だ。

 それらに比べれば、PS VRはまだお手頃な価格でVRを遊べるといえる。ただ、現状はまだ出荷数が多くないため、簡単に手に入らないことが問題である。

 ちなみに、筆者がPS VRであまりVRゲームをしないのは、少し遊んだだけでもかなりの確率で「酔ってしまう」からだ。酔いやすい体質なのか、遊んでいればそのうち慣れるのか分からないが、現時点ではうまくフィットするまでには至っていない。

■映画を「200インチ相当の大画面」で楽しむ

 PS VRをゲーム以外で利用する方法として、2Dコンテンツを楽しむための「シネマティックモード」がある。シネマティックモードは、基本的にVRに対応しない既存コンテンツを楽しむためのモードだ。暗い仮想空間に浮かぶ117~226インチ相当の巨大なディスプレーで映像を楽しめる。

 PS VRはPS4に接続されているため、BDやDVDの映画コンテンツ、テレビ視聴・録画アプリ「torne」でのテレビ・録画番組の視聴が可能。また、YouTubeやNetflixといった動画サービスなども、映画館並みの大画面で楽しむことができる。

 さらに、ヘッドホンを利用することでバーチャルサラウンドにも対応。そのため、没入感はかなり高い。

 筆者は、映画はできれば映画館で見たいと思うし、スポーツを見るのもかなり好きだ。そのため、PS VRを購入した第一の理由は「シネマティックモード」であったといっても過言ではない。

 また、仮想空間内スクリーンサイズで中もしくは大を選ぶと、画面の位置が仮想空間内で固定される。これにより、少し頭を動かしても画面は動かず、テレビと同じように自由な感覚で違和感なく視聴できる。大型テレビやホームシアターのような迫力の大画面を、小さな部屋に導入できる点は魅力だ。

シネマティックモードは、仮想空間内の約2.5メートル先にスクリーンが現れるイメージ。画面サイズは小(117インチ相当)・中(163インチ相当)・大(226インチ相当)の3段階が選べる

 ただし、PS VRの解像度は片目で960×1080ドット、両目で合わせて1920×1080ドットとなるが、画質的にはフルHDテレビよりもやや劣る。とはいえ、画質を十分補うだけの没入感を体感できるため、よほど画質にこだわる人でなければ問題なく楽しめるはずだ。

 なお、PS VRはこれまでBlu-ray 3Dに対応していなかったが、システムの次回バージョンアップで対応する予定。3D映画も見ることができるため、3D対応のテレビを購入する必要がなくなったのは個人的にうれしい。

■「360度映像の視聴」にも大活躍

 映像コンテンツの新たな楽しみという点では、最近注目を集めている全天球カメラの映像もPS VRがあれば気軽に視聴できる。

 全天球カメラは、360度すべてを撮影するカメラのことだ。リコーの「THETA」やカシオの「EX-FR200」など多くの製品が発売されている。

 これらのカメラで撮影した映像は、付属ソフトなどで既定の動画ファイルにパソコンで変換し、そのデータをUSBメモリーに保存してPS4に接続すれば、PS VRでも視聴可能になる。

 また、これらの360度映像はYouTubeにも数多くアップされている。その映像もPS VRで楽しめるので、それを見るだけでもかなり面白い。

 例えば、スカイダイビングやサーフィンの映像であれば、まるで実際にやっているかのような疑似体験が可能。高い場所を歩く映像では自分の意志で足元の風景を見ることができるため、ちょっと肝を冷やしてしまうほどの迫力と雰囲気を感じた。VRだからこそ味わえる体験といえるだろう。

自分で撮影した360°のパノラマ風景を楽しめるのはもちろん、YouTubeには高所恐怖症の人はちょっと肝を冷やすような映像も多数存在する

■オーロラや星空に癒される

 映像コンテンツ以外で個人的に感動したPS VR用のソフトウエアに『NORTHERN LIGHTS -極北の夜空に輝く光の物語-』と『コズミックフロント☆NEXT VR 南米星空編』がある。

 NORTHERN LIGHTSはオーロラ、コズミックフロントは満天の星空を堪能できるPS VR用ソフトだ。

 実際に見てみると、本物のプラネタリウムでオーロラや星空を楽しんでいるような感覚にひたれる。のんびり1カ所を見続けてもいいし、360度見渡して楽しんでもいい。自宅でプラネタリウムと変わらない体験ができるというのは、「便利な世の中になったものだ」と感じる。

 また、どちらのソフトにも癒やし系の音楽が収録されているので、リラクゼーション感覚でくつろぎながら見るのにも最適。PS VRの没入感と合わせて、癒やしの時間を過ごせる。

オリハルコンテクノロジーズの『NORTHERN LIGHTS -極北の夜空に輝く光の物語-』では、アラスカで撮影したオーロラを堪能できる。価格は800円
オリハルコンテクノロジーズの『コズミックフロント☆NEXT VR 南米星空編』では、南米・ボリビアのウユニ塩原とチリ・アタカマ砂漠のパラナル天文台で撮影した満点の星空を体感できる。価格は1200円

■仮想空間とリアルが融合

 もうひとつ、VRらしい面白いソフトと感じたのが『anywhere VR』だ。このソフトは、砂浜や水族館、滝の音が聞こえる森林など、さまざまなロケーションの定点映像を見ながら、のんびり自然を感じるという癒やし系のコンテンツ。リゾート地などのリラックスタイムを自宅で味わえるという点が面白い。

 このソフトがユニークなのは、仮想空間であるVRの画面内にリアルな情報を映し出せるということ。例えば、自分の使っているスマホと連携させることで、そのスマホの画面を表示できる。仮想空間で現実の情報をリアルタイムに確認できるという点は素晴らしい。

 また、ニコニコ動画のコメントのようなイメージで、ツイッターの情報をVRの画面内に流すこともできる。青空にツイッターのテキストが流れるのは何ともシュールだが、面白い試みといえる。

ソニー・ミュージックエンタテインメントの『anywhere VR』では、手持ちのスマホ画面をそのまま表示できる。現時点ではAndroid版しかないため、iPhoneでは利用できない
スマホの画面以外には、時計パネルやツイッターの投稿も表示できる。また、ミニゲームも用意されている

 このように、PS VRはゲーム以外でもさまざまな活用方法がある。PS4を利用し、VRゲームを楽しむことはもちろん、映画館のような大画面で映像を楽しみたい人や360度の映像に興味がある人は、ぜひとも試してみてほしい。

 ただ、現時点では製品自体の供給不足から、なかなか手に入らないという課題はある。また、VRが本格的に広まるためには、VRの機能を活かした人気ゲームの登場は不可欠だ。販売数の拡大と良質なコンテンツの登場が待たれる。

 筆者としては、プラネタリウムのような癒やしコンテンツは思った以上に堪能できた。そういったコンテンツがもっと増えれば活用の幅も増えると感じている。

(スプール 近藤寿成)

[日経トレンディネット 2017年2月27日付の記事を再構成]

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