うさぎが夫を嫌いすぎて困っています
女優、ミムラ
4人とうさぎ1匹の家族。うさ子が夫を嫌いすぎて困っています。夫が部屋にいるだけで手足の毛を抜いたり、ケージをガチャガチャゆすったり。先代のうさ子も同じでした。どうしたもんでしょう。(福岡県・50代・女性)
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私も雄のうさぎを9年間飼っていましたので、経験者として答えましょう。ここは彼らの習性を振り返ってみませんか。
米国の男性誌「PLAYBOY」のロゴマークも務めるうさぎ。哺乳類でも特に繁殖力が強いので選ばれたという話があります。童話「不思議の国のアリス」に出てくる「三月ウサギ」は、作者が「3月のウサギのように狂っている」という英語の慣用句から想像したキャラクター。発情期のうさぎを形容したとの説があります。
もっとも、うさぎの発情期は3月だけでなく、年中繰り返します。私が飼ったうさぎも小屋の前を人が通るたびに、においの強い尿を後ろ足キックでまき散らしてマーキングするのでまいりました。何を申し上げたいかといいますと、うさぎのペットとしての歴史は犬猫に比べ歴史が浅い。ぬいぐるみのような見た目からは予想もつかない野性が残っているのです。
私のうさぎも、丸顔の短い耳に青灰色の目のキュートな外観ながら、雄猫を威嚇して何度も追い詰める。草を食べさせに河原へ行くと、とんびの一声で瞬時に車の下に潜り込み、出てこないこともありました。抱き上げた彼の鼓動が早鐘のように打っていたことを覚えています。
したがって相談者さんの悩みはその野性を尊重して解決するのが一番だと思います。うさ子さんはひょっとして雌ですか。であれば、旦那さんは異種の雄として警戒の対象なのでしょう。先代も同様だったなら、旦那さんはうさぎに強い野性を感じさせているということです。
声が大きいとかフェロモンの分泌量が多いとか、実に男らしい旦那さんなのではありませんか。であれば、うさ子さんの反応は旦那さんの魅力ゆえ。旦那さんにも「あなたが野性味があるってことよ」と伝えれば、慰めになるはずです。
毛を抜かないでほしいとか、うさぎであっても夫を意識するのが許せない場合は、うさ子さんに慣れてもらうしかない。旦那さんの着古したTシャツを小屋に置くなどの方法がありますが、それでも本能を封じ込めるのは難しいかもしれない。
そもそもペットを飼う際は、常に野性と向き合う覚悟が必要なのです。居心地よく共存できるとは限らない。そう自覚できれば、うさ子さんにとってよい関係、見つかるはずですよ。
[NIKKEIプラス1 2017年4月22日付]
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