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天引きで資産形成 新社会人、社内預金やDCも一案

2017/3/18

 もうすぐ新社会人がスタートを切る季節。仕事を覚えるのはもちろんだが、将来に備えてお金を増やすことも大切だ。会社員なら天引き制度に注目しよう。若いうちからコツコツと続ければ、無理なく資産をつくることができる。

 天引きは毎月の給料などからあらかじめ決めた額を貯蓄や運用に回す仕組み。口座に振り込まれる前に差し引かれ、残りの手取りで生活をやり繰りするので「ため癖」が身につくとされる。

 天引きで資産形成が可能な制度の選択肢は広がっている(表)。大和総研の佐川あぐり研究員は「まずは使い道が限定されず、引き出す際の制限が少ないものから利用してはどうか」と助言する。

■金利下限は0.5%

 例えば社内預金。使い道や引き出しに制限はない。さらに法律で金利の下限が決まっており、現在は年0.5%。大手銀行の1年物定期預金(同0.01%)を大きく上回る。厚生労働省の「就労条件総合調査」によると社内預金制度のある企業は3.6%にとどまるが、制度があればまず使いたい。

 多くの人にとって選択肢となるのが財形貯蓄。3種類あり、使い道を限定しないのが一般財形貯蓄だ。他には住宅取得や増改築などの住宅資金に限定した財形住宅貯蓄と、60歳以降に老後資金として5~20年の年金として受け取る財形年金貯蓄がある。一般財形以外は一定額以内なら利子などが非課税となる。ただし目的外のために引き出すと課税される。

 勤務先によって企業年金制度は様々だが「老後資金を準備するなら確定拠出年金(DC)の利用がおすすめ」とファイナンシャルプランナー(FP)の古川るり氏は話す。税制優遇が手厚いからだ。

 DCは掛け金を自分で預貯金や投資信託などで運用し、運用次第で将来の年金額が変わる。資産は原則60歳になるまで引き出せないが、運用益が非課税のため利益を元本に加えて運用を続けることによる複利効果が働く。「早く始めるほど有利になりやすい」(古川氏)という。

 DCには勤務先が掛け金を出す企業型と従業員が出す個人型がある。個人型は天引きが利用できる。今年1月から対象者が広がり、勤務先に確定給付型年金などがある人も加入できるようになった。企業型は従業員が自分で掛け金を上積みする仕組みを導入していれば、天引きが可能だ。

 福利厚生の一環としてじわりと広がっているのが、少額投資非課税制度(NISA)の一種である「職場積立NISA」だ。年間120万円までの投資元本で得た運用益が非課税となる。勤務先の指定する金融機関で口座を開設すれば給与天引きが利用でき、セミナーなどを通じて税制や商品の特徴といった投資教育も受けられる。

■一人暮らし1.7万円

 天引きは手軽に積み立てられる半面、引き去り額を多く設定して日々の生活が苦しくなっては本末転倒だ。節約アドバイザーの丸山晴美氏は「一人暮らしなら毎月の手取り収入の1割、実家暮らしなら3割が目安」と助言する。

 厚労省によると、2016年の大卒初任給は平均で20万3400円。社会保険料や所得税などを引いた手取りを約17万円とすると、貯蓄・運用に回せる額は一人暮らしで1万7000円、実家暮らしで5万1000円となる計算だ。自分の手取りや運用でとれるリスク、資産形成の目標額なども踏まえて決めるといいだろう。

(藤井良憲)

[日本経済新聞朝刊2017年3月11日付]

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