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酒は飲まずに肉を食うべし 師匠宅での失敗談

立川笑二

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NIKKEI STYLE

師匠、立川談笑と兄弟子の立川吉笑とともに連載させていただいているまくら投げ企画。18周目。今回の師匠からのお題は「肉。肉。肉。」

毎年、談笑一門では12月24日の夜に師匠のお宅で一門だけのクリスマスパーティーが行われている。

このクリスマスパーティーでは、七面鳥からローストビーフ、から揚げ等々、大変豪華な肉料理を食べさせていただくことができる。

今回はそんな師匠宅でのクリスマスパーティーで大失敗をしてしまった、私が前座のころのお話。18投目!えいっ!

現在、師匠の弟子は吉笑と私のほかに、笑ん(しょーん)、錦笑(きんしょう)、談洲(だんす)という3人の前座がいるのだが、私が前座のころは師匠の弟子は吉笑と私の2人だけだった。

そんな前座のころに弟子の私たちは師匠からのお誘いをいただき、師匠のお宅で一門だけのクリスマスパーティーが行われることになった。

基本的に前座修行中の身分というのはお酒を飲んではいけないというルールはあるのだけれど、この日は特別ということでお酒をいただきながら師匠のご家族といっしょに肉料理メインのご馳走(ちそう)をいただいていた。

そんななか、ハイボールを作るときに使っていた炭酸水がなくなり、私は師匠から近所のコンビニへお使いを頼まれた。

「ソーダを買ってきて」と1000円札を渡され、師匠宅のマンションを出て、コンビニでの買い物を済ませて、師匠のマンションの前に着いたところで私はスマートフォン(スマホ)を持たずに買い物に出ていたことに気がついた。

師匠の住んでいるマンションは高層マンションでフロアごとの部屋数も多いため、なかなか覚えられないという理由から、私はスマホのメモ機能に師匠の部屋番号を記していたのだ。

そのスマホがないということは、師匠の部屋が何号室か分からなくなってしまったということなのだ。

さらにそのマンションはオートロックで、部屋の住人にエントランスのドアを開けてもらわないと、建物の中にすら入ることができない。

これには困ってしまったのだが、その場で考え込んでいても仕方がない。

師匠が6階に住んでいたのはなんとなく覚えていたので601号室から順番にチャイムを鳴らすことにした。

まず、601号室からだ。

チャイムを鳴らし、相手の部屋のインターフォンのモニターに映っているはずであろうカメラに笑顔を向ける。

ピーンポーン♪

住人さん「……はい?」

私「あの、笑二ですけど」

住人さん「はい?」

私「すみません、ここじゃないですよね?」

住人さん「……はぁ」

私「私のこと、知ってます?」

ブツッ!

間違えた。

たとえインターフォン越しであろうと夜の9時ごろに、いきなり笑顔で「私のこと知ってます?」と言うやつに訪ねてこられたら相手も相当な恐怖だったに違いないだろう。申し訳ございません。

続く602号室は不在。603号室、604号室、605号室、ことごとく不正解。

次の606号室ってなんとなく縁起が悪い気がしなくもないけど、そんな部屋番号は存在するのかしら? なんて悩んでいるところで、玄関ロビーに兄弟子の吉笑が下りてきた。

なかなか戻ってこない私を探しに来てくれたのだ。

「なにしてるの?」という兄弟子からの問いかけに対して「部屋番号を忘れたので6階の部屋のチャイムを片っ端から鳴らしてました」と正直に答えると冷めた目をした兄弟子からのひとこと。

「師匠の部屋7階だから」

かくして私はようやく師匠の部屋へ戻ることができた。

部屋に戻ると「レジがものすごく混んでいました」と苦しいウソをつきながら、袋から買ってきた商品を出した。すると、今度はそれを見た師匠からのひとこと。

「笑二、それ、サイダーだね」

「ソーダを買ってきて」と頼まれた私はサイダーを買ってきていた。それも1000円札で買えるだけ買ったため、数は9本。

「すぐに買いなおしてきます」

と言ってみたが、師匠が笑いながら

「行かなくていいよ。甘いハイボールでもいいから。それに、コンビニものすごく混んでるんでしょう?」

師匠!違うんです! 本当は6階の住人を恐怖に陥れていたため遅くなったんです! コンビニはガラガラでした!

なんて言えるわけもなく、突き刺さる様な兄弟子の視線に目を合わせないようにしながら、自分の席に戻った。

しかし、負の連鎖はここで止まらない。

大量のサイダーを処理しなければならないと思った私は、そこから甘いハイボールを飲んで飲んで飲みまくった。

そして案の定、私は泥酔し、師匠の家で酔いつぶれて寝てしまったのだ。

意識が戻ったのは翌朝。私は自宅にいた。どうやって帰ってきたかは覚えていない。

スマホを見ると吉笑兄さんからの長文のメールが届いていた。

「師匠だから笑って許されていたけど、他の一門だったら確実に破門だから」

という最後の一文を読んだころには、二日酔いは覚め、震え上がった。

後日、師匠に直接お会いした時にクリスマスパーティーでの失態をおわびした。

「先日は本当に申し訳ありませんでした」

と謝るも、師匠はキョトンとしている。

「何かあったっけ?」

と尋ねられたので、失態を説明するとすべてを聞いた師匠が笑いながらおっしゃった言葉が

「なーんだ、あのこと? 全然気にしてないよ。いつも通りの笑二だったから」

いつも通り……。

あれ以来、師匠のお宅ではなるべくお酒を飲まずにお肉ばっかり食べるようにしている。

(次回3月19日は立川吉笑さんの予定です)

立川笑二(たてかわしょうじ)。1990年11月26日生まれ。沖縄県読谷村出身。2011年6月に立川談笑に入門。前座時代から観客を爆笑させ評判に。14年6月、二つ目に昇進。出囃子は「てぃんさぐぬ花」。立川談笑一門会(1月26日、2月13日)のほかにも、立川吉笑、立川笑坊ら一門、立川流の若手といっしょに頻繁に落語会を開いて研さんを積んでいる。

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