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有望銘柄は「人手不足産業」にあり(窪田真之) 楽天証券経済研究所所長兼チーフ・ストラテジスト

2017/3/14

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「サービス業では人手不足が深刻化しているが、長期的に株価が上昇しそうな銘柄もそこに存在する」

 宅配便最大手のヤマト運輸が9月末までに宅配便の基本料金を引き上げる方針を固めたと伝わりました。インターネット通販の拡大と人手不足で、サービスが維持できなくなっているからです。宅配便の現場では長時間労働が慢性化し、働き手は疲弊しています。

 昨年、「保育園落ちた、日本死ね」というブログ投稿が話題になりましたが、保育所不足も相変わらず深刻です。それぞれの現場にはサービスの担い手不足という構造問題があり、医療、介護、外食、建設、トラック輸送業などあらゆる産業で、人手不足の解消が大きな課題となっています。

■需要が拡大するのに供給は簡単に増えない

 厚生労働省が発表した1月の有効求人倍率(季節調整値)は1.43倍と、1989年のバブル景気の水準まで上昇しました。景気回復の効果もありますが、それ以上に、少子化の影響で働き手が減ったことが倍率の上昇につながっています。

 有効求人倍率1.43倍とは、1人の求職者に対して1.43人分の求人があるという意味です。ただし、それはあくまでも全体の平均を示しているにすぎません。内訳を見ると、企業が求める労働者と、労働者が望む職種には大きな隔たり(雇用のミスマッチ)があることがわかります。

 特に、医療、介護、外食、建設、トラック輸送などの分野では有効求人倍率が3~5倍に達しているのに対し、事務的職業では0.45倍と低くなっています。雇用のミスマッチが人手不足をより深刻にしているのです。

 人手不足を解消する鍵になるのが、ロボットだと思います。人間だけで医療、介護などのサービスを提供するのは限界になってきています。かといって、ロボットだけで良質なサービスを提供できるほど技術が高度化しているわけではありません。例えば、宅配業界では「自動運転車」「宅配ドローン(小型無人機)」「人工知能(AI)を装備したロボットによる荷物仕分け」などが開発されるのが理想ですが、現時点では人間とロボットが協業することで、良質なサービスを提供するのが最善策でしょう。

 私は25年間日本株のファンドマネジャーをやってきました。長期的に株価が上昇しそうな有望銘柄を選ぶ際に考えていたのは、「需要が拡大するのに供給が簡単には増えない」「市場占有率が高く価格(料金)の引き上げができる」企業を選ぶことでした。

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