相続・税金

ぼくらのリアル相続

深く考えず息子名義に うっかり贈与、課税の回避可能 税理士 内藤 克

2017/3/10

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「先生、主人が少し前に息子名義でマンションを買いまして……」
「あらら、贈与税の相談ですね」
「はい。マンション購入は聞いていましたがまさか息子名義だとは……。以前のコラム『5分でつかむ贈与税 非課税と基礎控除の違いは』も読んで確認したのですが、こういう場合は贈与税がかかるんですよね」
「そうですね」
「主人にそれを話したら『自分名義に戻せないか』って言うんですけど、そうしたら息子からの逆贈与になってまた贈与税がかかるんでしょうか?」
「いえ、大丈夫ですよ」
「え、無税で戻せるんですか? それができると助かります!」

 確定申告の時期になると皆さんもにわかに税金の知識が豊富になるらしく、このような質問をよく受けます。何も知識がないと大胆な行動に出る半面、少し勉強されると神経質になるのが贈与税の特徴です。今回は「予備知識がなくて(勘違いして)他人名義にした場合に、贈与税をかけない」という救済措置について考えてみます。

■必要がなくても親は子供名義にしがち

 親が財産価値のあるものを購入するときには、子供名義にしたがる傾向があるものです。金銭贈与の場合、もらった側に贈与税がかかることはほとんどの方がご存じですが、マンションなどの購入時に資金負担をしてあげることが贈与である、ということには気付いていないのかもしれません(もしくはバレないと思っているのかも)。

 そのため子供名義にする必要がない状態であっても、わざわざ子供名義にしているケースも見かけます。例えば子供が1人で親と同居していて相続でのもめごとも考えづらく、自宅の評価額も『小規模宅地の評価減』で80%減額できるため、相続税対策もあまり必要ない場合などです。これらは意味のない名義変更であり、勘違いというか、十分な知識がないためにそうしてしまった、という形です。

 そのような場合でも、住宅取得資金の特例や相続時精算課税を活用することにより課税を回避することはできますが、のちのち相続人同士のトラブルに発展するくらいなら「いっそ元に戻してしまいたい」という思いを持たれるケースもあるようです。

■52年前の通達の助けで、億単位の税を回避

 少し前の話ですが、私の相談者に先祖代々の同族株式を数十億円で譲渡した人(Aさん)がいました。Aさんが所得税の申告をしたところ、すぐさま税務調査が入りました。譲渡した株式が長年にわたって取得したものであったため、いつ、いくらで誰から購入(贈与、相続含む)したかという「取得費」を説明するのが大変だったのですが、そこは何とかクリアしました。

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