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「国内最速スマホ」ZenFone 3 Deluxeの実力

日経トレンディネット

2017/3/9

左から、ZenFone 3 Deluxe(ZS570KL)、ZenFone 3 Deluxe(ZS550KL)、ZenFone 3。特に左の2機種は見た目そっくりで型番も数字が一つ違うだけだが、性能は全く違うので注意しよう
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 ASUS(エイスーステック・コンピューター)から発売されたスマートフォン(スマホ)「ZenFone 3 Deluxe」。そのZenFone 3 Deluxeのラインアップの中でも、5.7インチの画面を搭載するハイグレードモデル「ZS570KL」は、2017年2月時点で国内最速といえるAndroidスマホだ。

 この機種はCPUにクアルコム製チップセットの最速モデルSnapdragon 821(2.4GHz/4コア)と6GBメモリーを搭載。SIMフリースマホの中で性能的に突出した製品といえる。そのぶん価格も9万6984円(税込み)と高額だ。

 ZenFone 3 Deluxe(ZS570KL)は2016年9月末の発表後、注文が殺到し、すぐに予約を停止した。2016年12月末から注文が再開され、ようやく安定した販売が始まったところだ。販売の経緯も飛び抜けたスマホといえる。

 そんなZenFone 3 Deluxe(ZS570KL)の性能や特徴について詳しくチェックしていこう。

■型番違いのモデルに注意

 ZenFone 3 Deluxe(ZS570KL)は家電量販店やネットショップ、ASUSの直販サイトなどで販売している。スマホとして通話・通信を利用するには、本体とは別に格安SIMを取り扱っている通信事業者と、SIMカードだけを契約する必要がある。

 ZenFone 3 Deluxe(ZS570KL)を購入する時には、型番の違いに注意する必要がある。ASUSのZenFone 3シリーズはすでに6モデルが発売されており、デザインが似た製品も多い。

 特にZenFone 3 Deluxeは性能が異なる2種類が存在するので要注意だ。今回紹介するのは9万円台で5.7インチのモデル。6万円台で5.5インチミドルクラスモデルのZenFone 3 Deluxe(ZS550KL)とは異なるので注意しよう。型番では1文字違いでデザインもそっくりだが、性能は全く異なる。

■有機ELの大画面でボディーはフルメタル

 画面は5.7インチのフルHD(1920×1080ドット)の有機EL(OLED)ディスプレーを採用。有機ELだけあり液晶ディスプレーのモデルと比べて明らかに鮮やかな発色だ。

大画面5.7インチ有機ELを採用。ハイレゾ対応イヤホンや急速充電対応の充電器も付属する

 また、操作キーは画面の下のタッチキーなので、ソフトキー表示で画面の表示面積が狭くなることもない。大画面で電子書籍やウェブサイトの文字も読みやすいのはもちろん、動画再生も迫力がある。

 実際に操作すると、CPU性能の高さもあってサクサクと動作する。アプリのインストールやアプリの切り替え操作も素早い。ZenFoneシリーズというと、低価格スマホに代表されるミドルクラス以下の製品が多く、動作もそこそこという印象だった。しかし、このモデルに限っては他社のハイエンドモデルと比べても同等か、より快適に感じられた。

 本体表面はフルメタルボディーを採用。背面のデザインにこだわりがあるスマホでもアンテナ用の樹脂パーツが目立つことがよくあるが、ZenFone 3 Deluxe(ZS570KL)ではアンテナ部分が気づかないほどに小さい。

 背面はこれまでのZenFoneシリーズと同じく、ゆるやかにカーブした形状で、ひんやりとした金属の感触が手のひらになじむ。背面の指紋認証センサーのタッチもスムーズだ。

 充電端子はUSB Type-Cを採用。付属の充電器を使うと、3000mAhの内蔵バッテリーを空の状態から1時間34分でフル充電できた。

アンテナの目立たないフルメタルボディーを採用。背面には2300万画素や指紋認証センサーを搭載
厚さ7.5ミリでカメラ部分はやや出っ張っている。外部端子はUSB Type-C端子を採用。底面にモノラルスピーカーを搭載する

■ハイレゾ対応のイヤホンが付属

 付属品のイヤホンもグレードが高く、ハイレゾ対応の「ZenEar S」とサイズ別のチップも付属する。聴いた印象だと、高音からボーカルまでクセなく鳴り、低音もほどよく響く。

ハイレゾ対応のマイク付きイヤホン「ZenEar S」が付属する

 ただし、高級イヤホンほどの解像感や定位の良さはない。グレードとしては3000~4000円前後でバランスのとれたイヤホンという印象だ。普段イヤホンにお金をかけていない人にとってはお得なアイテムといえる。

 ここまで便利な点を述べてきたが、一方で気になった点もいくつかある。ひとつは、端末の表側フレームに光が反射しやすい点だ。明るい場所だと光の反射が気になって操作しづらいと感じた。ケースや保護シートを装着して光の反射を和らげたほうがよいだろう。

 もう1点は、スピーカーの音質は良いものの、モノラルという点だ。5.7インチとなると、フロントステレオスピーカーの搭載など迫力ある音で楽しめる仕様が欲しい。

■CPUは超高速、ハイエンドモデル以上の性能

 ZenFone 3 Deluxe(ZS570KL)の一番の特徴といえるのが、CPUにクアルコム製の最新チップセットSnapdragon 821(2.4GHz/4コア)を搭載している点だ。その性能を見ていこう。

 総合ベンチマークアプリ「Antutu Benchmark」で比較したところ、ソニー製ハイエンドスマホ「Xperia XZ」などSnapdragon 820搭載のハイエンドモデルよりも高速だった。なお、速度の向上が見られたのはUX(マスチタスク性能とアプリの実行速度)やメモリーの項目だが、GPUのグラフィック性能は特別な違いは見られなかった。

Antutu benchmarkの結果
左から、ZenFone 3 Deluxe(ZS570KL)、ZenFone 3 Deluxe(ZS550KL)、ZenFone 3の結果。ミドルクラスの右2機種と比べて圧倒的な性能差だ

 2017年2月時点では、国内でSnapdragon 821を搭載しているモデルはZenFone 3 Deluxe (ZS570KL)だけということもあり、性能的には最速モデルといって良いだろう。海外でもSnapdragon 821を搭載しているのは中国メーカーから発売されている「Xiaomi Mi 5s」などごく一部のモデルだけだ。

 このほかの仕様についても見ていこう。6GBの大容量メモリーは複数のアプリを起動しても問題はなく、アプリの切り替えでもたつくこともなかった。ストレージは256GBと大容量で、microSDカードを必要としないぐらいの余裕がある。

 Wi-Fiは理論値で最大866Mbps対応のac規格2×2MIMO接続に対応。一般的なスマホはac規格対応でも理論値で最大433Mbpsなのに対して、余裕のある速度での通信が可能だ。

 Wi-Fi性能は、自宅のHDDレコーダーのフルHD動画をWi-Fi経由で再生したい場合などに効いてくる。実際に筆者自宅のHDDレコーダー「nasne」のフルHD動画を1.5倍速で再生したところ、コマ落ちせず快適に再生できた。

6GBメモリーを搭載。複数のアプリを動かしても余裕だ
Wi-Fiのac接続は2×2MIMOアンテナに対応。理論値で最大866Mbpsのリンクに対応する

■デュアルSIMスロットを搭載

 ZenFone 3 Deluxe(ZS570KL)はデュアルSIMスロットを採用している。また、2枚のSIMを入れると、2つの電話番号の着信を同時に待ち受けできるデュアルSIM・デュアルスタンバイ(DSDS)にも対応している。

 利点としては、2つの電話番号を1台で使えるほか、海外で使用する場合に、日本で使っているSIMと、現地の通信事業者の通信料が安いプリペイドSIMを同時に使い分けられるといった利点がある。

 国内で利用できるSIMは、基本的にはドコモの回線を使った多くの格安スマホ・格安SIMと、ソフトバンク回線を使ったワイモバイルのSIMなどだ。auについては後述するが、ほかのZenFone 3シリーズと違ってauの4G LTEを活用した次世代音声通信(VoLTE)「au VoLTE SIM」に対応しておらず、基本的には利用できないと考えてよい。

■カメラの写りは?

 カメラは2300万画素のソニー製IMX318センサーと、明るいF値2.0のレンズを搭載。4軸光学式手ぶれ補正(写真)・3軸電子式手ぶれ補正(動画)に、レーザーAF、像面位相差AF、コンティニュアスAF搭載と機能は満載。とはいえ、重要なのは実際の撮影体験だ。

 屋外や室内で何枚か撮影したが、特に屋外では露出がアンダー寄りになりやすい印象を受けた。積極的に露出補正で明るくするほか、HDRを常時利用したほうが、見栄えのよい写真が撮れる。とはいえ、撮影した写真のホワイトバランスや発色が良好で、特に屋外の低感度で撮ったものは2300万画素らしい高い解像感がある。

 また、室内の暗所ではカメラの機能を生かして手ぶれしづらく、また被写体へのフォーカスも高速だった。

 ただ、気になったのはタッチフォーカス時の音がかなりうるさい点だ。シャッター音は控えめなのにもかかわらず、画面でタッチ操作すると他の人が気にするほどの音が鳴る。可能なら修正してほしいところだ。

光学式手ぶれ補正対応の2300万画素カメラ。左右にはデュアルLEDフラッシュとレーザーAFも搭載している
奥は曇り空、手前は晴天、左は建物の影と難しいシーン。ほかのスマホのカメラでも撮るのは難しいが、露出補正とHDRの活用でうまくバランスを取ることができた
広角レンズなので巨大な建物を収めるような写真は撮りやすい。拡大して見ると、タワー中心部の全体を覆う非常に細いワイヤーも描写できている
非常に暗い室内だったが、ISO2180で明るく少ないノイズで撮影できている

■SIMフリースマホも「ハイエンド化」しているが……

 ZenFone 3 Deluxe(ZS570KL)全体を評価すると、オーソドックスなハイエンドスマホとなっている。通常スペックを超える高い性能を持っており、購入して性能に不満を持つことはないだろう。

 これまでSIMフリースマホといえば、3万円以下の低価格製品がほとんどだった。だが、2016年から本機種をはじめ、ファーウェイのP9やMate 9のような高価格帯の製品が登場し、売れる市場が存在することが見えてきた。今後、他社からも日本で販売されていないハイエンドスマホや高級スマホの投入も期待できそうだ。

 しかし、ZenFone 3 Deluxe (ZS570KL)のようなハイエンドスマホが今後も売れ続けるためには、高性能を生かしたアプリや機能が必要になる。現在のスマホ向けアプリの多くは、低価格帯のスマホでも動くことを前提に設計されており、いくら高性能なCPUを搭載しても性能を発揮するシーンが少ないからだ。

 そこで期待されるのは、Android 7.0へのアップデートだ。7.0ではマルチウインドー操作のほか、一部ハイエンド端末ではグーグルのVR(バーチャル・リアリティー)機能「Daydream」に対応する。VRは高いCPUやグラフィック性能が必要となるだけに、対応すればZenFone 3 Deluxe(ZS570KL)の真価を発揮する場となる。

 だが実際にDaydreamに対応するかは、まだ不透明だ。ASUSは海外でZenFone 3 Deluxe(ZS570KL)を発表した際に対応を予告したが、今のところ明確な続報がない。日本の広報担当者からはAndroid 7.0への対応予定はあるとのことだが、Daydream対応の確認はとれなかった。

 これだけのハイエンド端末だけに、できれば早いうちにDaydream対応があるのか発表を期待したいところだ。

(ライター 島徹)

[日経トレンディネット 2017年2月17日付の記事を再構成]

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