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1秒前を撮影できるLUMIX GH5 野鳥の飛翔も簡単!

日経トレンディネット

2017/3/9

6Kフォト機能をいち早く搭載したパナソニックの「LUMIX DC-GH5」。実売価格は、ボディー単体モデルが24万円前後、レンズキットが27万円前後。発売日は3月23日だが、予約好調につき製品の供給に時間がかかる可能性があると発表された

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 パナソニックがミラーレス一眼のフラッグシップモデル「LUMIX DC-GH5」を発表した。GHシリーズは、2009年に登場した初代モデル「LUMIX DMC-GH1」から動画撮影機能に注力したミラーレス一眼として知られており、GH5も映像制作などプロフェッショナルの現場で使える高性能な4K動画撮影機能を備えたのが特徴だ。

 もっとも、多くの写真ファンが注目しているのは、撮影した4K動画から高精細な写真を切り出す「4Kフォト」が進化し、6K動画から18メガ相当の写真が得られる「6Kフォト」に高画質化したことだろう。18メガの写真が30コマ/秒で高速連写できるというのは、プロ向けのデジタル一眼レフも青くなるレベルだ。画質に不満はないか、使い勝手はどれほどのものかをいち早くチェックしてみた。

■4992×3744ドットの大きな写真が動画からの切り出しで得られる!

 まずは4Kフォトの仕組みをおさらいしたい。4K画質で撮影した動画から8メガ相当の写真を切り出す機能で、2014年に登場した高級コンパクトデジカメ「LUMIX DMC-LX100」が初めて搭載した。動画の1コマを切り出して1枚の写真を生成する機能は以前から存在したが、フルHD(1920×1080ドット)でも画質は粗く実用的とはいえなかった。だが、4K動画(3840×2160ドット)はフルHDの約4倍の解像度を持っており、通常の写真撮影に近い高画質の写真が得られる。4K動画は30フレーム/秒で記録されるので、実質的に「秒間30コマの超高速連写機能」として使え、一瞬のシャッターチャンスを容易に得やすいメリットもある。

 GH5が新たに搭載した6Kフォトは、動画撮影の画質を6K相当に引き上げたことで、切り出す写真を16メガ相当に高画質化したのがポイント。16メガというと、マイクロフォーサーズ規格のミラーレス一眼の画素数とほぼ同等であり、4:3比率の場合は4992×3744ドットの写真が得られる。スチル撮影並みのクオリティーを持つ写真が動画切り出しで容易に手に入ることで注目されているのだ。

左脇のドライブモードダイヤルに6Kフォト(4Kフォト)の専用ポジションを用意しており、ダイヤルを合わせるだけで6Kフォトでの撮影に移れるのは便利だ

 実際に6Kフォトで撮影してみたところ、動画からの切り出しでありがちな独特のブレやもやっとした描写が見られず、メリハリや解像感のある仕上がりになった。撮影は基本的に動画撮影と同じなので、撮影時にシャッターの音は響かず(スピーカーから擬似的にシャッター音は出る)、一眼レフで高速連写した時のような「バシャバシャッ」という騒音や振動とは無縁なのもありがたい。

ちょこまかと動き回る赤ちゃんも、6Kフォトならばベストショットを得やすい。撮影時にシャッターやミラーの騒音が出ないので、赤ちゃんの注意をそらさずに済むのもありがたい
噴水も6Kフォトでシャープに写し取れた。水しぶきのエッジ部分に現れやすいパープルフリンジ(紫色の色づき)もほとんどなく、画質は満足できる

 6Kフォトで予想以上の高画質をもたらす要因になっているのが、写真を切り出して保存する際に前後のフレームの情報を合成して高画質化を図る「ポストリファイン機能」の追加だ。高感度撮影時は「時空間ノイズリダクション」が働き、高感度で発生するノイズを低減してくれる。ISO12800などの超高感度撮影では解像感の明確な向上が確認できたので、高感度で撮らなければならないシーンではあえて6Kフォトで撮影してみるのも効果的だろう。

高感度で撮影した6K動画から写真を切り出す際は、前後のフレームの情報を合成してノイズ低減を図る時空間ノイズリダクションが自動的に働く

■通常のスチル撮影との画質の違いはほとんど分からない

 次に、通常の写真撮影モードと6Kフォトで同じシーンを撮り比べてみた。GH5の背面液晶では画質の違いが分からず、パソコンのディスプレイ上で100%表示にしても目を凝らさなければ違いは分からなかった。画像サイズは、通常の写真撮影では5184×3888ドット、6Kフォトは4992×3744ドットと、わずかな違いしかない。

 GH5が優れているのが、撮像素子全域の情報を利用して6K相当の動画を生成するので、レンズの焦点距離がそのまま生かせること。従来の4Kフォト対応モデルは、撮像素子の中央部の領域を切り出して4K動画を生成していたので、望遠寄りになってしまった。GH5は、特に広角レンズを装着して撮影する場合にメリットがある。

キットモデルに付属する標準ズームレンズ「LUMIX G VARIO 12-60mm/F3.5-5.6 ASPH.」を装着し、通常の写真モードで撮影したもの。全体に精細感が高く、日陰になっている部分も潰れず描写している
こちらは6Kフォトで切り出した写真。観覧車の骨組みの周囲などにややノイズが目立つが、全体の精細感や暗部の描写は通常のスチル写真並みで、動画からの切り出しとは思えない。画角もスチル撮影と変わらないのが分かる

■撮影の腕がなくても決定的瞬間を収められる切り札「6Kプリ連写」

 秒30コマ相当の高速連写としても使える6Kフォトだが、動きが素早いうえに予測しづらい野鳥や野生動物が飛ぶ瞬間を見極めてピタリと狙うのは難しい。飛んだ!と思った瞬間にシャッターを切っても、すでに被写体はフレームの外……ということになりかねない。

 6Kフォトの実用性を大きく高める切り札として注目できるのが「6Kプリ連写」(4Kプリ連写)の存在だ。この機能をオンにすると、センサーからの情報を一時的にメモリーに蓄積し、シャッターを切ると全押しした瞬間の1秒前から2秒分の情報(6Kフォトの場合は60コマ分)を記録する。つまり、シャッターを切る1秒前にさかのぼって撮影できるわけだ。

設定画面で「プリ記録」の項目をオンにしておくと6Kプリ連写(4Kプリ連写)が働き、シャッターを切る1秒前からの動画が記録されるようになる
6Kフォトでプリ連写を有効にして撮影した動画。鳥が飛び立つ瞬間を狙ってシャッターを切ったが、実際には飛び立った直後のタイミングだった
6Kフォトの切り出しモードに入ったところ。動画の冒頭に記録されているのはシャッターを切る1秒前のシーンなので、鳥がまだ飛び立つ前の状態だった

画面上のゲージを左右に動かすと、飛び立つ瞬間のシーンを見事に捕らえていた。プリ連写がなければ逃していた
OKボタンを押すと、そのシーンが16メガの写真として保存された。6K動画自体は削除されず、そのまま残る

 今回、野鳥が飛び立つ瞬間を撮影してみたが、「飛んだ!」と感じた瞬間にシャッターを切ればおおむね大丈夫だった。実際にシャッターを全押ししたのはすでに飛び立ったあとでも、1秒あれば飛び立つ直前からの様子が記録されているので、お目当てのシーンがほぼ確実に手に入る。数字ではわずか1秒だが、この1秒間のおかげで決定的瞬間を逃さず捕らえられる確率が飛躍的に高まると感じた。

プリ連写を有効にして撮影した動画の冒頭部。シャッターを切る1秒前は、鳥がまだ飛び立つ前の状態だった
少し進めると、まさに飛び立とうとして力を入れる様子が切り取れた

羽を大きく上げて飛び上がった瞬間。このシーンを撮りたくてカメラを構えたが、あっさりと手に入った。右上方向に飛び立つと思っていたが真上に飛び立っていったのが唯一の誤算だった
スズメが飛び立つ瞬間をプリ連写を利用して撮影。躍動感のある仕上がりになった。画像サイズが大きいので、トリミングも実用的にできる

■6Kフォト目当てでGH5を手に入れる価値は大いにある

 注意したいのが、6Kフォトの撮影はバッテリーの消費がやや激しくなること。GH5は、本体に搭載するUSB Type-C端子からの充電には対応していないので、6Kフォトを多用するならば予備バッテリーを用意しておくのがベターといえる。

 もう1つ気になったのが、6Kフォトは撮影後の処理待ち時間が意外に長いこと。撮影データは、2秒間(60コマ分)の記録となるプリ連写でもファイルサイズが60M~80Mバイト程度と大きくなるので、SDメモリーカードへ書き込むのに数秒かかり、その間は次の撮影ができない。高速書き込みに対応したSDメモリーカードならば待ち時間が短縮できる可能性が高まるので、性能のよいものを用意するようにしたい。

 このような留意点はあるものの、シャッターチャンスをいとも簡単に、しかも高画質で記録できる6Kフォトは、最新デジカメにふさわしい先進的で魅力的な機能だと感じた。特に、6Kフォトの切り札といえるプリ連写を併用した際の実力はすさまじいものがある。撮影はあまりにあっけないので、ワクワク感や達成感には欠けるのが悩ましいが、今まで撮れなかったものがしっかり撮れるのは何にも代えがたい魅力だ。レンズ交換式カメラの勢力図を変えるほどインパクトのある機能といえ、6Kフォト目当てでGH5を入手するのも大いにアリといえる。

(日経トレンディネット 磯修)

[日経トレンディネット 2017年2月17日付の記事を再構成]

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