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外貨資産で利回りアップ 長期保有、米国株が選択肢

2017/3/12

NY株は3月初めに最高値を更新した=AP

 超低金利に悩む日本の個人投資家が資産運用の利回りを高めるには、お金の一部を外貨建て資産に振り向けることが選択肢になりそうだ。世界経済の成長に乗って、円建て投資を上回る収益を上げられる可能性があるからだ。外貨建て商品の特徴や税制上の扱いなどを知っておこう。

■増配多い米銘柄

 米国株はダウ工業株30種平均が今月初めに2万1000ドル台まで上昇し、最高値を付けた。「世界シェア上位で競争力が強く、株主還元に積極的な企業が多い。海外株で長期投資するならまず米国株が選択肢」と資産運用アドバイザーの尾藤峰男氏は勧める。

 米国株では50年以上増配を続ける企業も目立つ。ヘルスケアのジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)、日用品のプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)、コカ・コーラなどだ。尾藤氏の試算によると、J&J株を1990年に買って保有し続けていれば株価は約15倍になり、買い付け株価で計算した配当利回りは40%を超えるという。

 もちろん米国株も玉石混交。2009年に経営破綻したゼネラル・モーターズ(GM)のような銘柄を選べば多額の損失になりかねないが、一般に日本株に比べて期待リターンは大きい。過去20年でダウ平均は円換算でも約3倍に上昇している。

 外貨建ての債券はどうだろうか。野村証券が2月に売り出した信用力の高いノルウェー地方金融公社の期間3年の債券の利率はブラジルレアル建てが7.53%、インドルピー建てが5.19%などと円建て債券を大きく上回る。

 ただしこれはあくまで外貨ベースの利率だ。円換算の投資収益は償還時点の為替相場にも左右される。金利が高い国はインフレ率も高い場合が多い。長期的には通貨の価値が下がりやすく、円高リスクを意識する必要がある。

 多くの個人投資家の外貨建て投資の受け皿となっているのが投資信託。プロに運用を任せて少額から分散投資できるメリットがあるが、その分だけ信託報酬という手数料がかかる。為替ヘッジをしている投信であれば、円高リスクを抑えられる。

 税制に目を向けると、株式と投信は少額投資非課税制度(NISA)の対象で売買益や分配金にかかる20.315%の税金がゼロだが、外債はNISAの対象外。投信の場合、ファンド数は限られるものの掛け金や運用中の非課税メリットがある確定拠出年金(DC)の選択肢もある。

■短期解約は損に

 銀行などが扱う外貨建て保険もみてみよう。例えばメットライフ生命の米ドル建て一時払い終身保険「サニーガーデンEX」の積立利率は最大1.65%。「為替リスクを認識したうえで外貨建てを選ぶ人が増えている」(ライフプロフィットセンター本部)という。ただし積立利率は保険料のうち積立金に回る部分だけの利率で、投資家にとっての利回りではない。短期で解約すると元本割れになる。

 それでも死亡保険金には法定相続人1人当たり500万円まで相続税がかからないメリットがある。利回りが低くても、相続税の節税を含めると有利になる場合もある。

 個人の金融資産約1700兆円のうち外貨建ては約49兆円。ニッセイ基礎研究所の徳島勝幸氏は「円建てだけで十分な期待利回りを得るのは難しい。自分のとれるリスクに応じて外貨への分散を考えるべき」と話す。

(表悟志)

[日本経済新聞朝刊2017年3月4日付]

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