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震災復興6年目 三陸縦断 鉄道とバス乗り継ぎの旅 フリーライター 二村高史

2017/3/6

周辺の整備が続く女川駅に到着する石巻線の列車

 今年も3月11日がやってくる。東日本大震災の復興のニュースも徐々に減り、私たちの関心も次第に薄れつつあるが、津波で寸断された鉄道路線の復旧をはじめ、確実に復興は進んでいるという。国内外の鉄道やバスなど乗り物の取材経験が豊富なフリーライターの二村高史氏が、三陸を旅して復興の最新状況を見てきた。

◇   ◇   ◇

 2011年の東日本大震災以来、三陸に足を向ける機会が増えてきた。仕事で石巻を訪れたのが震災の翌年。その後も、折に触れてあちこちを訪ね、被害の大きさや復興の様子を、多少なりとも自分の目で見てきたつもりだ。そして今年の1月下旬、仙台から青森県の八戸まで、公共交通機関を使って三陸海岸を南から北まで縦断してみようと思い立った。

 仙台から八戸まで、新幹線を使えば1時間10分ほど。それに対して、三陸海岸に沿って鉄道と路線バスを乗り継ぎ、3泊4日で縦断しようというのが今回のルートである。利用したのは、仙石東北ライン(JR東北本線、JR仙石線)、JR石巻線、JR気仙沼線、JR気仙沼線BRT(バス高速輸送システム)、JR大船渡線BRT、三陸鉄道南リアス線、岩手県交通バス、岩手県北バス、三陸鉄道北リアス線、JR八戸線と、全部で10路線に達した。

■復興の一助となった新路線「仙石東北ライン」

石巻駅に到着したハイブリッド車両HB-E210系。2016年8月からは、日に1往復、女川まで延長運転されている

 旅のスタートは、通勤客でごったがえす仙台駅の2番線ホーム。8時19分発の仙石東北ライン石巻行きに乗車した。仙石東北ラインは、15年5月に運行を開始した新しい路線である。仙台と石巻を短時間で結ぶため、東北本線の松島駅付近から線路を分岐させ、近くを走る仙石線に乗り入れるようにしたものだ。

 かなり前からこの新路線の計画はあったそうだが、石巻とその周辺の復興の一助となるよう、津波で不通だった仙石線の一部区間が復旧するのに合わせて運行を開始した。交流電化の東北本線と直流電化の仙石線を直通するために、新型のハイブリッドディーゼルカーが使用されている。

 「あれを使って仙台方面からいらっしゃる方は多いですよ。おかげで、お客さんも増えました」

 去年、石巻のとある寿司(すし)店の店主は教えてくれた。仙台で新幹線に乗り換えれば、海の幸を満喫して東京へもゆったりと帰れる。19時58分石巻発に乗れば、東京着は23時4分である。

 今回は石巻で駅を出ずに、石巻線に乗り換えて女川へ。石巻線は1、2時間に1本というローカル線で、女川の少し手前では、湾に沿って走る車窓が美しい。もっとも、海に近いということは津波のリスクが高いことを意味するわけで、最後の復旧区間である浦宿~女川の運転が再開されたのは、15年3月になってのことである。

 再開直後に訪れたときは、駅の付近はどこも工事中で、次の列車まで時間をつぶすのに苦労したが、その年の12月には、駅前商店街「シーパルピア」が営業を開始。今回は、周辺を散策した後に、コーヒーを飲んで寒さをしのぐことができた。もっとも、海沿いや周辺の地区はまだまだ工事が続いている。

■鉄道路線敷を走る「BRT」というバス路線

奥に見えるのが現在の女川駅。以前の駅から200メートル移動した。平日の朝なので、駅前商店街には人影が少ない

 女川からは、11時10分発の石巻線小牛田行きに乗って前谷地で下車。47分の待ち合わせで気仙沼線に乗り換えて、現在の終点となっている柳津へ向かう。気仙沼線は、海岸沿いを走る線路が津波で壊滅的な被害を受けたために、柳津~気仙沼を運休している。その代わりに運行しているのが、BRTだ。

 BRTは、バスを使って定時運行や大量輸送を目的とする交通機関のことで、被災地でいち早く公共交通機関を復旧させるために導入された。線路敷をアスファルトで舗装して専用道にして、その上にバスを走らせるのである。

 面白いのは、鉄道の踏切では遮断機が道路側に付いているのだが、BRTでは逆になっている点だ。踏切の前ではBRTがいったん停止して、遮断機が自動的に上がると発車する。もっとも、専用道化の工事はまだまだ進行中なので、一般道を走る区間も多い。柳津から気仙沼行きのBRTに乗り、津波で大きな被害を受けた南三陸町の志津川で途中下車した。ここは、町中が工事中という状態である。

 ところで、下車した町ではなにがしかの金を使うというのが、私のささやかな流儀である。志津川では、物産館で地元製の「カキの醤油麹(しょうゆこうじ)煮」と「タコのアヒージョ」の缶詰を購入した。

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