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大人も「ランドセル」 高級感でビジネスに大人気

日経トレンディネット

2017/3/6

“レザー製でスクエア型”がビジネスリュックの新潮流
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 ビジネスウエアのカジュアル化が進み、多くの人が仕事かばんにリュックを選ぶようになってきた。手提げのブリーフよりも荷物の重さを感じにくく、両手が空くために自転車通勤も快適そのもの。PC収納付きモデルが多数発売され、いまやビジネスバッグの定番のひとつになっている。

 しかしビジネスユースである以上、そこにはマナーが存在する。スーツやジャケットでも違和感がなく、また相手先に不快感を与えない配慮が必要なため、売れ筋は「スクエア型」だという。リュックにもなる3WAYブリーフも人気だが、現在はリュックとして使うことを前提に選ぶ人が増えたため、スクエア型の純然たるリュックが売れているそうだ。

 さらに条件を付け加えるなら、「レザー製」に注目が集まっているとか。高級感のあるレザー製であれば上品に見えるため、ビジネスにもしっかり対応できる。このレザー製のスクエア型リュックを突き詰めたのが「ランドセル型」。立体的なフォルムで品があり、書類を縦向きに整然と収納できるのが特徴で、その筆頭は土屋鞄製造所の「大人ランドセル」にほかならない。

ヌメ革を使ったハードタイプの「OTONA RANDSEL 001」(税込み各10万円)

 土屋鞄製造所は1965年創業、子ども用ランドセルづくりからスタートした革かばんブランド。自社工房を構え、現在は紳士・婦人用の各種バッグから財布や名刺入れなどの小物まで、数多くのレザーアイテムを展開している。この土屋鞄から2015年11月に発売されたのが大人ランドセルで、「創業50周年の節目に新しい取り組みとして企画した」と、土屋鞄製造所のかばんデザイナー、舟山真利子氏は話す。

背中に当たる部分の作りは、子ども用ランドセルからの応用。クッション入りのため、体にフィットして背負いやすい

 土屋鞄の子ども用ランドセルは広く認知されていたため、“大人用”のリクエストは以前からあったそうだ。ユーザーの後押しもあり、また「純粋にランドセルのすばらしさを大人にも伝えたい」(舟山氏)との思いから、開発に着手したという。ランドセル職人や紳士かばん職人など、社内のさまざまな職人の意見を取り入れながら、大人向けのシャープさを出すために試行錯誤。「革選びや色出し、フォルムや仕様など、子ども用ランドセルの良さを生かし、大人が使えるように設計するのに苦労した」(舟山氏)という大人ランドセルは、約2年をかけて完成した。

ランドセルなので開口部が大きく、書類を縦に収納できるのが特徴。13インチ(縦約32×横約22cm) までのノートPCも入る

 この大人用に作られた斬新なかばんはSNSやメディアで大きな話題となり、発売当日には数時間で完売したという。その後も2016年1月から約2カ月おきに再販売されたが、いずれも即日完売という人気ぶり。ハンドメイドで生産数が限られるため、現在は受注をストップしている状態だ。次回の受付は2017年4月中に始まる見込みである。

フラップは差し込み錠による開閉で、外から見えないのでスマートな印象

■ワイドモデルやイタリアンレザータイプも展開

 ランドセルは子どもが使いやすい・背負いやすいように作られているため、大人が仕事に用いても使い勝手がいい。とはいえ、そのままではマチ幅が広く、丸みのあるフォルムのため、大人が持つには違和感がある。そこで大人ランドセルはマチ幅を狭めると同時に、収納力を確保しながらすっきり見えるよう、底部から上部にかけて斜めに設計。横から見ると台形になっていることが分かる。また、フラップも丸みを抑えてシャープな印象に仕上げるなど、ランドセルの機能性は継承しながら、大人でも違和感なく使える工夫を施したことがヒットにつながったといえるだろう。

大人でも使えるよう、マチ幅10センチとシャープに設計。上部よりも底部のマチがやや広い作りになっているのも特徴

 ヌメ革を使用した「OTONA RANDSEL 001」のほか、イタリアンレザーを用いた「OTONA RANDSEL 002」も展開。上質感のあるシボ立ちと、オイルをたっぷりと含んだ柔らかな表情が大人っぽい。植物タンニンで革をなめす、イタリア伝統のバケッタ製法で仕立てた革は、ソフトタッチながら繊維が密で強靱。使うほどに光沢が増し、エイジングも楽しめる。

イタリアの高級皮革、バケッタ・ミリングレザーを使用した「OTONA RANDSEL 002」もラインアップ(税込み各10万円)
「OTONA RANDSEL 002」は革の雰囲気を生かすため、エッジの仕上げは場所によってパイピングとコバ磨きを併用している

 そのほか、収納力と使い勝手を高めたワイドモデルも2016年10月末に登場した。マチ幅が1センチ広がり容量アップ。外ポケットもひと回りサイズアップし、トレンドである長財布も難なく入るので、ビジネス用として活躍する。

写真は001と「OTONA RANDSEL 001wide」のサイズ比較。わずか1センチのマチ幅の違いで印象が大きく異なる。ちなみに価格はどちらも同じで税込み10万円

 大人ランドセルの購入者は20~70代と幅広いが、主に30~40代だという。「男女問わず使えるので、ご夫婦で兼用されている方や、娘の入社祝いとしてご購入されるお父様もいらっしゃいます」(舟山氏)。

 また、ユーザーの声としては、「自慢したくなる」という声も多いらしい。袋仕立てのリュックとは根本から製法が異なるため、土屋鞄ではこの大人ランドセルをリュックとは呼ばず、あくまでもランドセルという位置付けにこだわっている。これはランドセル製造への絶対的な自負があるからにほかならない。大人ランドセルは実用性や特徴的な見た目だけでなく、土屋鞄が手がけているからこそ所有欲が満たされ、自慢したくなるのではないだろうか。

■ヘルツのランドセルは大人も使える半かぶせデザイン

 ヘルツは国内に革鞄工房と店舗を構える、1973年創業のファクトリーブランド。商品はすべて受注後に一つひとつ手作業によって作られ、また革の裁断以外の工程は、最初から最後までひとりの職人が受け持つのが特徴。それがそのままクオリティーの高さにつながっている。

ヘルツの「縦型ランドセル・玉縫い」。大人用のLサイズは税込み6万1560円、子ども用のSサイズは税込み5万9400円

 そんな同ブランドで唯一の縦型ランドセルは、スタイリッシュな半かぶせデザインに注目。これにより大人でも違和感なく背負えるランドセルになっているのだ。また、かぶせに付いた2本のベルトがアクセントとなって子どもっぽさを打ち消し、さらに真ちゅうの金属パーツが雰囲気を高めている点も見逃せない。

背面はクッション入り。子ども用と同じ作りのため、背負い心地は抜群

 厚みのあるヌメ革なので丈夫で長持ちするうえ、使えば使うほど味わいが増していくのも魅力。リュックストラップはクッション入りで背負いやすく、上部のハンドルもしっかりとした作りのため手提げとしても十分に機能する。

A4書類を縦に入れられるメイン室と、大型の外ポケットを備える

 この縦型ランドセルは、同じデザインとサイズでストラップの長さや若干の仕様が異なる2タイプ(名称はSとL)が展開されている。カラーバリエーションもキャメル・チョコ・ブラック・グリーン・レッドの5色あるので、子どもとおそろいで使うのもいいだろう。

■ポーターも立体フォルムのレザーモデルを展開

 人気バッグブランドのポーターからも、立体的なフォルムのレザーバックパックが発売されている。リュックの軽快な印象と、ブリーフケースのような品格を持つため、ビジネス・カジュアル問わず使用できるのが魅力だ。

ポーターの「ポーター スタンス/デイパック」(税込み5万9400円)

 レザーは姫路のタンナーで仕上げたオーバーキップで、きめ細かく繊維が詰まっているのが特徴。さらに革をなめす段階ではっ水・はつ油性をプラスし、多少の雨を弾くとともに革表面の水ぶくれを防ぐ。このコシのある艶やかな質感が、上品なたたずまいを生み出している。

背中に当たる面はクッション性のあるメッシュ素材で蒸れにくい。ストラップが薄作りだが、フィット感は高い

 また、リュックの底部などには高強度のナイロン素材を採用。実際の使用シーンを想定したタフな作りがポーターらしい。

メーン室の内装に、ペンホルダーなどが付いた蛇腹式ポケットを備える。PCや書類、小物を整理して収納できる

 ビジネスユースに配慮し、メイン室の内装には蛇腹式のポケットを搭載。書類の整理がしやすいだけでなく、クッション材入りなのでPCとタブレットを同時に収納できる。機能面も抜かりない。

(ライター 津田昌宏)

[日経トレンディネット 2017年2月21日付の記事を再構成]

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