出し入れ簡単、多収納 人気ワンショルダーバッグ6選
荷物を持ち歩くのにリュックやバックパックはラクだが、普段使いするにはいろいろと面倒な点がある。歩いている途中で中の荷物を取り出すには一度下ろさなければいけないし、中から目的のものを一つ出すのが苦手なデザインのものが多い。電車に乗るときは前に背負い直さなければならない。歩きながら、知らず知らずに後ろにいる人に迷惑をかけることもある。
しかし、ワンショルダーバッグなら、リュックほどの収納力はないものの、荷物を軽快に持ち歩くことができ、歩きながらモノを出し入れするには最適ではないだろうか。
一方で、ボディーバッグというものもある。これはたすき掛けスタイルで手回り品だけを持ち歩くためのバッグで、ワンショルダーバッグの小型版のようなものだ。ただ、ボディーバッグの小ささ、デザインのポップさなどは、どうも大人には似合わない。かといって、ウエストポーチではかっこ悪い。小ぶりのワンショルダーバッグは、そういったバッグの代わりに使うのにとても合っている。リュックにもボディーバッグにも今一つ魅力を感じられない人の間ではこのようなワンショルダーバッグが注目されていて、このところ種類が増えている印象がある。
ワンショルダーバッグは、リュックから派生したものと、ボディーバッグから派生したものの二つに分かれる。そこで、今回は「リュックから派生したもの」と、「ボディーバッグ的なもの」をそれぞれ3つずつ、厳選して紹介する。並べてみると、リュックにもボディーバッグにもない、新しいジャンルとしてのワンショルダーバッグが生まれつつある状況も見えてきた。
必要なビジネスツールはスッポリ入るソフトタイプ
テントなどに使われるコットンのような風合いで、軽くて耐久性に優れたテントファブリックで作られている、ワンショルダーバッグ「tomel」。薄マチのリュックのような外観ながら、ショルダーバッグのように片方の肩に引っ掛けて持っても、体に沿って安定するので歩きやすく、たすき掛けにして後ろに回してリュックのように持っても、カバンを前に回しやすい形状と大きさが絶妙だ。
ファスナーの位置まで左右対称に作られていて、左に掛けても右に掛けても同じ使い勝手で扱えるというところもよくできている。メインコンパートメントは、カバン前面中央にあるファスナーで開閉するため、内容物の出し入れがとてもラクに行える。
さらに、歩きながらカバンの中からちょっとしたモノを出し入れするときも、サイドのファスナーからモノの出し入れが可能なので便利。背に当たる部分のファスナーを開くと、クッション付きのノートPC用のポケットやデジタル小物を収納できる小さなポケットも搭載する。
太めでクッションも厚いストラップは、肩への負担が少なく、しかもポケットになっているという凝りよう。さらに、ホックボタン2つを外すだけでマチが広がる仕組みなので、かさばる荷物も収納可能だ。これだけの凝った細部を持ちながら840グラムと軽量なのもうれしい。スッキリしたデザインとテントファブリックの質感で、スーツにもカジュアルにも似合うため、使用範囲もとても広い。仕事から散歩、機内持ち込み用など、これ一つで、ほとんどのシチュエーションがカバーできる。
吉田カバンの新作ワンショルダーバッグ
吉田カバンの2017年春夏の新製品。縦糸にナイロン、横糸にナイロンとポリエステルをより合わせた糸でヘリンボーンに織った生地と、アクセスしやすい「あおりポケット」を搭載したシリーズ「PORTER FUNCTION」のワンショルダーバッグは、見た感じはほとんどリュックなのだが、やや幅をスリムにした縦長のデザイン。これからのワンショルダーのスタンダードになりそうな形だ。
メインコンパートメントと外側のポケットの間があおりポケットになっていて、その中にもう一つ面ファスナー留めのフラットなポケットが付いている。リュックの最大の弱点である、背負った状態でモノの出し入れがしにくい、という点を解決する方法の一つとしてのワンショルダーバッグに、このようなファスナーを使わずにモノの出し入れができるポケットを付けるのは気が利いている。
また、メインコンパートメントにはスライダーが4つ付いていて、左右上下どこからでも開閉できる。ワンショルダーバッグを前に回してモノの出し入れをする際に、そのときどきで最も扱いやすい開閉が可能になっているのだ。
メインコンパートメントはシンプルな構造で、背中側からフルオープンというリュックによくあるスタイル。上部に取っ手が付いているのもリュックと同じだ。ワンショルダーバッグは、ボディーバッグから派生したものが多いせいか、このバッグのようなマチがたっぷりあるタイプが少ないので、この構造はありがたい。
珍しい機能としては、外部ポケットの中のポケットはセラミック系の抗菌剤を練り込んだ糸で織り、デオドラント加工を施した制菌・抗菌・防臭・消臭機能を持つ「バイオライナー」になっているのが面白い。
ポケットを分散。背中の負担を減らしたアイデアバッグ
背中への負担を少なくしながら、たくさんの荷物を持ち歩けるバッグを製作しているメーカー、HEALTHY BACK BAG。その一番大きなサイズのバッグが「ビッグバッグ」だ。ワンショルダーなので、大きいといってもアウトドア用のリュックほどではないが、街歩き用のバッグとしては、その容量はかなり大きい。仕事帰りに寄ったコンビニでカップ麺を3つ買っても、すっぽり収まるのだ。
内部には、大きなメインコンパートメント以外に、iPad miniや手帳、筆記具などがまとめて入るくらいのポケットや、小ぶりのポケット、ペットボトルや傘が入るポケット、内側にあるオープンポケットなど、あちこちにポケット類がある。このあちこちに分散したポケット類が、重さを集中させず背中への負担を減らしてくれるのだという。
実際のところその効能はよく分からないのだけど、それぞれのポケットに入れるものをある程度決めておけば、日常、必ず持ち歩くものはポケットだけでまかなえてしまう。書類や雑誌などの大きなものはメインコンパートメントに入れるが、小物と大きなものが一緒にならないので、メインコンパートメントが広々と使えるのはうれしい。
また、すべてのファスナー類が体に沿う側に付いているので、知らないうちにファスナーを開けられてしまう危険も少ない。
A4のファイルから、大きめの水筒、マンフロットの「befree」という小ぶりだけれど本格的に使える三脚まで入ってしまうので、いろいろ考えずに、とにかく、これに何でも入れて出かけられる。カバン収納のストレスが少ないという意味でもヘルシーなカバンといえそうだ。
グローブ用革、大人にちょうどいいサイズ感
ボディーバッグが苦手な大人は多いだろう。たぶん、体に巻き付けるようなフォルムとポップさが、どうしても安っぽくみえるデザインが問題なのだろう。
その点、トライオンの「PS315」は、革製のセカンドバッグをそのままワンショルダーバッグに仕立てているので、スーツに合わせることもできる。革製で、しかも箱形になっているため、たくさん入れたり、デジカメのようなデコボコのあるものを入れてもカバン自体が形崩れしない。
iPadがちょうど入るサイズで、タブレット、手帳、ペンケース、デジカメ、モバイルバッテリーといった日常持ち歩きたいアイテムを過不足なく収納可能。タブレットに関しては、ちょうど収まるポケットも用意されている。標準サイズの折り畳み傘やペットボトルを収納できる長さがあるのも、ミラーレス一眼が入るだけのマチがあるのもうれしい。なにより、それらがピッタリ入って、それ以上のものは入らないミニマムなサイズ感が持ち歩くのにちょうどいいのだ。
体に当たる背面部分はメッシュ構造でクッション付き。それ以外はパネル状の革のパッチワークによる総革製品なのに、この低価格もありがたい。トライオンはもともと野球用グローブ製作の世界的なメーカーであり、そのグローブに使った革の端切れをパネル状に切ってパッチワークして作っているからこその高品質低価格。グローブに使われる革は、革本来のしっとりとした風合いと衝撃などに強いタフさを兼ね備えて、ラフに使う大人のカバンにぴったりの素材。全体にバランスが良く、持っていれば必ず出番があるバッグだ。
背負う系バッグのいいとこ取り
リュックとショルダーバッグ、ボディーバッグとメッセンジャーバッグといった、肩で背負う系バッグのいいとこ取りしたバッグが、BusyBeaverの「Glasgow」。
用途としてはボディーバッグに近く、「ポケットを拡張するための日常的に身に着けるバッグ」なのだが、ボディーバッグに比べて容量があり、メッセンジャーバッグのように、歩きながらのモノの出し入れのしやすさや、リュックのように体にフィットする持ち歩きやすさを重ねた、機能性のとても高いバッグなのだ。
立体的な曲線を描く大きめのショルダーパッドは肩のラインに沿いやすく、肩への負担も軽い。しかも、肩に掛けたあとでストラップの長さを簡単に調整することができるので、事前の調節なしでも体にフィットした状態で持ち歩くことができる。
荷物が少ない状態でも体にフィットしやすいように、クロワッサン形になっているのだが、底のファスナーを開くとマチが広がって一気に容量が増える。箱形に近い形になるので、かさばるモノも入れられるようになるのだ。
また、メインコンパートメントの開口部はファスナーを開けると大きくふたが開くので、内部を見渡しやすく、内部にはポケットがたくさん用意されているので、小物類をきちんと整理整頓できる。
素材はコーデュラの新素材「コーデュラ・エコメイド・キャンパス」。従来のコーデュラに再生PET糸を配合して、コーデュラの軽さや耐久性はそのままに、よりキャンパス地風の肌触りと質感を持たせたものだ。そこにデュポン社が開発したテフロン加工を施すことで汚れにくくなっている。
重さは440gととても軽量だ。国産メーカーならではの細部への配慮や作りの丁寧さ、年齢性別を選ばないニュートラルなデザインで、安心して使えるワンショルダーバッグに仕上がっている。
薄くて強靭、防水性も高い頼れるワンショルダーバッグ
ライトウェイトビジネスをコンセプトにした「PORTER HYBRID」に、新しくカジュアルにも使えるアイテムが追加された。その一つが、このワンショルダーバッグ。
このシリーズ共通の素材「X-C1000」は、表にコーデュラナイロンを使い、裏にポリエステルをヒモ状にしたモノを斜め方向に配置してポリエステル素材のフィルムを圧着したもの。軽く、耐久性の高いコーデュラナイロンに、斜め方向の引っ張りに対する強度を加え、防水性も高い素材だ。止水ファスナーも使われていて、縦長のスマートなデザインながらラフに使えるバッグなのだ。
縦に細長い形状は、肩から提げたときの収まりが良く、コロンとしないせいか服と合わせやすい。幅はiPad miniがちょうど収まる程度。本や手帳、財布、モバイルバッテリーやケーブルなどはもちろん、縦長いので折り畳み傘などはラクに収納できる。マチもあるし、外側のポケットも大きいので、手回り品を入れて持ち歩くには十分。
かなり細長い珍しい形状なので、入れるものに向き不向きはあると思うが、ササマチ(V字のマチ)が付いたメインコンパートメントは大きく開くので、モノの出し入れがしにくいということはない。
裏側の斜めに張られたヒモの模様が、うっすらと表に模様となって浮かび上がる生地は、独特の風合いで、薄いけれど強靭。手回り品といえばデジタル機器や紙製品、革製品が中心になるので、このバッグの防水性能は普段使いのバッグとして使うのに頼もしい。
(文・写真 納富廉邦)
[日経トレンディネット 2017年2月14日付の記事を再構成]
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