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全米でも日本でもモテる街、ポートランドの秘密

ライター 小野アムスデン道子

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米国のオレゴン州にあるポートランドをご存じだろうか。米大手旅行雑誌『Travel+Leisure(トラベル・アンド・レジャー)』が2016年度に発表した「全米一、夏に行きたい街」に輝き、旅先としても、住みたい街としても一番に上ることが多い街だ。日本でも本が出たり雑誌の特集を飾ったりするなど、昨今、人気の街でもある。ポートランドと東京を行き来している筆者の目から、この街の「モテる秘密」を探ってみようと思う。

絨毯敷きの空港で生演奏や無料映画館での上映

年間1600万人の客が乗降するポートランド国際空港(略称PDX)に降り立つと、何やら他のアメリカの空港と雰囲気が違う。ここには、よく空港にある酒や化粧品、ブランド商品などの免税品店がない。何せ元からオレゴン州には消費税などの「間接税」がないから、オールTAXフリー。その代わりに地元産にこだわる雑貨店や名物書店、ブルワリー(ビール醸造所)パブに果てはフードカート(固定型屋台)まで、ポートランドらしい店が並ぶ。

そして、明るい色の絨毯(じゅうたん)が敷かれたコンコースには、どこからかピアノやギターの生演奏の音色が流れてくる。ホテルのロビーでも歩いているような気がするPDXは、ほっと和むような雰囲気を持っている。

ポートランドは、エコロジーでサスティナブル(持続可能)、ヒップスター(個性的なインディー文化を好む層)の街とよくいわれるが、何といってもローカル愛の強さがこの「ポートランドらしいカルチャー」をつくっていると思う。空港ではアート&エンターテイメントプログラムの一環としてこのような音楽演奏や地元アーティストの作品展示が行われている。

空港内の飲食店なども空港の担当者が、地元の評判の店に出向いて、出店しないか、とオーナーに直接交渉するのだそう。また、空港と市内は同じ値段であることをルールにしている。ここは、空港である前にポートランドの一部なのだ。最近、オレゴンのフィルムメーカーによる映画を無料で楽しめるミニ映画館までオープンして話題になっている。このローカル感が漂う空港からして『ポートランドらしい』。

ほかとは違っていてもポートランドらしく自然体で

モテる理由は、他にはないこの『ポートランドらしさ』。その精神は、街のあちこちに落書きもされている「 Keep Portland Weird(変わり者でいこうぜ! ポートランド)」というスローガンに表れている。

例えば、バスや路面電車が発達していて、マイカー社会のアメリカにあって「公共交通機関や自転車を使った方が、地球にも優しいし運動にもなっていいでしょ」という姿勢で、車を持たない人もいる。また「古くたっていいものはいいんだから、大事にしようよ」と、名物書店「パウエルズブックス」では古本と新本が混ざって売られている。家の修理や家具作りまで教えてくれるDIY(日曜大工)ショップもある。また、ポートランドで禁酒法後に最初にブルワリーパブを作った「マクメナミンズ」は、取り壊しになりそうな学校や教会を次々にブルワリーパブに転身させて成功し、今やその数は65にも上る。そのうちの一つでホテルでもある「ケネディスクール」は、1912年築の小学校。学校そのままの建物に入ると、教室はホテルルームに、講堂は映画館に、エンジンルームがパブになっている。

・ケネディスクール McMenamins Kennedy School/https://www.mcmenamins.com/kennedy-school

新しいビジネスが育つのにちょうどよい規模

新しいビジネスやクリエイティブな才能が育つのにちょうどいい街の規模ということもあって「小さく芽生えたビジネスを応援する気風」もある。2008年からヘルシーな日本料理店「シェフナオコ」を経営している田村なを子さんは、開店した時に「ようこそこの街へ。ここでレストランを開いてくれてありがとう」とお客さんにと言われて驚いたという。まだ20歳代のマーカス・ハーヴェイさんは、2年前に「ポートランドギア」を起業して、今やオンラインショップでアメリカ国内は全州、海外には30カ国でポートランドのロゴ入りTシャツや雑貨を売る。「ポートランドは小さいけどこのサイズが住みやすくていい。この街のよさを何かで表現できたら」という気持ちでスタートしたのが成功につながっているという。

ポートランドで数多いブルワリーやコーヒーショップも競い合うのではなく、イベントで協業したり、異業種同士で「コーヒーテイストのビールを造る」ようなコラボレーションをしたりということも多い。

・シェフナオコChef Naoko http://www.chefnaoko.com

・ポートランドギア Portland Gear https://portlandgear.com

ビールも食もうまい。日本人に合うポートランドのセンス

ポートランドは、ブルワリーの数が世界一。市内だけで64ものブルワリーがあり、クラフトビールであることは当たり前、自ら「Beervana(ビアバーナ)」と称するビールの聖地として有名だ。ビアバーナとはビールと涅槃(ねはん)を意味するニルバーナを足した造語だ。

日本語でビールツアーやフードツアーなどの案内をするレッド・ギレンさんは「日本から来るお客さんは、もちろんおいしいクラフトビールやレベルの高いフードを楽しみにしていますが、それだけではなく、ポートランド的生活を味わってみたいという気持ちを感じますね」という。ローカルに根ざして、自然、食、暮らしを大事にするポートランドのセンスというのは、日本人の心にも響くようだ。

・ブリューバーナ・ブリュワリー・ツアーズ BREWVANA Brewery Tours/http://brewvana.com

人気のフードツアー「フォークタウン・フード・ツアー」がピックアップするのは、ローカルの食材やサスティナブルを重視する、中東料理のフードカートやフュージョンのサンドイッチ店など。地元を大切にしながら自由な発想でおいしさを追求している。このツアーも日本人に人気が出て来て、日本語での案内が可能なのだそう。

・フォークタウン・フード・ツアー Forktown Food Tours/http://www.forktownfoodtoursportland.com/our-tours-japanese

ポートランドの観光協会「トラベルポートランド」にはなんと日本語ペラペラなスタッフが2人もいる。一人は、日本に通算15年間いたという国際観光部長のジェフ・ハマリーさん、もう一人は日本人の古川陽子さん。ジェフさんは、「ポートランドと日本は、木材や農作物の輸出などを通してのつながりがあったところに、ナイキの創業をきっかけに育ってきたクリエーティビティーが、日本の若者にもアピールするようになった」という。古川さんは「日本でポートランドが人気だということが最近はローカルのニュースに上るようになってきました」と地元新聞の記事を見せてくれた。

自然に囲まれ、ローカルな暮らしを愛するポートランド。どうして日本人にも人気かと問われれば、そんな自然体の精神がフィットするのだと思う。そう言えば、ポートランドの街からも美しい姿が見えるフッド山は富士山にとても似ているのだった。

・トラベルポートランド Travel Portland/https://www.travelportland.com (日本語もあり)

小野アムスデン道子
 世界有数のトラベルガイドブック「ロンリープラネット日本語版」の編集を経て、フリーランスへ。東京とポートランドのデュアルライフを送りながら、旅の楽しみ方を中心に食・文化・アートなどについて執筆、編集、プロデュース多数。日本旅行作家協会会員。

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