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桜田門外の変 井伊直弼ゆかりの彦根を行く 滋賀県の彦根城

2017/3/3

彦根城は関ケ原の戦い後に徳川家の西国対策として築城(彦根市提供)

 今年は「大政奉還」から150年。その幕末・維新の幕開けとなったのが「桜田門外の変」だ。1860年(安政7年)3月3日、日米修好通商条約を結んだ徳川幕府の大老、井伊直弼が江戸城外で暗殺された。井伊直弼には強権的な手法への批判が多いものの、日本の開国・近代化へ道を開いたとの声もある。最新の井伊直弼像を求めて。ゆかりの地、滋賀・彦根をまず訪ねた。

■司馬遼太郎も感動した彦根城

 作家の司馬遼太郎はベストセラー紀行「街道をゆく」の中で滋賀県を2回巡り歩き「私はどうにも近江が好きである」「近江路は春がいい」と語っている。特に2回目の「近江散歩」の章では彦根に一泊し、ホテルから彦根城の天守閣を眺め「ときめくほどに感動した」という。

 彦根城は国宝5天守のひとつで、徳川四天王に数えられる初代藩主・井伊直政の銅像が建つJR彦根駅から大通りを歩いて15分と近い。中山道と北国街道が合流する要衝のエリアに建てられ、今年で築城410年。優美な天守閣などは創建当時そのままに残っていてこの城ならではのみどころが多い。

JR彦根駅前の井伊直政像。彦根35万石の藩祖となった(彦根市提供)

 ただ井伊藩は「西国大名の抑え」という使命を幕府から担っており、彦根城も「戦う城」という趣だ。彦根城も近づいてからが案外進みにくい。左右に曲がり、内堀伝いに進まないと表門橋にたどり着けない。入ってすぐには「彦根城博物館」が建っている。

 井伊家代々の宝物がほぼ完璧に近い形で保存されており、大名文化の粋を楽しむことができる。お薦めは有名な「井伊の赤備え」の甲冑(かっちゅう)や徳川時代の超精密画、国宝「彦根屏風」だ。

 本丸・天守閣まで向かう坂道の途中にあるのが左右の櫓(やぐら)に橋をかけた「天秤(てんびん)櫓」だ。前後の道筋が複雑に込み入っている上、敵兵が攻めてくれば橋を落として食い止める仕掛けで彦根城でしか見られない防衛施設だ。さらに山の斜面に沿って石垣を築いた「上り石垣」も敵兵の進撃を妨げるもので、豊臣秀吉の「文禄・慶長の役」のときに朝鮮半島で用いられたという。射撃のための鉄砲狭間なども見逃せない。

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