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片頭痛もちの「めまい」 小脳トレーニングで改善

日経ヘルス

2017/3/19

PIXTA

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 片頭痛がある人は、めまいも訴えていることが多い。こうした人は、片頭痛の薬物治療とともに、小脳のトレーニングを行うと、頭痛とめまい、両方の症状を効果的に改善できるという。

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 女性に多い不調「めまい」と「頭痛」。実は、両者を併せ持っている患者は多い。「片頭痛の患者のうち、約55%でめまいを訴える」と、国立病院機構東京医療センター臨床研究センター平衡覚障害研究室の五島史行室長は話す。

 だが、頭痛が主な場合は神経内科へ、めまいの場合は耳鼻咽喉科へかかる人が多い。そして、主でないほうの症状は「我慢し、医師にも話さないことが多い」(五島室長)という。

「国際頭痛分類第3版β版」では、前庭性片頭痛について掲載が加わったが、そこでは、「めまいが起きたときの少なくとも50%で、片頭痛のような症状が起きること」としている。五島室長は、「前庭性片頭痛は、片頭痛関連めまいの一部ととらえている」という

 しかし、最近、片頭痛とめまいを併せ持っている場合に、新たな治療のアプローチも登場してきた。片頭痛とめまいが、共通点の多い病気であることが分かってきたためだ。

 例えば、片頭痛の発症メカニズムと推測されている「片頭痛発生器」。脳の深い部分にあり、そこから起こる神経の興奮が広がって片頭痛を起こすという説だ。

(イラスト:三弓素青)

 五島室長は「この片頭痛発生器と、めまいに関連のある脳の前庭神経核は非常に近い場所にある」と話す。そのため、頭痛がめまいの引き金になったり、逆にめまいが頭痛をさらに悪化させる可能性があるという。

■毎日の小脳トレーニングで症状軽減

 この悪循環を断ち切るためには、片頭痛もめまいも適切な治療を行うことが大切だ。

 片頭痛の“治療薬”には急性期治療薬としてトリプタン製剤など優れた処方薬があるほか、“予防薬”としてカルシウム拮抗剤、抗うつ薬、抗てんかん薬なども用いられる。

 この“予防薬”がめまいの予防にもなるという。五島室長は「片頭痛予防薬は一般的に月に8回程度以上発作のある場合に用いるが、めまいが強い場合には月に2回程度の発作でも服用してもらうと効果的だ」と話す。

 そして、平衡感覚を調整する「小脳」機能を改善するトレーニングも重要だという。自宅でできるもののほか、医師の指導の下で行うものもあるが、毎日続けることが大切だという。めまいが改善すれば、予防薬の服用も中止できる。

両腕を肩幅に左右に広げる。手は肩幅より少しだけ広げる。立てた親指の先を、目玉だけ動かして交互に素早く見る。10往復(イラスト:いたばしともこ、以下同)

右手を前に伸ばし、左手であごを押さえる。腕を左右に振り、動く親指の先を目玉だけ動かして追いかける。10往復

目の正面に親指を立てた状態で腕を伸ばし、親指の先を見つめたまま頭を左右に振り返る。10往復。気持ち悪くなっても頑張って

 五島室長は「片頭痛の人は、小脳の機能が不安定で、ブランコがキライだったり、乗り物酔いしやすいとされる。最近では小脳トレーニングでめまいを予防すると、片頭痛発作を抑えられることも分かってきた」と話す。

五島史行さん
 国立病院機構東京医療センター臨床研究センター平衡覚障害研究室長。慶應義塾大学医学部卒。難治性のめまい患者向けに、5日間の入院めまいリハビリを実施。「めまいには画期的な新薬がない。小脳のトレーニングを継続して行うことが大切です」。

(ライター 荒川直樹)

[日経ヘルス2017年4月号の記事を再構成]

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