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暗闘の中にクロウサギ 奄美で人気のナイトツアー 鹿児島県の奄美大島をゆく(下)

2017/3/15

カヌーで木のトンネルをくぐると気持ちいい(奄美市住用の黒潮の森マングローブパーク)

 観光開発が進み華やかなビーチリゾートのイメージが強い沖縄に比べ、同じ南国でも奄美大島はリゾート開発があまり進まず、地味な印象が強い。逆に言えば、手つかずの大自然が残っているといえるだろう。アマミノクロウサギなど奄美周辺でしか見られない固有の希少野生動物、亜熱帯植物に覆われた原生林、北限といわれるマングローブ群生林などだ。本州ではまずお目にかかれない変化に富んだ奄美の森に入ってみた。

■人気のナイトツアー 一瞬が勝負

 最近、観光客に人気なのがナイトツアー。アマミノクロウサギや野鳥のオオトラツグミなど奄美の固有種を夜間に見るツアーだ。特に国の特別天然記念物に指定されるアマミノクロウサギは夜行性のため、夜しか見られない。隔絶された環境の中で独特の進化を続け「生きた化石」ともいわれる。マングースによる被害や森林伐採などで一時、絶滅の危機にあったが、最近は保護政策により少しずつ持ち直しているという。

亜熱帯照葉樹林が広がる奄美の森は深い

 ツアーを主催する奄美ネイチャーセンターの島隆穂さんに案内してもらった。午後7時、奄美市名瀬の中心部から国道58号を南下し、旧道を走ること約30分。向かったのは三太郎峠だ。クロウサギの生息域の1つという。「ここからライトを照らします」。島さんはアウトドア用の懐中電灯を片手に持ち前方を照らしながら、ゆっくり車を走らせる。「ウサギが現れても絶対に降りないでください」。道端の草むらなどにハブがいるからだ。

 しばらく走ったが、クロウサギはなかなか現れない。やがて舗装道から狭い未舗装の林道へ入った。「運が悪いと1兔も見られないことがある」と島さんに言われ不安に思っていると、突然、車の前に黒っぽい生き物が現れた。「あ、いた!」。夢中でカメラのシャッターを切ったが、すぐに暗闇の中へ姿を消してしまった。

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