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運用上手 健全なひねくれ者になるには(窪田真之) 楽天証券経済研究所所長兼チーフ・ストラテジスト

2017/2/28

「投資では『中立』というポジションが大切だ」

 日本株投資には今、大いなるリスクとチャンスが共存しています。米国を中心として世界景気は回復基調にあり、日本の景気・企業業績にも回復の兆しが見えています。

 新しい成長テーマも増えています。人工知能(AI)、IT(情報技術)と金融が融合したフィンテック、モノがインターネットにつながるIoT、ロボット、バイオテクノロジー、ITセキュリティー、自動運転、ドローン(小型無人機)などのテーマで躍進する小型株を発掘して、投資するのに面白い時期だと思います。

 ただし、大きな落とし穴が待ち構えている可能性もあります。世界中で政治不安がどんどん高まっているからです。「米国第一」を掲げ、保護主義・排外主義の色彩が濃い大統領令を次々に出すトランプ米大統領をはじめ、世界に「自国中心主義」が広がっていることが、株式投資にとって重大なリスクです。

 世界各地の地政学リスクも懸念されます。東アジアでは北朝鮮が暴走するリスク、中国の海洋進出をめぐって米中の緊張が高まるリスクがあります。

■プロの運用には3つの投資判断がある

 こんなとき、日本株投資はどうしたらよいのでしょうか? 私は今のような投資環境下では、日本株の組み入れは「中立」にすべきだと考えています。

 私は投資顧問会社で年金・投信・特金など、さまざまな種類の日本株ファンドを25年間運用していました。そのとき、日本株の投資判断には3つの種類がありました。「オーバーウエート」「中立」「アンダーウエート」の3つです。

 例えば、私が運用していた年金ファンドは資産配分で株40%、債券60%と決められていました。ただし、ファンドでは一時的にプラスマイナス5%の範囲で比率を変動させることができました。つまり、日本株が40%なら「中立」、45%なら「オーバーウエート」、35%なら「アンダーウエート」になります。この比率はファンドによって違います。私が運用していた別のファンドでは、日本株が95%で「中立」、90%なら「アンダーウエート」、100%なら「オーバーウエート」でした。

 私は20歳代で1200億円、50歳代では2200億円の資産総額の日本株を運用していました。短期的な需給動向を見ながら、日本株が上がると思うときは「オーバーウエート」、下がると思うときは「アンダーウエート」、どちらか自信の持てないときは「中立」にしていました。「中立」というポジションがあったことが、大きなお金を長く運用できた鍵だと考えています。

 私がもし、今もファンドマネジャーをしていたら、現在は日本株を「中立」にするときだと思います。そして、日本の景気・企業業績の回復の勢いがさらに強まるなら「オーバーウエート」、世界の政治不安が一段と強まるならば「アンダーウエート」にするでしょう。今はそのための様子見の時期です。

 個人投資家の方は日本株が下がるときは「一株も持っていたくない」、上がるときは「目いっぱい投資して稼ぎたい」と思うでしょうが、そんなにうまくトレードできる人はほとんどいません。まず、「中立」というポジションを決めて、しっかり守っていくことが、短期的な相場の波乱に惑わされない第一歩となります。そして、株が安くなったときに買い増し、高くなったときに売るスタンスを身につけましょう。

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