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結晶の中で5万年生存 未知の微生物を科学者が覚醒

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ナショナルジオグラフィック日本版

鉄や硫黄などを食べて生きる微生物が、メキシコにある洞窟の巨大な結晶の内部に閉じ込められていたことが報告された。しかも、新種の可能性が高く、発見者である研究者たちの見方が正しければ、微生物は数万年もの間、休眠状態のまま生きながらえてきたと推測される。

この発見が立証されれば、地球上の微生物は外界とのつながりを断たれた場所で、これまで考えられていたよりもはるかに厳しい環境でも耐えられるという説に、新たな裏付けを加えることになる。

NASA宇宙生物研究所のペネロペ・ボストン所長は2017年2月17日、アメリカ科学振興協会による会合でこれを発表し、次のように述べた。「これらの微生物は、休眠状態にありながら、地質学的にみて重要な期間にわたり生存し続けてきました。つまり、何万年という単位で起こる地質学的現象によって、再び目覚めるかもしれないわけです。この地球上における微生物の進化の歴史を解明する上で、今回の発見は大きな影響を与えるでしょう」

結晶製のタイムカプセル

この結晶洞窟は、メキシコ、チワワ州北部のナイカ鉱山の中にある。鉱山で鉛や銀を引き上げるために、地下水を広い地下洞窟から汲み上げてみると、巨大な乳白色の結晶が林立する迷宮が姿を現した。中には、長さ9メートルに達する結晶もあった。微生物は、その洞窟の過酷な環境に適応し、生存してきた。

2008年と2009年に米ニューメキシコ工科大学の支援を受けて調査に訪れたボストン氏は、結晶内の空洞に閉じ込められていた液体を採取した。そして、この中に眠っていた微生物を「覚醒」させ、培養することに成功した。ボストン氏の研究チームがこれを分析したところ、微生物は地球上で知られているどんなものとも遺伝学的に異なっていることがわかった。とはいえ、他の洞窟内や火山地形で見つかる微生物に最もよく似ていたという。

以前の調査により、この洞窟の中にある最古の結晶は50万年前のものであることがわかっている。これを基に結晶の成長速度を計算した結果、研究室で培養していた微生物は1万年~5万年前から、輝く結晶に守られながら存在していたと、研究チームは考えている。

今回の報告について、チームは現在論文を執筆中であり、科学的な発見がもたらされたときに行われる論文の査読というプロセスを経ていない。したがって、他の専門家らもいまのところ詳しいコメントを言える状況ではない。

「これまでにも、数万年~数百万年前の物質から微生物を呼び覚ましたという報告はありますから、1万年~5万年前の標本から微生物を覚醒させたというのはそれほど驚くようなことでもないでしょう」と、米フロリダ大学の微生物学者ブレント・クリスナー氏はいう。

例えば、氷河や琥珀(こはく)、塩の結晶の中から古代の微生物を発見したという報告例もある。「ただし、発見されたものの年代が古くなればなるほど、懐疑的な意見も増えるので注意が必要ですが」と、クリスナー氏は断っている。

問題の一端は、どんな生命体にせよ休眠状態のままでどれくらいの期間生存できるか、誰にもわからない点にある。休眠するといっても、いつかは食事をとらなければならない。そうでなければ、細胞は衰え始める。また、いくらたくましいといっても、そんなに長い間、生存のためだけに代謝を抑えることが可能なのかどうかも、まだわかっていない。

ナイカ鉱山の微生物は、入っていた液体に含まれているわずかなエネルギー源だけで生き延びてきた可能性はあると、クリスナー氏はいう。「不幸にも死んでしまった仲間の微生物を食べて生きていたとも考えられます」

外部から入り込んだ可能性は?

しかし微生物は、実は結晶の中にいたのではないという可能性もある。結晶の周囲を取り巻く水の中にいたものが紛れ込んだのかもしれない。

2013年、フランスとスペインの研究者たちがナイカ鉱山の奥深くにある塩分を含んだ温泉から微生物を発見したと報告した。これらの現生微生物は、やはり地下にある化学物質からエネルギーを得ており、既知の微生物とは遺伝学的特徴が異なっていた。

「原理上は、ナイカの結晶の中にある液体に微生物が閉じ込められるということは考えられます。しかし、それが1万~5万年後も生存しているというのは疑問ですね」。フランス国立科学研究センターの微生物学者で、2013年の論文を共同執筆したプリフィカシオン・ロペス・ガルシア氏はいう。

「結晶にドリルで穴を開ける際に、結晶の表面に付着していたり、ごく細い割れ目にすみついていた微生物が一緒に中へ入ってしまったという可能性はかなり高いです。実際に証拠を見ない限り、今回の発見の正確性を判断するにはかなり慎重にならざるを得ません」

ボストン氏は、外部からの微生物の混入を防ぐため、研究チームはあらゆる措置を講じたとしている。防護服を着用し、ドリルを殺菌消毒し、結晶の表面も過酸化水素を使って消毒、場合によっては火を使って殺菌した。

「また、結晶の外で生きたまま採取された洞窟微生物の遺伝子も調べ、培養しました。そのうちのいくつかは、液体の中にいた微生物によく似ているものの、全く同じではないことも発見しました」と、ボストン氏は語る。このことから、やはり問題の微生物は結晶の中にいたものだと、研究チームは確信したという。

残念ながら、洞窟へ戻って標本をさらに集めたくても、今ではそれが難しくなっている。採算の取れなくなったナイカの鉱山は操業を停止し、洞窟内に再び地下水が流れ込んだのだ。けれどもボストン氏によると、研究チームが採取し培養した微生物は今でも活発に成長を続けており、この先も研究が続けられていくことが期待される。

(文 Victoria Jaggard、訳 ルーバー荒井ハンナ、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2017年2月22日付]

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