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まるごと現代アートの宿に泊まる 新潟県「光の館」

2017/3/9

冬は雪が深く、1階を高くしているため、神殿のような趣になっている

 世の中、数えきれないほどの宿があるが、建物そのものが芸術作品という宿は、それほど多くはない。現代美術界の巨匠、ジェームズ・タレルが2000年に造った「光の館」(新潟県十日町市)は、泊まることによって、現代アートの洗礼が受けられる特別な場だ。米ロサンゼルスに生まれたタレルは、光を巧みに操る芸術家として知られ、またの名を「光の魔術師」といわれている。日本での活躍もめざましく、作品は、金沢21世紀美術館、地中美術館、熊本市現代美術館などにも展示されている。

■アートトリエンナーレのために建てた作品

 この建物は、2000年から行われている「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」の第1回の作品である。「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」は、高齢化が進む新潟の過疎地である十日町市、津南町を中心に、3年に1度ずつ開催されてきた。今では、世界最大級の国際芸術祭として認知され、アートを介した地域づくりのお手本として高い評価を得ている。毎回、世界の名だたる芸術家の作品が展示され、そのいくつかは芸術祭が終わったあともそのまま現地に残されている。女性雑誌や美術関係の雑誌で取り上げられることも多く、人気が高い。「光の館」は、建物全体が美術作品となっているのはもちろん、うれしいことに安価で宿泊することができる。早速、仲間と一緒に体験してみることにした。

■複数のグループで同宿することもある

 1階、2階で3つの和室があり、最大16人が宿泊することができる。タレルは、複数のグループがこの家でコミュニケーションをはかりながら泊まってもらうことを目的にしていたようで、少人数のときには、複数のグループが同宿するシステムになっている。だから、一緒に泊まる人たちといろいろなことを話し合いながら、決めていかなければならない。

1階の客室から外を望む(写真提供:光の館)
2階の和室とキッチン(写真提供:光の館)

 取材班が泊まったときには、もうひとグループがいて、どの部屋を使うか、お風呂の順番はどうするかなどを、代表者がジャンケンで決めた。そんなことをしていくなかで、仲間意識が自然に芽生え、コミュニケーションをとるようになっていく。料理は、備えつけのキッチンで自炊してもいいし、ケータリングサービスで届けてもらってもいい(予約が必要)。キッチンには、基本的な調理道具はそろっており、自由に使うことができる。飲み物は用意されていないので、自分たちで持ち込まなければならない。ケータリングは、2000円と3000円のセットがあり、取材班は3000円の料理を注文した。地元の素材を生かしたなかなか豪華な料理で、大満足。まわりにはあまり民家はなく、静かな雰囲気のなかで仲間と酒を酌み交わす時間は、格別なひと時になった。

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