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独自の「基準株価」で見抜く 中小型株プロの選球眼

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2017/4/3

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1991年大和総研に入社。窯業、中小型株のアナリストを経験。2003年から大和住銀投信投資顧問で国内小型株の運用を始める

 「日本株の中には本来、値打ちがあるのに放置されたままの銘柄がたくさんある」

 こう語るのは、大和住銀投信投資顧問のシニア・ファンドマネージャー、苦瓜達郎さんだ。時価総額30億~1000億円の中小型株に投資する「J-Stockアクティブ・オープン」「ニッポン中小型株ファンド」「大和住銀日本小型株ファンド」の3本の公募型投資信託を運用する。過去1年間のリターンはそれぞれ52.7%、41.1%、49.8%と驚異的な数字だ。

 J-Stockアクティブ・オープンは新興市場の銘柄が対象。ジャスダック上場銘柄のうち、売買代金や時価総額などで一定の基準を満たす「J-Stock銘柄」を半分以上とする。ニッポン中小型株ファンドは市場に関係なく時価総額30億~1000億円までの銘柄から選ぶ。大和住銀日本小型株ファンドは東証1部上場銘柄以外のものが対象。それぞれ50~180銘柄、計240の銘柄を保有している。

 対象を時価総額1000億円までの小型株としているのは、「アナリストがカバーしていない銘柄が多く、情報面で優位に立てる可能性が高いから」。ただし、時価総額が30億円を下回る銘柄は「リスクを取って5%ルールギリギリまで買ってもファンド全体の0.2%にとどまる。かかる手間に比べてインパクトが小さい」という理由から避ける。

■独自に「基準株価」を算出

 投資は独自に算出する「基準株価」がベースになっている。苦瓜さんによると、基準株価とはその会社が理論上、付けるに値すると考えられる株価。適正な株価とでも表現すべきものだ。投資する可能性のある銘柄の全てに基準株価を設定。基準株価と実際の株価を比較し、下方乖離(かいり)率が高い銘柄から順に買っていく。

 基準株価の算出の仕方は上図の計算式の通り。EPS(1株当たり当期純利益)に適正PER(株価収益率)を掛け合わせる。このうち適正PERをどう設定するかが苦瓜さん流投資の肝だ。年間800件に及ぶ企業取材をベースに成長率、成長が見込める期間、成長の確度などを総合的に判断してはじき出す。財務体質も減点項目として考慮する。項目をリスト化し、機械的に適正PERを出しているわけではない。判断項目は苦瓜さんの頭の中にあり、適正PERを出す時に様々な要素を結びつけて考える。

 こうして出した適正PERの数値は会社によって相当な幅がある。年率30%以上で業績が伸びていて何の懸念もない高成長銘柄は50倍、一般的な安定成長銘柄は15倍、もはや大きな成長は見込めないが、少なくとも株価が下向きでない銘柄は10倍といった具合だ。

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