女子アイドルに新風 EDMやラップで、ファン広げる
PassCode、lyrical school インタビュー
欅坂(けやきざか)46に続いてブレイクする女子アイドルグループは誰か。「女子アイドルの新星 『欅坂46』に続くグループは?」「女子アイドル ハロプロとスターダストが仕掛ける新星」に続く3回目は、新鮮なサウンドでファンを広げている2組、PassCode(パスコード)とlyrical school(リリカルスクール、略称はリリスク)のインタビューをお届けする。
PassCode
ラウドロックとEDMサウンドを女子アイドルに融合
大阪出身の4人組、PassCodeは、アイドルにラウドロックやEDMが融合したサウンドが特徴。13年の結成当初は「ときに可愛く、ときにかっこよく」がコンセプトのごく普通のアイドルグループだったが、14年に発表した楽曲『アスタリスク』で大変身。アイドルファンだけではなく、ロックファンにもアピールするグループとして、16年10月には、Perfumeやでんぱ組.incなどをいち早く起用してきたタワーレコードのフリーマガジン『bounce』の表紙を飾った。メンバーを代表して、「ミスiD2016」で実行委員長特別賞に選ばれライブではあおりを担当する南菜生(なお)、激しいシャウトが注目を集める今田夢菜(ゆな)に聞く。
シャウトが体に染み込む
南 私はもともとバンドサウンドが好きだったので、14年にイメージチェンジしたときはうれしかったですけど、メンバーの反応は様々だったよね。
今田 かわいいアイドルに憧れてPassCodeに入ったので、『アスタリスク』を初めて聴いたときは「ムリ」と思いました(笑)。しかも「シャウト担当」と聞いて、どういうものなのか分からないまま挑戦することに。でもだんだんと、自分のなかに染み込んでいきました。今はアイドルにシャウトはできないだろう、と思われてしまうことが悔しくなって頑張っています。以前は個々がバラバラな感じでしたが、メンバーが今の4人になってから(15年10月)結束が強くなりました。
南 PassCodeは「おもちゃ箱」みたいなグループです。ロックサウンドなのにかわいい曲もあったり、ライブでは一瞬でくるくる変化して、いろいろなものが詰め込まれているんです。最初の頃はアイドルが好きなファンの方が多かったですけど、最近は「バンドサウンドしか聴かないけど、PassCodeは最高」と言ってくれる方や、女の子のファンが増えてうれしいです。
今田 ライブでは若いファンの方が増えた感じがします。
南 これまでのライブは、MCを入れずに曲を全部つないで休みなしで歌うのが特色でした。でも16年末の全国ツアーからはMCも入るようになったので、私たち自身のことをもっと知ってもらえたらうれしいですね。
今田 私はしゃべるのが苦手だからMCは南に任せていて、困ったときにはステージの上で視線を送ります(笑)。今は南だけMCが長くなっているので、みんなで引き出しを増やして分担できるようにしていきたいです。
lyrical school
アイドル×ラップ メンバーチェンジで次のステージへ
ヒップホップアイドルとして10年に活動を開始し、12年に現グループ名となったlyrical school。16年4月に『RUN and RUN』でメジャーデビュー。スマートフォンでの視聴を前提とした縦型映像のミュージックビデオは話題を集め、カンヌ広告祭で銅賞に輝いた。本格的なラップは、アイドルファンのみならず、ヒップホップファンの間でも評価が高い。
同年12月に、初期から在籍していたメンバー3人が2月末に開催したワンマンライブでの卒業を発表。抜群の歌唱力でグループを引っ張るminan、アイドルラップユニット「ライムベリー」の元メンバーでラップの経験や知識が豊富なhimeの2人に、今後開催するオーディションで選ばれる新メンバーを加えて、新生リリスクとして活動していく予定だ。
minan 『RUN and RUN』のミュージックビデオはリリスクをたくさんの方たちに知ってもらえるきっかけになりました。HKT48の指原莉乃さんに「ミュージックビデオがかわいい」とツイートしていただいたり、特にSNSでの反響が大きかったですね。テレビのニュース番組にも取り上げられました。
hime 私たちのライブは、初めて見た方でもすぐに楽しめるように、決まったコールやおそろいの振りはないんです。
minan アイドルフェスで、初めてリリスクを見たんだろうなという方が、最初は戸惑っていても最後の曲の頃には踊っているときに、手応えを感じます。
異ジャンルの架け橋に
hime 16年にワンマンライブでご一緒した、DJオショウさんから「また一緒にライブをしよう」と声をかけてもらったときは、ヒップホップ界の方にも認めていただけたと、うれしかったです。「アイドルにしか興味がなかったけど、リリスクがきっかけでヒップホップを聴くようになった」というファンの方もいて、アイドルとラップの架け橋役になれているのかな、って。
minan 今後はボイストレーニングに通って、もっと歌の力を伸ばしたいです。私は背が高いので(168センチ)、新メンバーはいろいろな身長のメンバーが入ってきてくれるといいかな(笑)。
hime minanさんは声が高いので、ハスキーな声のメンバーが加入すれば、コントラストを生かした新しいタイプの楽曲にチャレンジできるかも。
(日経エンタテインメント! 伊藤哲郎、ライター 高倉文紀)
[日経エンタテインメント! 2017年3月号の記事を再構成]
3月24日(金) 「欅坂46」に続くグループは?
3月25日(土) つばきファクトリー、ときめき宣伝部
3月27日(月) PassCode、lyrical school
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