不動産・住宅ローン

REIT投資の勘所

低迷するヘルスケア型REIT 価格回復の道筋見えず

日経マネー

2017/3/6

日経マネー

 REIT価格の先行きに暗雲が漂ってきた。REIT価格は2016年12月に大幅反発を演じたが、買いの中心は国債投資の比重が高い地方の金融機関だった。10年物国債の利回りがプラス0.1~マイナス0.1%という狭いボックス圏で推移することが見込まれたため、金融機関が消去法的にREIT投資を拡大したことが価格上昇の背景だ。

 しかし、ドル高是正の必要性を強く訴えるトランプ米大統領誕生で風向きが変わってきた。「利回り上限0.1%」という黒田日銀の金融政策は米側から変更を迫られる可能性が高まっている。金利上昇によるREIT価格の調整というリスクを考慮すべき時期は近いかもしれない。

■シニア住宅は物件が高い

注:投資口価格は2017年2月3日時点

 今回はREIT全体より1%以上利回りが高い状態で低迷が続くヘルスケア型REITに着目する。低迷の原因は投資対象であるシニア住宅の価格の高止まりで、投資口価格の回復も難しい状況だ。

 ヘルスケアREITの一つ、ヘルスケア&メディカル投資法人(3455、以下HCM)は、2017年1月12日、増資により6物件を取得すると発表した。取得利回りは5.3%の物件が1件。他5件はいずれも5%未満だ。増資前、HCMの保有物件全体の利回りは約5.5%だったので、今回の増資で利回りは低下することになる。

 HCMの増資は今回が上場来初。投資対象を分散する必要もあり、増資は必要だったろう。また、物件価格も上昇しており、増資で全体利回りが低下することは他のREITでもあることだ。しかし、シニア住宅を取り巻く環境を考えると、あまりにも高い価格で物件を取得したと言わざるを得ない。

 REITから物件を借りるシニア住宅運営会社は、介護保険制度の変更や人件費上昇といった収益悪化要因を内在している。いつ賃料の値下げを求めてきてもおかしくない借り手だ。にもかかわらず、HCMが取得した物件の利回りは、同一地域の一般的な賃貸住宅より大幅に低い(物件価格は高い)。

 投資家からすれば、収益減少リスクと物件利回りのバランスが見合っておらず、あえてシニア住宅に投資する理由が見いだせない状況となっている。

 筆者は、シニア住宅を取得するなら、住居系REITが投資対象とする同一地域の賃貸住宅より1%以上物件利回りが高い必要があると考えている。

 実はかつてのホテル系REIT銘柄も同様の状況に直面していた。しかし訪日外国人の増加という神風が吹いたことで投資家の見方が大きく変化した。対して、シニア住宅の収益向上に資する「追い風」となるような環境変化は思い付かない。ヘルスケアREITの価格回復には、病院などのメディカル施設の積極的な組み入れが必要であろう。

関大介(せき・だいすけ)
 不動産証券化コンサルティングおよび情報提供を手掛けるアイビー総研代表。REIT情報に特化した「JAPAN-REIT.COM」(http://www.japan-reit.com/)を運営する。

[日経マネー2017年4月号の記事を再構成]

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