「日本人は嘘つき」と疑われてしまう3つの英語
デイビッド・セイン「影の英語」(17)考えておきます
ひとつの言葉は様々な顔を持っています。日本人の言葉が意図していない意味合いで伝わることもあります。日本人向けの英語教育で豊富な経験を持つデイビッド・セインさんが、日本人が使いがちな言葉から「影にある意味」を紹介します。今回はすぐ結論を出せないときの答え方です。
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日本語の「考えます/検討します」は英語ではI'll think about it. 日本語でこれを言うとき、日本人は「その場で断りにくい」、「あまり考える余地はない」のように No. に近い気持ちを持っています。ところが英語の場合は、実はYes.と No. は50:50、だから考える余地はあるということになります。I'll think about it. をその場逃れの言い訳に使ったり、明確な理由も示さなければ相手はあなたを嘘つきと思うでしょう。これを使う時は、決定するまでにまだ時間が必要な場合のみ。その後にはYes. にしろ、No.にしろ、そのままにせず、きちんと答えを伝えることが大切です。
We're thinking about transferring you to Russia. Would that be okay? 君をロシアに異動させたいと考えているんだが、大丈夫かね?
そう言われたら、すぐに答えは出せません。「もう少し時間が必要です」と答える必要がありそうです。
正しい訳:たぶん大丈夫でしょう。
影の意味:大丈夫かもしれないし、だめかもしれない。
maybe と言う場合、そこに「努力」を表す意味はなく、ただ可能性に言及しているだけ。
Is it going to rain tomorrow? 「明日は雨が降る?」Maybe.「たぶんね」 なら単なる可能性(確率)の話で問題ありませんが、Can you help me? 「手伝ってくれる?」と頼んできた相手にMaybe. は嫌味に聞こえてしまいます。
正しい訳:考えます。
影の意味:考えておいてやる。
日本語の「考えます」と違い、上から目線。許可を請われた場合の返事に使います。I need to ask you to raise my salary.「給料をあげていただくようにお願いしなければならないんですが」のような場合、これが答えであれば上から目線で「まあ、考えておいてやる」というニュアンス。
正しい訳:考えてみます。
影の意味:頭を使ってみます。
普段滅多に使うことのないフレーズ。「頭を使って考えてみる」といったニュアンス。