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外国人観光客にも人気の「名代 富士そば」を展開するダイタングループ(東京・渋谷)は昨今、アルバイトにもボーナスや有給休暇を出す『ホワイト企業』として注目を集めている。その経営方針には、生後間もなく父親を亡くし、上京して、紆余曲折(うよきょくせつ)の末に一大立ち食いそばチェーンを作り上げた丹道夫会長の人生が反映されている。「運とは情報である」と語る81歳の経営哲学とは――。

◇   ◇   ◇

僕はガツガツして見えないでしょ。むしろ、おっとりして「なにやってんのよ」と思われるタイプだと思うけれど。

友達にすごく威張るのがいるんです。だからこの前、言ったんだ。「あんまり威張るのは良くないよ」って。僕は威張るのは嫌いなの。苦労したからというのもあるけれど、性格だね。それが「運」だと思うしね。

商売に必要なのは強い体と強い心、それと強い運ですよ。運ちゅうのはね、情報なんだよ。威張っていたら、肝心の情報が入ってこない。だから威張っちゃいけんって思ってる。

若いころは自分に何が向いているのかわからなかった

僕は1935年、名古屋市で生まれました。すぐに父が亡くなったもので、母は私を連れて実家がある愛媛県西条市へ移り住んだんです。再婚したのは私が5歳の時。山の麓にある人口300人くらいの小さな村で、母が嫁いだ先は借家を5、6軒持ち、山林も多少所有している比較的裕福な家でした。

披露宴の日、白無垢(むく)を着た母が遠くの方に座っていたのを、今でも覚えています。親戚の人に「道ちゃん、これ食べなさい」って言われて刺し身を食べた。刺し身しょうゆっていったら、今は皿に注ぐでしょ。当時は筒みたいな容器に入っていたんです。それに、ちょこっと刺し身をつけて食べたの。

家の2階に上がると、真っ暗な夜景の向こうにぽつんと光が見えた。横につるし柿が干してあったから、秋だよね。年に2回、村で映画の上映会が開かれる時には山の峰の方からたくさん人が集まってきて、お祭りのような騒ぎになる。そんな村でした。

近ごろ東京の街を歩いていると、つくづく思うんだよね。四国の田舎から出てきて、この東京で店を出して、よくぞここまで大きくできたな、と。みんな「運がよかったなあ」って言うわけ。ほんと、そう。自分でもそう思う。

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