どつき漫才で脚光、カミナリ たたかれて頭は大丈夫?
審査員の松本人志が頭を抱えるほどハイレベルな接戦だった昨年末の『M-1グランプリ2016』。その中で、ダークホースとして大きな脚光を浴びたのがカミナリだ。
茨城出身の幼なじみコンビ。まなぶの発言のちょっとしたおかしさにたくみが時間差で気づき、「おめえ、そういえば○○だな!」と相方の頭を強烈にたたく。たっぷり取る独特の間や茨城なまりのイントネーション、たたかれた時の表情など、笑いどころがいくつも用意されている。
M-1の放送後は、伊集院光が自身のラジオ番組で「面白い! これは来たな」と絶賛したのをはじめ、太田光が「インパクトを残した」と高く評価。17年の飛躍に向けて弾みをつけた形だ。
結成は11年4月。大学卒業後に、憧れのサンドウィッチマンが所属するということで、グレープカンパニーのオーディションを受けると、スルッと合格。お笑いの養成所を経ないでプロの道へ。「お手本にしてきたのは、マネジャーに手渡されたサンドウィッチマンさんの台本。最初のうちはそのままマネして標準語でやっていたんですが、自分たちの感情がこもっていないことに気づいて、普段まなぶくんに話しかける言葉にしました」(たくみ)
転機は2年前。「あるライブで、まなぶくんの頭を思いっきり、たたいたときにドカンとウケて」(たくみ)。これをヒントに現在のスタイルを築き上げた。「当時はコント中心だったんですが、1年ほど前から漫才でやってみたら、さらにウケるようになったので、そこからは漫才一辺倒です」(まなぶ)
バチーンという音が響くほどのどつき漫才ゆえに、ケガを心配されることも多いというが、「スベったときだけちょっと痛いくらい。ウケると喜びが上回るから痛みを感じなくて(笑)。たたかれても頭は大丈夫ということを証明するためにクイズ番組に出て正解しまくりたい」とまなぶは笑う。
養成所に通っていないぶん、芸人同士の飲み会がお笑いの勉強の場だ。特に事務所の先輩芸人・永野から教わることが多かったと声をそろえる。「技術というよりも気持ちの面でいろいろ教えてもらった」(まなぶ)、「『地元の友達が笑うネタを作ったほうがいい』というアドバイスがありがたかった」(たくみ)。
そんな永野が一足先にテレビでブレイクしたときは、「猛烈に刺激を受けた」という2人。「いつも会えていた人が忙しくて会えなくなっちゃったんで、僕らも同じステージに行くために、一層頑張るようになりました」(たくみ)
当面の目標は「2人の内面を出せるようなトーク番組に出ること」とたくみ。まなぶも「漫才だけじゃなくて、人間として面白いと思ってもらえるようになりたい」と続ける。ネタの面白さは折り紙付き。ネタ以外の部分がクローズアップされそうな今年は、2人にとって大きな山場になりそうだ。
(「日経エンタテインメント!」2月号の記事を再構成。文・遠藤敏文 写真・中村嘉昭)
[日経MJ2017年2月17日付]
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