「あれ、すっごい軽い!」 津田大介の理想のリュック

背負った瞬間に「あれ、これ、すっごい軽いな!」と肩でわかった。それがこの新しいバックパック、米Keep Pursuing製「KP Zero-G」の第一印象だ。うたい文句は「世界初の重量感軽減リュック」。僕が購入したときは約200ドルと安かったのだが、届いてモノを入れて背負ってみたら驚いてしまった。
驚きの重量感軽減効果
ともかく僕は持ち歩くモノが多い。バックパックにはノートパソコンだけでなくタブレットやKindle、デジカメ、本、さまざまな小物、紙の資料などを入れている。今回あらためてカバンに入っているモノを数えてみたら、30アイテムを超えていた。いつも事務所にいて仕事ができればいいのだが、取材に出たらそういうわけにもいかないし、出張先のホテルでも夜は部屋にこもって仕事をすることが多い。だから、仕事のできる環境をどこへでも丸ごと持ち歩く必要がある。

このKP Zero-Gはバッグ本体と肩掛け部分の接合部4カ所にサスペンションが備えられていて、肩に掛かる下方向への負荷を腰など斜め方向に分散させるようになっている。ラボ実験の動画によると、普通のバックパックと比べて体への負荷が25%も軽減されるというデータが出ているそうだ。実際に背負って飛び跳ねてみると、その軽さを実感できる。
素材は防水で雨に強く、ヘビーデューティーで屋外での取材にも使える。シンプルだけどデザインもかわいい。フラップはマグネット式で、適当に放しても閉まる。ノートパソコン、PC系の小物、iPad、Kindle、パス類など多種多様なモノを小分けにして収納できるのがとても助かる。一泊か二泊の出張が多いので、シャツやTシャツを放り込み、このバッグ一つで行けるのもいい。
理想のバッグを求めて――10年間のリュック遍歴
10年ぐらい前までは肩掛けカバンを使っていたのだが、整体師に背中のゆがみを指摘され、リュックをすすめられた。それから使い始めたのがTUMIのビジネスリュックだ。かなりの大容量で、たくさんモノを持ち歩く人が最後に行き着くと言ってもいいバッグだった。出先で同じバッグを使っている人に会い、「ああ、あなたもこれですか!」となったことが何度もある。
でも、あまりにも重くて体がきつくて、同じTUMIでもワンサイズ小さいモデルを使ってみたり、何とかバッグを軽くしたいと試行錯誤していた。そんな時に出合ったのが、いしたにまさきさんがプロデュースした「かわるビジネスリュック」だった。とてもいいバッグで、容量も申し分ない。よく考えられているし、売れるだろうなと思った。ただ、1カ月くらい使ってみて、自分の求めている理想とはちょっと違うなと感じたのも事実だ。

大容量でありながら、小物を小分けにして収納可能
僕がビジネスリュックに求めるものとは何か。まず大容量であること、そして小物を用途別に小分けにして収納できることだ。昔はバッグインバッグなどで小分けにしていたのだが、あれは面倒くさかった。「かわるビジネスリュック」は理想とは違ったが、あれを使ったおかげで自分がバッグに求める条件が明確になり、理想のバッグを探そうという気になったのだ。
そんな矢先、たまたまFacebookでビジネスリュックの広告が目に止まり、クラウドファンディングのKickstarterに行ってみた。すると、ビジネスリュックの開発プロジェクトがたくさん見つかった。進化した製品があるのではないかと予想していたところ、読みが的中した。良さそうなものをいくつか買ってみることにして、その中で最も期待度が高かったのがこのKP Zero-Gだった。


このカバンの容量に合うように持ち歩くものを調整し、本格的に使い始めたところ、圧倒的に変わったのは歩く距離だ。今までだったらリュックを背負って歩くのがつらいなという距離でも、何も持たずに歩くのと同じとは言わないまでも、歩ける。歩く速度も速くなった。カバンが軽くなるだけでこんなに違うんだなと思う。本当に世界が変わる気がする。普通の人はこんなにカバンを重くしないだろうが、たくさん荷物があって肩凝りに悩んでいるような人には断然おすすめしたい。
ジャーナリスト/メディア・アクティビスト。「ポリタス」編集長。1973年東京都生まれ。メディア、ジャーナリズム、IT・ネットサービス、コンテンツビジネス、著作権問題などを専門分野に執筆活動を行う。主な著書に『ウェブで政治を動かす!』(朝日新書)、『動員の革命』(中公新書ラクレ)、『情報の呼吸法』(朝日出版社)、『Twitter社会論』(洋泉社新書)、『未来型サバイバル音楽論』(中公新書ラクレ)ほか。2011年9月より週刊有料メールマガジン「メディアの現場」を配信中。
(編集協力 島田恵寿=コンテクスト)
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