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小沢コージのちょっといいクルマ

絶好調C-HR 「売れなくなる」危機意識は持ってます トヨタC-HR担当エンジニア・インタビュー

2017/2/20

大ヒット中の「C-HR」の開発をリードしたトヨタの古場博之エンジニア。「この車はすぐに売れなくなるんですよ」という真意は?

 2016年末に発売するなり1カ月で4万8000台受注。直近1月の国内販売でもベスト4に食い込んだトヨタ自動車の新型コンパクトSUV、「C-HR」。確かにデザインや走行性能でかつてないほど思い切っているとはいえ、この厳しい時代になぜそんなに売れるのか? 開発をリードした主査の古場博之エンジニアを小沢コージが直撃した。

■1カ月受注4万8000台の理由は?

小沢コージ(以下、小沢) びっくりしました。受注4万8000台、よくぞこんなに売れましたよね。

古場博之さん(以下、古場) たぶん、この車はすぐに売れなくなるんですよ。マジメな話。

小沢 僕もそう思ってましたけど、1カ月で4万8000台でしょう。あまりにも初速がすご過ぎて。

古場 ですから備えなくてはいけません。売れなくなるときのことを考えて。

小沢 とはいえ、今回はずいぶんと思いきったクルマ作りをしましたよね。

古場 どこが思い切ってますか?

小沢 今の日本ってミニバンや軽自動車を見れば分かるように「広さ」と「燃費」のマーケットじゃないですか。ところがC-HRはあくまでもスタイルと走り優先。燃費はともかく広さは相当無視してる。なぜそんなことができたんでしょう。

古場 ちょっと話が長くなってもいいですか。

小沢 はい。

古場 このクルマの開発は2010年に「ちいちゃいSUVを作れ」と言われてから始まってるんです。

小沢 当時は日産「ジューク」などがすでにはやり始めてましたよね。

古場 ただ、“ちいちゃいSUV”といっても世界中にあるので、北米、中米、南米、東南アジア、欧州まで見に行ったんです。そうしたら中南米や東南アジアの新興国系と日米欧の先進国系は求められているものが全く違う。

小沢 欧州はデザインや走り、新興国はやっぱり実用性が求められますからね。

古場 だから両方に通じるものは作れないよねと。そして市場を見ると欧州が一番伸びているし、よってそこを主戦場としていこうと。

小沢 合理的な判断です。

古場 一方、この手のクルマを買ったユーザーに「なぜ買ったの?」と聞くと「かっこいいから」「ほかと違うかっこよさ」と言われるんです。英語で言うと「distinctive(ディスティンクティブ)」。

小沢 独自性、みたいな意味ですね。

古場 このディスティンクティブはすごいキーワードになって、しかもわれわれは他メーカーに比べてすでに2周遅れじゃないですか。日産は「キャシュカイ(日本名: デュアリス)」、ジュークと出しているし、ルノーは「キャプチャー」、シトロエンは「DS4」、チェコのシュコダは「イエティ」と出るだけ出てる。

小沢 正直、トヨタは後発ですね。

古場 さらにもう一つ、このクラスはBセグメントやCセグメントからの乗り換えが多いんです。そしてその手のコンパクトカーは走りがキビキビ気持ちいいから「ものたりない」と感じるはずなんです。

小沢 正直、見かけだけのSUVも多いですから。

古場 だからその両方を満足させましょうと。「ディスティンクティブなスタイル」と「わが意の走り」。

小沢 だからドイツのニュルブルクリンク24時間レースに出て鍛えたんですね。

古場 あれは単に私が出たかったというのも大きいです(笑)。

ドイツ・ニュルブルクリンク24時間レース「Qualifying Race」でニュル初走行で完走したC-HR

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