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FX、新興国通貨に注目 値ざや拡大・高金利魅力に

2017/2/19

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 外国為替証拠金(FX)取引を手掛ける個人投資家の間で、トランプ米大統領の発言で値動きが大きくなっている新興国通貨に注目が集まっている。ドルやユーロなども不確性が高まるなか、より変動幅が大きい新興国通貨の売買で値ざやが狙いやすくなっているためだ。円に比べ高金利であり、保有するだけで収益が見込める。ただ大きな損失を出すリスクもあり、売買には注意が必要だ。

 FX大手の外為どっとコムによると、FX取引で特定の通貨に買いや売りを入れた後、反対売買をしない状態にある持ち高(建玉)は、2月初め時点で円・米ドルの組み合わせ(ペア)が全体の約29%で最多。2位は円・トルコリラで約22%、3位は円・南アフリカランドで約20%と続く。円・ドルには及ばないものの、先進国通貨同士の円・ユーロなどを大きく上回る。円・メキシコペソは約0.9%と建玉の比率自体は小さいが、米大統領選前の昨年11月1日に比べると50%超増えた。

 実際の取引量も増えている。東京金融取引所が運営する取引所FX「くりっく365」では、円・リラの1日あたりの平均売買高が米大統領選があった昨年11月9日から2月初めまでで約1万4090枚(1枚は1万通貨単位、例えば米ドルの場合は1万ドル)。2016年度初めから昨年11月8日までの平均取引高に比べて約6%増加している。わずかではあるが、円・ランドも増加した。

■逆張り戦略多く

 トランプ氏が掲げる景気刺激策により、米経済成長期待とインフレ観測から米金利が上昇。ドル買いが膨らみ、新興国通貨が急落したことで、個人投資家の取引量が増えた。トランプ氏が大統領選で勝利したことを受けてペソが一時、大統領選直前の昨年11月8日(日本時間)に比べて約13%安い1ペソ=4円87銭近辺、リラは一時約11%安い1リラ=29円07銭近辺とそれぞれ過去最安値圏まで下げた。またランドも一時約5%下落する場面があった。

 個人投資家は相場の流れに逆らって値ざやを狙う「逆張り」の投資戦略を取ることが多い。昨年11月9日以降はヘッジファンドなどの投機筋の売りも膨らみ、相場が一時的に行き過ぎて下落する新興国通貨もあった。個人投資家はそうした通貨の反発を狙って買いを入れたようだ。

 下落基調にあるメキシコペソは一転して急伸する場面もあった。ペソはドル高に加え、トランプ氏が北米自由貿易協定(NAFTA)の見直しや、メキシコとの国境沿いに壁を作り費用をメキシコに負担させるなど強硬的な姿勢を取ったことも下落の背景にあった。

 しかしトランプ氏が1月25日に「強いメキシコ経済は米国にとっても非常に良い」などと発言。メキシコに対して強硬一辺倒ではないとの見方からペソには買い戻しが入り、対円で1月27日までに約5%上昇した。トランプ氏の今後の言動次第でペソは再び急落する可能性もあるが、割安な水準でペソ買い・円売りを入れていた個人投資家は、反発時にペソを売って値ざやを稼げる状況にある。

 南アフリカランドも「昨年11月9日に一時1ランド=7円台前半まで大幅下落した時に、反発を見込んで買いを入れた投資家が多い」(楽天証券の白石雅士FX事業部マネージャー)という。資源国通貨のランドは、原油高を背景にした国際商品市況の回復で一転して上昇基調を強めている。今年に入ってからは、15年11月末以来の高値圏で推移する。「上昇基調に沿ったランド買い・円売りで収益を上げられる可能性がある」(岡三オンライン証券の武部力也投資情報部長)との指摘もある。

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