身近な人にイラッとしたら いい関係を保つ対処法
いつも時間に追われていると、家族や恋人、友人ときちんと向き合う余裕がなく、ギクシャクしがち。自分を客観視する時間を持つことで、イライラしない体質になれるはずです。
時間の使い方ひとつでイライラ体質が改善
家族や友人とはいい関係でいたいのに、忙しくて余裕がないと、ついイライラして、険悪な雰囲気になってしまう。そんな悩みを持つ人も多いだろう。
「気ぜわしいと、オンとオフとの切り替えがうまくできず、仕事のストレスや日々の鬱憤を身近な人にぶつけがちになります。特にパートナーや子供には甘えもあり、怒りが強く出る傾向に。最近はSNS(交流サイト)アプリのスタンプだけで会話を済ませたりと"気持ちを伝え合うプロセス"が省略されがち。互いの思いが見えない分、ストレスもたまりやすいのです」とは、怒りのコントロールに詳しい、日本アンガーマネジメント協会理事の戸田久実さん。
大切な人といい関係を築くためには、イライラしづらい人になる"体質改善"の時間を持つこと。そして、実際に大切な人に激しい怒りを感じたら、直接怒りをぶつけて後悔してしまうことのないよう、"怒りのピーク"である6秒間をうまくやり過ごす対処法を、身に付けておくといい。
「怒りが落ち着いて感情を爆発させることがなくなり、後悔することもグッと減りますよ」
【余計なイライラを引き寄せないための"体質改善習慣"】
001 「原因思考」⇒「解決思考」に切り替える習慣を持つ
「どうしてこんなに部屋が散らかっているの!」など、イライラの原因を追及したところで、現状は何も変わらない。それより、どうしたら部屋が散らからずに済むか、現状を変える行動計画を立てるなど、問題解決に思考を巡らせる習慣づけを意識して。
002 後悔、罪悪感の深みにはまらないようにする
「あんなことを言わなければよかった」という後悔や罪悪感は、自責の念から新たなイライラを生んでしまう。後悔しそうになったら「新たなイライラを生むだけの感情だ」とシャットアウトを。次第に、怒る頻度が減っていくはず。
003 いい関係になりたい人のハッピーログをつける
大切な人との時間でうれしかったこと、楽しかったことをメモする習慣づけを。子供に本を読んであげる時間が取れたなど、小さなことでOK。幸せなこともたくさんあると気づければ、相手のいいところに目が向いて、イライラしなくなる。
004 ONとOFFとの切り替え習慣をもつ
仕事のイライラを引きずって帰宅すると、パートナーや子供に、ついぶつけてしまいがち。駅のベンチでちょっと一休みする、駅前でコーヒーブレイクを取る、書店に寄ってみるなど、帰路のついでにできる"リセット時間"を持とう。
【スグに使えて効果てきめん! 大切な人と6秒でいい関係になるワザ】
帰宅後、グズグズする子供を見てついイライラ…
[このワザで対処] 落ち着かせるための言葉を心の中で唱える
部屋を片づけない子供にイライラするのは、「相手が自分の思い通りに動くべき」と思っているから。子供は大人のように振る舞えないことを念頭に、怒鳴りそうなったら、「ストップ!」と心の中で自分に声を掛け、思考を停止。「大丈夫、大丈夫」など、心が落ち着く言葉を唱えよう。
相談しているのに、なかなか分かり合えず、険悪ムード…
[このワザで対処] タイムを取って仕切り直し、その場を離れる
夫や彼氏に悩みや苦労を分かってほしくて話しているのに、分かってもらえずに険悪なムードになることも。パートナーにムッとしたときは、トイレに行ったり、キッチンで水を飲んだりと、戻ってくることを伝えた上で、いったんその場を離れてリセット。タイムを取ることで冷静に。
"善意あるおせっかい"でも嫌な気持ちに…
[このワザで対処] 「ひとりディベート」で自分の価値観に戻る
「やっぱり結婚はするべきだよ」など、友人のアドバイスに心がざわざわするのは、相手の価値観に巻き込まれているせい。「結婚は必ずするべき?」「結婚しない人生は不幸せって思いこみだよね」など、とっさの自問自答で世間を俯瞰すれば、相手の価値観を客観視し、自分の価値観に戻れる。
押しつけがましい態度に悲しくなってきて…
[このワザで対処] ひと呼吸おき、悲しい気持ちを素直に話す
転職を猛反対されるなど、「親心」がわずらわしいときは、「ほっといて!」などと怒りで表現しないこと。身近な人には案外、あなたの本音は伝わっていないもの。「私なりの考えがあるのに、信じてもらえないのは悲しい」など、分かってほしい"気持ち"を伝えよう。
アドット・コミュニケーション代表取締役
戸田久実さん
日本アンガーマネジメント協会理事。大手民間企業、官公庁などで「伝わるコミュニケーション」をテーマに研修、講演を実施。近著は『いつも怒っている人も うまく怒れない人も 図解 アンガーマネジメント』(かんき出版)。
(ライター 海老根祐子)
[日経ウーマン 2017年2月号の記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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