ナショジオ

生物

もはやポップアート 黒地に水玉はじけるツノゼミ

日経ナショナル ジオグラフィック社

2017/2/26

ナショナルジオグラフィック日本版

アディペ・ゼブリナ(カメムシ目:ツノゼミ科:Smilinae亜科) 黒地に水玉模様が「はじける」ツノゼミ。色もオレンジやシルバーっぽい白と、ポップで鮮やかだ。 体長:約5 mm 撮影地:モンテベルデ、コスタリカ

 今回は、ツノゼミの中でも、ポップアートのように「明るく、はじけた」アディペ・ゼブリナ(と最後にもう1種)をご覧いただこう。

 アディペ属は、中南米に分布していて、クスノキ科の植物でよく見かける。ツノは幅が狭めのヘルメット型で、表面はザラッとしている。多くの種は、今回紹介するアディペ・ゼブリナのように、黒地にオレンジや赤などのコントラストが強い模様を身にまとっている。警戒色とも言えるその派手さが、アディペ属の特徴のようだ。

クスノキ科のオコテア・モンテベルデンシス(Ocotea monteverdensis)の若木の幹先に2匹のアディペ・ゼブリナがいた。少し遠くからでも比較的目立つ。おそらく下がメスで上がオス。求愛中なのかもしれない

 このツノゼミの食草であるクスノキの仲間には、ぼくの好きなシナモンや月桂樹(ローレル)と言った香辛料となる木があるほか、防虫効果のある樟脳(しょうのう)を含む木もある。そうした木々の汁を吸っているということは、天敵が嫌がる強烈な成分を体内に蓄えている可能性が高い。だから、アディペ属のツノゼミは、幼虫を含め、派手な装いを身に着けることで、敵に警告を発しているのかもしれない。

羽化して間もないアディペ・ゼブリナの成虫を上から見たところ。ハート模様があるのがわかる

 さて、このツノゼミのメスはクスノキの若い茎の中に卵をまとめて埋め込み、その上にジッとして寄生バチなどの天敵から守る。卵からかえった小さな幼虫たちは、母親に見守られ、群れながら茎から汁を吸って育っていく。たまに幼虫たちが排泄する「オシッコ」(甘露)に、アリがやって来ているのを見かける。

アディペ・ゼブリナの群れ。脱皮中(明るいオレンジ色)の若齢幼虫に終齢幼虫、それに成虫が数匹いた。昼間は見なかった小さなアリたちが夜中やって来ていた。ストロボを焚いて撮影
アディペ・ゼブリナの成虫2匹。頭を下に向けてとまっていることが多い。茎の表面に見える白い点々は産み込まれた卵

ナショジオ新着記事