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内臓や脚もある三葉虫の化石発見 謎の足跡と一致か

2017/2/20

ナショナルジオグラフィック日本版

三葉虫の1種、メギスタスピス・ハモンディの化石。モロッコのフェゾウアタ累層から見つかった。(PHOTOGRAPH COURTESY MOROCCAN ANTI-ATLAS)

 今から5億年近く前のある三葉虫の化石に、きわめて珍しい内臓や脚などが残っていることを研究者が発見、学術誌「Scientific Reports」に発表した。知られざる三葉虫の生態について、新たな手がかりを与えてくれそうだ。

 三葉虫は、太古の地球の海で数億年にわたって繁栄した節足動物。その仲間はこれまでに2万種以上が同定されているが、詳しい生態はあまりわかっていない。なぜなら、三葉虫が死んで甲羅のような硬い殻が化石になる頃には、体の下側にある脚などの軟らかい組織は跡形もなくなっているためだ。

 驚きの発見をもたらしたのは、4億7800万年前の三葉虫、メギスタスピス・ハモンディ(学名Megistaspis hammondi)の化石。研究者のディエゴ・ガルシア=ベリード氏とフアン・カルロス・グティエレス=マルコ氏らのチームは、個人の収集家から寄贈されたモロッコ産の化石3個を詳しく調べた。

 3個の化石はいずれも全長30センチほどで、モロッコのフェゾウアタ累層から見つかったもの。極めて良好な状態にあり、脚(付属肢)や消化器官などが残されていた。彼らは太古の海で、堆積物の表層を忙しく動き回り、海底の泥を吸い込んで、隠れた生物や養分を摂取していたと推測される。

 さらに、この三葉虫の消化器官からは中腸腺が見つかった。中腸腺は食べたものの分解と消化を助ける酵素を分泌する器官で、現生の節足動物では一般に、捕食者に備わっている。一方で、この三葉虫には素嚢(そのう)もあった。素嚢は食物を一時的に貯蔵する袋状の器官で、通常は堆積物を食べる動物に見られる。

 研究チームはこうした発見から、メギスタスピスは普段は堆積物を食べて生きているが、餌になりそうな生き物を偶然見つけた場合には、肉食をすることもあったと考えている。

 「現生の節足動物が死んだカニを見つけたら、気味悪がったり無視したりはせずに、食べるでしょう。生きていくにはエネルギーが必要ですから」と、オーストラリア・アデレード大学のガルシア=ベリード氏は言う。「現生の節足動物と同じように、三葉虫は幅広い能力を備えていました。生き延びるには、周囲にあるものを最大限に活用しなければならなかったのです」

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