お茶請けの漬物 あなたのまちでは常識、非常識?
漬物(2)
名古屋は古漬けを食べない? ほんと?
「古漬けの漬物を食べない」という点です。たくあん、高菜漬けはもちろんのこと、名古屋名物守口漬(当然、奈良漬も)も一切口にしないどころか、匂いをかぐのも嫌といった有様です。
お袋の末弟(即ち、叔父ですな)は、アルミサッシの販売と取り付けを生業にしています。かなり手広く商売をしているようで、ある日高崎まで出張して取り付け作業を行いました。一段落したところで、作業現場(一般の民家だったのでしょう)のおかみさんが、「そろそろお茶の時間にしましょう」と持ってきたのは、大振りの深皿に山盛りになったたくあんと野沢菜漬け! そのとき叔父は「作業を放り出して名古屋にきゃーろーかと思ってまった!」
私がその話を聞かされたのは、亡命後10年以上も経過した後の帰省時だったので、お茶請けの漬物がごくあたりまえの感覚になっていたのですが、言われてみれば名古屋でお茶請けに漬物は出ないものです。
千葉県南房総地域では、漬物だけでなく「イワシの胡麻漬け」や「イワシの塩辛まぶしの白菜漬け」もお茶請けに供されるようです。そうなると気分はイギリスのハイティーの、キュウリのサンドイッチやジェリードイール(穴子?の煮凝り)の感覚ではないでしょうか(亡命名古屋人さん)
酒が入ったときとは別人のような文体である。「作業を放り出して名古屋にきゃーろーかと思ってまった!」という人間としての叫びがとても鮮烈である。
さて、名古屋では古漬けは敬遠されるのか。お茶漬けに漬物は出ないのか。房総ではイワシが漬物になっているのか。どれも大変興味深いテーマである。この辺を糸口にして展開しようではないか。
まだ暑い時期でしたから、1日でもメンテを忘れると、立派な古漬けができあがってしまうのです。そんなとき重宝するのが、トウガラシや塩などとともにぬか床の味付けに入れてあるショウガです。塩辛くなったキュウリは薄切りにしてちょっと水にさらし、それにぬか漬けショウガを細切れにして混ぜると、これがなかなかの美味なんです。
ちなみに、美味しいぬか漬けのためとは言いつつ、二の腕が強烈にぬか臭くなるのには閉口しました。
野瀬嫁いらず!
デスクきっぱり いります!! ちゅうかほしい!
ベティー隊員 今度は温めすぎないで!
現在のテーマは漬物。しかし、いつものことではあるが、前テーマのおにぎりと、ジャンケンのかけ声に関するメールが多数届いている。ランダムに行きますか?
スパムにぎりは、ハワイの日系社会が作り出したもので、決して沖縄が起源ではありません。ハワイの日系2世の方(沖縄出身ではない高齢者)が作ってくれたものを食べたことがありますが、かなり昔から運動会などで出ていたそうです。卵ははさまなかったと思います。ポークとのりだけです。
沖縄のポーク卵おにぎりは、ここ10年以内に出現したもので、むかしは沖縄にはありませんでした(断定)(沖縄チャンポンさん)
沖縄チャンポンさん、久し振りやんね、なんばしよったと?
とは言え1回だけなので、まったくの私見です。
ただ、北米西海岸でものりたまごはんが食べられたことだけ付け加えます。グレートソルトレークのまん中でのりたま。うまかった(お名前ありません)
ポリネシアはともかく、日本でスパムが日常的に食べられるのは米軍基地のある沖縄だけですし、スパムといえば英国のテレビ番組「モンティ・パイソン」で有名ですが、これにしたって戦時中の大陸封鎖で肉が不足した英国にアメリカから大量のスパムが輸出されたからです。
スパムというのは本邦の「魚肉ソーセージ」をイメージすればよいと思います。そこそこ美味しいし、それなりに家庭でも食べるけど「決してお客様には出せない料理」。英国の友人たちはスパムというと「学校給食を思い出す」と言います。
一方でスパムが贈答用に用いられている地域があります。韓国です。
スパムむすびには法則があります「テリヤキソースで炒めること」です。「美味しくもないスパムだけど、テリヤキソースと炒めると良い味になるのよね」とはハワイの日系人から聞きました(HNありません)
硬軟織り交ぜ、スパムの本質がよくわかった。スパム=魚肉ソーセージ説。なるほどと思うが、客に魚肉ソーセージとキャベツの塩コショウ炒め醤油たらしを出したことがある私はどうなるの?
デスクふーん 美味しければいいんじゃないですか?
ベティー隊員 長居をしてほしくないお客に出したんですか? 「ぶぶ漬けでもおあがりやす」みたいに。
旧盆に帰省すると「ワニ」を食べるのが楽しみだそうです。最近は価格が高くなっているそうですが、「ワニ」がないとどうにもならんそうですよ。
私も「ワニ」が食べたいのですが(奈良のヤマちゃん)
サメのことではないの? 本当のワニならワイドショー。
「かつや」さんから米国のスーパーで売っているティーバッグ式のコーヒーの写真が来着。アトランタではおにぎりを売っていないので余計に食べたいとか。わかるその気持ち。
後日、先生から「大変かわったおにぎりだった」と感想をいただき、実は母の実家(松阪市)ではメジャーなおにぎりだったのですが、当時住んでいた北九州では珍味だったようです(イチ読者さん)
九州ではきな粉餅と思われたことであろう。胸キュンの相手におにぎりを食べてもらいたいなんて、小学生の女の子ってかわいいなあ。男性じゃないですよね。
富士宮やきそば学会のIT担当、宮さんは現在「天かすとネギを入れたタヌキむすびが気に入っている」とか。ありそでなさそな物件である。
「ぐっぱー、うらおもて」問題に関して、みう@秋田市出身さんは「い~し(石)と、か~み(紙)」だったそうである。「東北のかた、はんの~求む」と書いてあるが、反応しないで。終わったんだから。漬物なんだから。
毛蟹はデザートだったさんから北海道では「グッとッパーで合った人」というかけ声だったというメール。「ッ」が入るのが蟹味噌。
ちりとてちんさんによると兵庫では「グッ・パで、ほい!」。「うーらーおーもーてっ」もあった。「おいもん、がっち(多いもん、勝ち)」ということも。
富山では「どんとぱー」。これは釈永さんから。
神戸の西の端では「うらおもて」だったが岡山に行くと「グッパー」だったのでばかにされた。現在住んでいる北海道南部の辺境(辺境なんですか?)では子供たちが「グーとチー」と言っている。かりんさん、次に北海道でオフ会をやるときは辺境に行きます。どのくらいの辺境かにもよりますが。生きて帰ってこれますか?
次回は、私がいないので特別編。
(特任編集委員 野瀬泰申)
[本稿は2000年11月から2010年3月まで掲載した「食べ物 新日本奇行」を基にしています]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。