チルドでうまさ倍増 ファミマの「10万食」ラーメン
本格的な味わいが楽しめることから、コンビニの冷凍ラーメンが注目されているが、実はチルドタイプのラーメンもおいしくなっていることをご存じだろうか? なかでもファミリーマートのチルドラーメンは、2015年の刷新後、売り上げを大幅に伸ばしている。
1日10万食も売れた秘密とは?
2015年10月に大幅リニューアルしたファミリーマートのチルドラーメン。麺をモチモチとした食感に仕上げ、スープのコクや旨味をアップするといった改良に加え、容器を見直してアツアツのラーメンを実現。従来は約70度だったスープを約80度にまで引き上げることで、専門店と同様のおいしさ・食べ応えを追求した。
このリニューアルが功を奏し、「2015年度下期の売り上げは、前年に比べ3割増となり大きく伸長しました。最盛期には1日10万食も販売した実績もあります」と、ファミリーマート商品本部の山田氏は話す。その後も醤油ラーメンや味噌ラーメンの麺を、単層から三層麺に変更するなどの改良を重ねている。
現在、ファミリーマートのチルドラーメンは、醤油、味噌、豚骨の定番3商品に加え、昔ながらの醤油ラーメンと海老ラーメンを展開している。2017年1月10日には塩ラーメンも発売。塩ラーメンは期間限定と明確に設定されてはいないものの通年商品ではなく、「ハレの日の食事が続いた正月明けに、ホッと落ち着くあっさりとした味わいの食事のニーズが増す」(山田氏)と考え、この時期を狙って発売したという。
2016年も同時期に販売されており、狙い通り、あっさりとした味わいが受けて、「昨年は発売後からしばらくの間、"ファミマのラーメン"シリーズのなかでも人気ランキング1位となりました」(山田氏)と話す。また、今年の塩ラーメンも好評で、一番人気の味噌ラーメンとトップ争いを繰り広げているそうだ。
塩ラーメンのターゲット層は、「30~40代の男性を想定しており、実際の購買層も想定どおりでした」(山田氏)とのこと。男女比率は男性6割、女性4割で、これは醤油ラーメンとほぼ同じ構成だとか。ちなみに豚骨ラーメンの購買層は男性が7割と高く、さらに20~30代の購入が多いのも特徴だと話してくれた。
あっさりしているのにコクうま!
塩ラーメンは3種類の塩、野菜ブイヨン、和風だしを合わせることで、あっさりとしたなかにもまろやかな塩の風味が味わえるスープに仕上げている。麺には北海道産小麦を使用。芯のある硬めの食感を持つ生地を、軟らかくモチモチとした生地で挟み込んだ三層構造の麺で、外はモチモチ、中はしっかりとした食感が味わえるという。
実際に塩ラーメンを食べてみると、これが思っていたよりもおいしくて驚いた。塩ラーメンらしい澄んだスープは、あっさりしていて食べやすいのに、しっかりとしたコクが感じられる。ただの塩味ではなく、味わい深く、十分な満足感が得られた。
麺もモチモチとした食感があり、進化していることを実感できる。従来のコンビニのチルド麺はボソボソとして味気ないイメージがあったのだが、いい意味で見事に裏切られた。この三層麺がスープによく合い、どんどん箸が進む。トッピングのチャーシューもとろとろなのに崩れにくく、しっかり味が付いていて脂身もおいしい。
コンビニの冷凍ラーメンのおいしさを知ってから、実はチルドラーメンは食べていなかったのだが、ファミリーマートの塩ラーメンのおいしさにはかなり驚いた。個人的にはヘタなラーメン店よりも大満足。久しぶりに食べたこともあり、その進化ぶりを実感できた。また、おいしさはもちろんのこと、レンジアップするだけという手軽さにも改めて感動した。器を用意する必要もなく、温めるだけでOK。この手軽さでここまでおいしいと、今後はついつい買ってしまうだろう。
2月の上旬には、関東地方の店舗で、米粉麺を使用した新商品も発売予定とのこと。おいしくなったファミリーマートのチルドラーメンを、ぜひ一度食べてみてほしい。
(ライター 津田昌宏)
[日経トレンディネット 2017年2月2日付の記事を再構成]
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