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成年後見制度の利用促進策、「親族」を後押し

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NIKKEI STYLE

認知症などで判断能力が低下した人の生活を支援する成年後見制度。2000年4月に始まったが、内容があまり知られずメリットも乏しいとされることから利用者数は低迷している。政府は利用促進に向けて制度改革を進めており、親族が後見人になるケースは今後増える可能性が大きい。改革のポイントをおさえておこう。

「まずお父様の成年後見人をお決めください」。神奈川県に住む会社員のAさん(50)は最近、銀行などの担当者からこう言われた。

父親(85)は認知症で判断能力がほとんどなくなり、介護付き老人ホームに入る予定。自宅を売却したり、入所費用に充てるため父名義の預貯金を解約したりすることが必要だが、手続きや契約には成年後見制度で法定代理人を選ばなければならない。「何から手を付けたらいいのか」とAさんは困惑している。

成年後見制度(図A)は介護保険制度とともに発足した。利用するには家族などが家庭裁判所に申し立て、家裁が司法書士、弁護士、社会福祉士といった専門職や親族などから選任する。後見を受ける本人の判断能力に応じて「成年後見人」「保佐人」「補助人」の3種類がある。いずれも本人の意思に基づいて生活しやすいように支援(身上監護)をする義務があり、財産管理・契約などで法的権限が与えられている。

成年後見制度の利用者は低水準だ。最高裁家庭局によると、利用者は15年末で19万人超と集計を始めた10年以降で最多(グラフB)だった。ただし制度の対象者は認知症高齢者、精神障害者、知的障害者で合計900万人程度と推定され、利用者は約2%にすぎない。

本人の意思重視

本人や家族がメリットをあまり実感できないためだ。例えば本人の支援内容は生活上の支援より財産管理が中心になりがちだという。「特に親族が後見人を務める場合は、本人からの相続財産をできるだけ減らさないため本人の意思を軽視する傾向もある」(福祉関係者)

「家族の負担感も強い」と司法書士の船橋幹男氏は指摘する。成年後見は始まると基本的に本人の死亡まで続く。この間、財産明細や収支状況について約1年ごとに家裁に報告する義務がある。成年後見人などの交代もよほどのことがない限り困難だ。

そこで政府は制度利用を促すため対策に乗り出した。昨年4月に自民党、公明党、民進党などの議員立法で成立し、5月から施行した成年後見制度利用促進法に基づく。同法では国や地方自治体に利用促進基本計画の策定を求めており、有識者からなる利用促進委員会が今年1月中旬、計画に盛り込む事項を意見書としてまとめた(図D)。

意見書ではまず本人がメリットを感じるためには「本人の意思に基づく生活状況に応じた支援が大切」と指摘。そのうえで成年後見人らと医療・介護・福祉の関係者が「チーム」を組んで支援にあたるよう求めている。チームを支援するため市町村単位で関係者の団体による「協議会」を設置するほか、制度に不慣れな親族後見人などからの相談を幅広く受ける機関も整備する方針だ。

不正防止もポイントだ。最高裁によると使い込みなど成年後見人の不正は15年で521件、被害総額は約30億円に達する。こうした不正が制度のイメージを大きく損ねてきたが「チーム対応を強化すれば相互チェックが働き、不正も防げる」(最高裁家庭局)という。

専門職頼み限界

利用促進にあたって注目が集まるのが親族後見人だ。成年後見人らの成り手は制度開始当初こそ親族が務めるケースが90%以上を占めたが、司法書士、弁護士といった専門職など第三者の割合が増加。15年は約70%に達した(グラフC)。親族による不正を防ぐ狙いもあるが、認知症高齢者の増加が今後見込まれるなか、専門職への依存には限界があるとの見方が多い。

政府は意見書を受けて、3月末までに利用促進基本計画を決める。各自治体は17年度から数年かけて協議会や機関作りを進める見通しだ。成年後見人らを務める司法書士の団体「成年後見センター・リーガルサポート」相談役の大貫正男氏は「親族にとっては、これまで家裁にほぼ限られていた相談先が広がるという点で使いやすくなる」と指摘する。

成年後見人になる場合に備えて進めておきたいのは、親の収支や財産・負債状況の把握だ。利用申し立ての際、家裁に提出する必要があるからだ。できれば親が元気なうちから月々の年金収入や支出のほか財産が預貯金、有価証券、不動産など種類別にどれくらいあるかを確認しておこう。後見開始後の管理を効率的にするため、取引金融機関を集約しておくのも一案になりそうだ。(M&I編集長 後藤直久)

差し迫ってから申し立て目立つ


 最高裁が成年後見制度の利用申し立てをした人を対象に実施している調査によると、申し立ての動機は2015年分で「預貯金などの管理・解約」と「介護保険の契約」が合計で全体の6割弱を占めた。次いで「身上監護」(13%)、「不動産の処分」(10%)、「相続手続き」(9%)という順だった。
 施設入所など介護のため親の預貯金を解約したり、不動産を処分したりするといった差し迫った状況に直面してから制度を使う実態がうかがえる。成年後見センター・リーガルサポートの大貫氏は「本人のため家族が自発的に申し立てるより、周囲に言われてから申し立てる例が多い」と指摘している。

[日本経済新聞朝刊2017年2月8日付]

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