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引っ越し作業のコツ 重い物は小さな箱に 達人のワザ 山崎八寿夫さんに聞く

 

2017/2/8 日本経済新聞 夕刊

 一人暮らしを始める新社会人や新入学生、転勤などで春先に増える引っ越し。荷物の運送は引っ越し会社を利用するものの、梱包や荷ほどきは個人で進めることも多い。サカイ引越センターで「マイスター」の資格を持つ山崎八寿夫さんに、引っ越し作業のコツを聞いた。

 ――引っ越し会社に、どのタイミングで依頼すればいいか。

やまさき・やすお サカイ引越センター東海推進課マイスター。1972年大分県生まれ。94年12月アルバイトとしてサカイ引越センターに入社。95年6月正社員に。99年社内資格「技術講師」試験合格。2001年同マイスター試験合格。

 「新社会人や新入学生の場合、引っ越しの1~2カ月前に複数社から見積もりを取るケースが多いです。見積もり後に契約すれば、引っ越し会社が段ボールを客に渡すところが多いので、じっくり準備できます」

 「引っ越し作業全般を引っ越し会社が引き受けることもありますが、食器や書籍などの梱包や、荷ほどきを個人で進めるケースも多いです。どんなライフスタイルを目指すのかをイメージして、何をどこに配置するか、しっかり決めておきたいですね。その意味で早めの準備が必要です」

 「引っ越しは、要るものと要らないものを選別するチャンスです。すべてのものを荷造りして持って行くと、荷ほどきした後が大変です。不要なものは処分し、必要なものと、必要か不要か迷うものを分類するのがいいでしょう。迷うものは荷ほどきをせず、1年以上使わなければ箱ごと処分することを勧めます」

 ――引っ越し日までに、準備しておくことは。

 「すぐに使う食器、衣類、教科書、文房具などはまとめておき、段ボールに『すぐに使うもの』と書いておくと、引っ越し会社もすぐに開けられる場所に段ボールを置きます。リモコン類やエアコンの備品などは電気工事の時に必要になるので、すぐに使うものとしてまとめておきます」

 「家やクルマのカギ、現金や貴金属類などは手荷物にします。引っ越し会社はトラックに積み込んだ荷物は封印し、途中で出し入れできないようにし紛失事故が起こらないようにしていますが、貴重品は身に着けておく方が安心です」

 ――荷造りのポイントは。

 「ぬいぐるみや衣類など軽いものは大きな箱に、本など重いものは小さな箱に入れます。部屋ごとに箱詰めし、箱には、中身、搬入する部屋、どこに収納するかをしっかり記しておく、などが基本です。荷造りは何日もかかりますので、日ごろ使わない押し入れ、物置にしまってあるもの、季節外の衣類、本棚に並べてある本などから箱詰めします」

 「食器の荷造りが一番手間がかかります。食器類は包装紙で1枚ずつ包み、皿やグラスは立てた状態で入れます。大きく重いものから順に入れます。食器は段ボール箱の中で動かないようにすれば、箱を落とさない限り割れません。隙間を段ボールや新聞紙で埋めます」

 「段ボール箱は、底の真ん中の部分に重さがかかるので、粘着テープを十字に貼ります。引っ越し会社が用意した新しい箱であれば強度は十分です」

 「パソコンは衝撃に弱いので、できれば購入した時の箱を、緩衝材ごと取っておくのがいいと思います。データのバックアップは必ず取っておいてください。冷蔵庫は前日にはコンセントを抜いて、水漏れがないようにしてください。引っ越しのときが冷蔵庫をきれいにするチャンスです」

 ――段ボールを運ぶときの安全対策は。

 「段ボール箱は、腰を曲げて腕力で持ち上げようとせずに、しゃがんだ姿勢から背筋を伸ばして立ち上がりながら持ち上げると腰を痛めません。箱は正面の位置で両脇で抱えたりせず、体の横の位置で腰で支えながら持つと前がよく見えるので、階段を踏み外したりしません。箱を2つ重ねて運ぶときは重い方を上にすると安定して運べます」

 ――引っ越しマイスターとはどんな資格ですか。

 「ドイツなどで普及しているマイスター制度を、私が所属するサカイ引越センターでも導入しました。技術講習会を受講後、試験を受けます。引っ越しには、あらゆる作業に決められた手順があります。試験では現場で二百何十キログラムもあるピアノを持って階段を上がり、家具を外からつり上げて搬入します。また、食器や人形ケースの梱包を時間内にきれいに行うなど、引っ越しで使うすべての技術手順をしっかり覚えて再現しなければなりません」

[日本経済新聞夕刊2017年2月8日付]

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