家計

もうかる家計のつくり方

「貯蓄重視」派が陥ったリボ払いのワナ 家計再生コンサルタント 横山光昭

2017/2/8

クレジットカードのリボ払いは利息に要注意

 「クレジットカードを使わないと毎月のお金が足りなくなるような気がして……。そこを改善したいんです」と相談に来たのは会社員で独身男性のKさん(41)。毎月、現金が足りなくなりそうな気がすると、ついクレジットカードで支払うそうです。今のところは何とかなっていても、将来的には困るだろうと考え、支出の改善を目的にご相談に来られました。

 「40歳も過ぎたので、そろそろ将来設計もしっかりしなくてはいけないし、自分をコントロールできるようになりたいのです」と、しっかりしたお話をされています。では、Kさんの支出のどこに問題があるのでしょうか。それを見るため、支出の仕方を聞きながら家計表を作っていくことにしました。

■「イレギュラー支出」の中身

 まず、Kさんの月収は手取り37万円ほど。「普通預金においておくとすぐ散財してしまう性格なので」と自己分析し、強制的に貯蓄をするため、3年前から手取りから12万円を「先取り貯蓄」として定期預金に入れています。従って、残りの25万円が毎月の生活費です。

 口座振替しているものに家賃、水道光熱費、通信費、生命保険料、クレジットカードの支払いなどがあります。これらの引き落としがあるため、手元に残るのはおよそ8万円。この金額で食費など現金払いの生活費をやりくりする生活です。毎月わずかながら黒字のやりくりができているよう。

 毎月12万円も貯蓄ができているといいますし、お金が不足している生活とも思えません。もっと貯蓄額を増やしたいという相談なのかと思いましたが、違いました。

 問題は毎月の固定支出にもなっている「クレジットカードの支払い」でした。Kさんは毎月、生活費以外の支出を「イレギュラー支出」と考え、クレジットカードから支払っているのだそうです。

 一見、黒字に見えるKさんの家計は、このクレジットカード払いでコントロールができなくなっているようでした。カード払いをするのは旅行費や書籍代、洋服代、部下に食事やお酒をおごったり、昔からの気の合う友達と飲み会をしたりする交際費、飲み会の帰りに使うタクシー代など。

 Kさんにとっては「自己投資」に分類できるイレギュラー支出だといいます。支払いが多くなる月もあれば少ない月もあるため、支払額が均一のほうが管理しやすいだろうと、ほとんどをリボルビング払いにしています。毎月支払う金額の目安は6万5000円だそうです。

■なかなか完済できないリボ払い

 さらに、予想外に支払いが多くなってやりくりに困ったら、キャッシングなども利用しているのだそう。せっかく貯蓄があるのに、一方で借金を積み重ねていくのは矛盾していないかと問うと、「定期預金だけは崩してはいけないと思っています」と力強くおっしゃいます。

 Kさんの貯蓄残高は450万円ほど。クレジットカードの利用残高は合計80万円ほど。この残高にどんどん利息が付いていきます。貯蓄をするのは立派ですが、片方でこんなにクレジットカードの残高を抱えていては意味がありません。しかし、Kさんはそれに気づいていません。

 クレジットカードのリボルビング払いの利息は15%前後と高い場合がほとんど。そして、いくら利用しても毎月の返済額は一定ですから、利用した金額分だけ利用残高に積み上がり、利息がかかります。そして、毎月返済している金額の中身は元金だけではなく、利息も含んでいるので、返済が長期にわたっても残高がなかなか減らず、いつまでたっても完済しにくいという悪循環に陥ります。

 このような説明をするとKさんはびっくりした様子でした。そして、「そんなに利息がかかるのなら使っていられない」と行動を起こし始めました。

 まず、自分でクレジットカードを使わないルールを作りました。急に始めたので、毎月のクレジットカードの支払額に加え、今までイレギュラー費と考えていた支出を現金払いにすると、30万円以上赤字になってしまう月もあり、これにまず驚いていました。

 ですが「これが実際に自分が使っていた金額なのですね」と前向きに受け止め、次にこのイレギュラー支出に予算を付け、その中でやりくりできるよう練習していきました。

 最初は予算内でやりくりできず、お金が足りなくなることもしばしば。やりくりの難しさとともに、今まで自分がいかにお金を使いすぎていたのかを実感し、「いままでが間違っていたわけで、現在の状態が身の丈にあっているのだ」と自分に言い聞かせたそうです。

 そして、崩すのをいやがっていた預金を取り崩し、クレジットカードの残金を一括返済しました。

■貯蓄残高の数字だけに満足

 これでやっと、毎月クレジットカードの支払い請求が来なくなり、予算内でやりくりすることが可能になります。貯蓄は無理のない範囲で、毎月9万円を積立定期預金にしました。その結果、5万3000円ほど黒字が出るようになりました。毎月の貯蓄額は減りましたが、借金をすることなく、支出が膨らんだ月は余剰金から支払うことができます。

 Kさんは「お金が足りないからカードを使っていることに気づいていたはずなのに……。貯蓄できているということは、お金はあるんだから大丈夫と言い訳しながらクレジットカードを使っていたんだと思う」と当時を振り返ります。

 貯蓄残高の数字が増えていくことだけに満足して、家計の全体像が見えていない人は結構います。貯蓄はもちろん大切ですが、リボルビング払いのように金利が高くなる支払い方法を選択したら貯蓄の意味がなくなります。預金金利よりも分割払いやキャッシングの金利の方が高いのですから。

 せっかく貯蓄ができる環境にあるのなら、それを最大限に有効活用することが資産を増やすことにつながりますし、余分な支出を見つけることにもつながるのです。

「もうかる家計のつくり方」は隔週水曜更新です。次回は2017年2月22日付の予定です。
横山光昭(よこやま・みつあき) マイエフピー代表取締役。家計再生コンサルタント、ファイナンシャルプランナー。お金の使い方そのものを改善する独自のプログラムで、これまで1万人以上の赤字家計を再生。書籍・雑誌の執筆や講演も多く手掛け、「年収200万円からの貯金生活宣言」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)をはじめとする著書は累計180万部。近著は「『老後貧乏』はイヤ!」(日本経済新聞出版社)。

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